ビジネスの世界でもスポーツの世界でも、一流を目指すには実力だけでなく天を味方につける必要があるとよくいわれます。頭脳やフィジカルに恵まれながらも、時流に乗れずせっかくの才能をくすぶらせる人もいれば、逆に、無名の社員や選手が千載一遇のチャンスをものにして、一躍脚光を浴びることもありますよね。

あなたは自分のことを運がいいほうだと思いますか? もし現時点では自信をもって「YES」と答えられなくても、実はちょっとした日々の心がけで強運体質になることは可能なのです。しかも、その方法はたったの2つ!

今回は、五輪メダリストや甲子園球児などのメンタルコーチを務める飯山晄朗さんから、トップアスリートが実践している強運を身につける習慣について教わりました。

一流アスリートが実践する「強運を身につける」たった2つの習慣

■1:「だからこそ」を口癖にする

どんなネガティブな人もポジティブになれる「魔法の口癖」とは?
どんなネガティブな人もポジティブになれる「魔法の口癖」とは?

「強運を身につける最も手っ取り早い方法は、使う言葉を変えること。

よく言われているように、言霊の力は絶大です。私たちの脳は、知らず知らずにうちに使っている言葉の影響を受けています。つまり、ポジティブな言葉を使えば使うほど、脳がプラス思考になって強運体質になれますし、逆に、ネガティブな言葉ばかり使っていると、脳にどんどん負け癖がついてしまうのです。

一流アスリートのインタビューで『必ず勝つ』『圧倒的な結果を出す』など、強気な発言を耳にすることが多くないでしょうか。プラスの言葉には、自分を鼓舞するともに勝負強さを培う効果もあります。

ですから、私たちも強運を身につけたいなら、『でも』『だって』『どうせ』をはじめとするマイナス言葉はなるべく慎まなければなりません。

とはいえ、自分の口癖というのは、一朝一夕には矯正できないもの。禁句にしようにも、ついついマイナス言葉が口を出てしまうことはあると思います。

そうした場合に、『あーまた言っちゃった』と自己嫌悪しては、ますますマイナス思考になるという悪循環に陥りかねません。

そこで、おすすめの方法は、ネガティブな言葉を発してしまったときには、そのあとに『だからこそ』というフレーズを付け加えること。

たとえば、私がメンタルコーチを務める競泳の小堀勇氣選手は、大舞台になると緊張して実力を発揮しきれないという悩みを抱えていました。その悩みに『だからこそ』を付け加えると、『緊張してまわりの選手のことが気になってしまう。だからこそ、落ち着いてまわりが見える』とプラスに転じることができたのです。

また、今年は新型コロナの影響で、オリンピックや高校野球の甲子園をはじめ、多くの大会が延期や中止に追い込まれました。

オリンピックも甲子園も、選手たちにとってはかけがえのない目標。それが消えてしまうなんて悲劇としかいいようがありません。しかし、『甲子園が中止だなんて前代未聞だ。だからこそ、コロナ世代として、自分たちにしかできないことがあるんじゃないか』というふうにとらえれば、悲劇が一転して、希望の光が見えてくるのです。

強運フレーズ『だからこそ』は、もちろん職場でも使えます。たとえば、何かミスをやらかして上司から厳しく叱られた場合、ただ落ち込むのではなく、『ミスしてしまった。だからこそ仕事の精度を上げるためにどうすればいいのか?』など、不快な出来事を自分のスキルアップにつなげることが可能です。

このように、『だからこそ』と言い切ってしまえば、その前にどんなにネガティブな発言をしていても、それが無効化されて、脳が勝手に前向きな言葉をたぐりよせようとします。『だからこそ』は強運を身につけるための魔法のフレーズのようなものなのです」(飯山さん)

ネガティブな口癖を直そう、ポジティブな言葉を使おう、と心がけてはみたものの、長続きしなくて「やっぱり自分はダメだ」と自己嫌悪に陥ったことのある人は多いのでは? 自分の言葉遣いを無理に直そうとするのではなく、「だからこそ」というワンフレーズを差し挟むだけならとても簡単! これなら挫折することなく、プラス思考と強運を身につけることができそうですよね。

■2:明るい表情を作る

笑顔は「強運な人」との出会いを引き寄せる
笑顔は「強運な人」との出会いを引き寄せる

「脳は、何か思ったり考えたりするという“入力”よりも、言葉を発したり体を動かしたりという“出力”のほうを強く記憶するという性質をもっています。だからこそ、プラスの言葉を使うことが強運を身につけるのにもってこいなのですが、同じく出力作業として、明るい表情を作ることも効果的です。

そもそも、運がいい、運が悪いとはどういうことか。“運”は訓読みすると“運ぶ”となることからわかるように、運とは自分が作り出すというより、誰かが持ってきてくれるものなんです。

たとえば、スポーツ選手について考えてみると、どんなに才能に恵まれていても、それを開花させられなければ宝の持ち腐れですよね。他方で、ずっと無名だった選手が、あるコーチとの出会いをきっかけに急に頭角を現すというケースもあるものです。

つまり、運がいいかどうか、成功するかどうかというのは、結局は、人との縁がカギを握っているのだといえます。

では、どうすればそんな幸運な出会いに恵まれるのか? 答えはシンプルで、成功をもたらしてくれる強運な人に自分を見つけてもらうこと。そして、強運な人の目に留まるために、強力な武器となるのが笑顔です。

類は友を呼ぶ、といわれるように、強運な人は強運な人同士で引き合います。逆に、終始つまらなそうな表情でいると、同じように不平不満だらけの人ばかりが集まって、ますます運が下がってしまうことでしょう。

強運な人に出会いたければ、まず内心はどうあれ明るい表情を作ること。自分がどんな表情をしているのかは自分では気づきにくいものなので、積極的に鏡を見てチェックするのもおすすめです。

もし、どういう表情がいいのかわからない場合、自分にとって『あの人は運がよくて自信に満ち溢れている、オーラがある』と憧れる人物を研究して、とことん真似するのもいいでしょう。直接の知り合いではなく、芸能人などでもOKです。

特に、女性の場合、メイクや髪型によって大きく印象が変わるので、こうした形から入る作戦は非常に効果があります。ぜひ見た目だけでも運がいいように見えるように、いろいろ工夫してみましょう」(飯山さん)

自分を取り巻く人間は、自分を映す鏡のようなもの。もし、自分は人間関係に恵まれていない、自分のまわりには何だか冴えない人物しかない……というふうに感じているのであれば、それは他ならぬあなた自身の魅力がその程度ということかもしれません。

強運の人を引きせて、自分の運気をアップさせるべく、明るい表情を努めましょう。

「だからこそ」を口癖にして、明るい表情を作る。至ってシンプルな方法ですが、たしかに、ビジネスの世界でもスポーツの世界でも、成功者といえば常に前向きな言葉を使っており、笑顔が印象的な人物が多いですよね。

何と言っても、リスクゼロで今からすぐに実践できることですので、一流アスリートもやっているこの2つの習慣を取り入れて、人生を好転させましょう。

飯山晄朗さん
メンタルコーチ・人財教育家
(いいやま じろう)銀座コーチングスクール認定プロフェッショナルコーチ。JADA(日本能力開発分析)協会認定SBTマスターコーチ。金沢大学非常勤講師。富山県高岡市出身。石川県金沢市にオフィスを構え、全国で活動している。主な著書に『『勝者のゴールデンメンタル』『超メンタルアップ10秒習慣』などがある。
公式ページ
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。