新型コロナウイルスの影響で、テレワークや在宅勤務といった言葉をよく耳にするようになりました。

ところが、小売店や飲食店といった接客業のほか、医療や建設、交通関係など、テレワークが難しい業種は多数あります。そういった仕事に携わっている方々は、新型コロナ対策に細心の注意を払いながら勤務されていらっしゃるはず。そんな昨今の状況から、手洗いうがいの徹底やマスクの着用など、日ごろの生活習慣が自ずと変わった、という方も多いのではないでしょうか?

よい習慣は今後もしっかり継続し、悪い習慣があれば改善しよう……と考えるのは簡単ですが、いざ実行するとなると簡単ではありませんよね。

実際、これまでに生活習慣の改善に取り組んだものの、幾度となく失敗してきたという方は少なからずいらっしゃるでしょう。でも、あきらめてはいけません。

『何でも「続く人」と「続かない人」の習慣』の著者・伊藤良さんは、「少しずつでも前進しているという成長感を味わうことが、続く人になるポイント」と言います。

人間の本能は急な変化を嫌うため、いきなり大きな変化を起こそうとすると「習慣のリバウンド」が大きくなり、挫折しやすくなるのです。だからこそ、最初は気軽に取り組める小さな一歩からスタートし、徐々に心と体を慣らしていくことが大切。

以下では、仕事や生活の習慣を見直し、改善するためのコツをご紹介します。仕事をよりスムーズにこなすため、ダイエットや運動、ブログの更新といったプライベートの充実のために、ぜひ役立ててください。

テレワークできない業種の人向け!生活習慣の見直し方5選

■1:ルーティンのチェックリストを作る

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見える化で、生活習慣を改善しましょう。

仕事や日常生活の習慣を改善しようと決めたとき、「今日から毎日やろう」と考えるだけで済ませていませんか? 

残念ながら頭の中でイメージするだけだと、自分の成長を正確に把握できず、改善の効果がなかなか実感できません。そこで伊藤さんがおすすめしているのは、やると決めた習慣を書き出したチェックリストをつくり、きちんと実行できたかどうかを記録することです。

「成長の見える化によって、自分で決めたルーティン(習慣)が実行できていることを客観視すると、それが『自分でもしっかり続けられる』という自信につながります。

チェックリストをつくるときのポイントは、1日に10個のルーティンを、難易度ごとにバランスよく組み込むこと。

最初は、最重要のものをひとつ(例:ブログの更新、学習など)、できたらよいことを3つ(例:早起き、運動など)、普段の生活で意識する簡単なことを6つ(例:手洗いうがい、読書など)というバランスがおすすめです。

ただし、1日24時間のうち、自由に使える時間には限りがあるはず。ですから、まずは自分が自由に使える時間がどれだけあるのかを知り、その時間内にこなせる内容を設定しましょう。

そしてもうひとつのポイントが、毎月1回リストを更新すること。なぜなら、毎日全部クリアできるほど簡単すぎると成長がないし、逆に難しすぎるとストレスになるからです。

リストを更新するときは一度に全部変えるのではなく、安定してクリアできるいくつかのルーティンを、少し難しいことと入れ替えてみてください」(伊藤さん)

日々の暮らしにルーティンのチェックリストを取り入れて、主体的に生活習慣を改善しましょう。

■2:失敗を記録して資産化する

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「失敗」を「学び」と捉えることが大切です。

人間なら多かれ少なかれ失敗をするもの。とはいえ、同じ失敗を繰り返すことは、できる限り避けたいですよね。そのためには自分の失敗を記録し、失敗のパターンを知ることが不可欠です。

「成長する人は、失敗を記録し、資産化することで再発防止に役立てています。例えば、ダイエットに失敗したら、それを手帳やノートなどに記録し、原因と対策を考えることが大切。

もし帰宅途中にコンビニに寄ってお菓子を買ってしまうことが原因なら、コンビニの前を通らないようにルートを変えたり、空腹時のストレスでつい食べ過ぎてしまうことが原因なら、別のストレス発散方法を用意したり……といった具合です。

失敗の記録は、週に一度振り返ればOK。振り返りのタイミングは人それぞれで構いませんが、おすすめなのは金曜日の夜から月曜日の午前中のあいだです。

なぜ休日がよいのかというと、誰でも自分の失敗に向き合うのは大変だから。自分としっかり向き合う時間を設けることは、自己成長のために欠かせません。朝起きてからの30分でも充分なので、週に一度は振り返りをする習慣を身につけられるといいですね」(伊藤さん)

失敗は成功のもとです。何か失敗をしてしまったときは、それを単に「失敗」と捉えるのではなく「学び」と捉えることを心がけてみましょう。

■3:隙間時間に取り組むことを決めておく

どんなに忙しい日でも5分、10分程度の隙間時間が生まれることは、1日のうちにたびたびあるはず。そんなとき、なんとなくスマホをいじって過ごしてしまいがち……。ですが、ひとつひとつは短い隙間時間でも、積み重なれば1~2時間になります。ということで「5分あったらやることリスト」を用意しておくのはいかがでしょうか?

「電車での通勤中やランチタイムなどに生じる隙間時間は、自己投資に充てる絶好のチャンス。例えば、電車に乗ったら電子書籍を読む、道を歩くときは英語学習ポッドキャストを聞く……など、あらかじめ5分あったら何をやるかを明確にリスト化しておきましょう。

そうすれば、急に隙間時間ができても『どうやって時間を潰そうか』と考えずに済みます。

また、ランチタイムはただの食事時間にするのではなく、食事に30分、自己投資に30分というように、2分割するのがおすすめ。1日30分の習慣を毎日続ければ、毎年新しい資格を取ることもできるはずです」(伊藤さん)

毎日忙しい方ほど、要所要所の隙間時間を活かさない手はありません。「やりたいことはあるけれど、それに割く時間がない」という方は、まとまった時間を取ることにこだわらず、隙間時間を上手に活用する方法を考えてみましょう。

■4:ダラダラ休息を取るのはNG

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しっかりと休むことが仕事のパフォーマンスにつながります。

待ちに待った休日……なのに、なんとなく休むことに罪悪感を覚える、という方は案外多いのではないでしょうか。しかし「休むときはしっかりリラックスしたほうが、仕事のパフォーマンスが高まる」と伊藤さん。

「一般的な人の集中力は、長くても30分ほどしか続かないと言われています。そのため、集中力をできる限り長時間キープするには、短時間の集中タイムと適度な休憩を繰り返すことがコツ。実際に、タスク25分・休憩5分を繰り返す『ポモドーロ・テクニック』という有名な手法があるように、大事なのはメリハリです。

ポモドーロ・テクニックを取り入れるのが難しい職種でも、パフォーマンスを高めるために適度なリラックスタイムを設け、ONとOFFのメリハリをつけましょう。

休日も同じで『今日は1日休む』と決めたら、仕事のことは考えないように。また、疲労回復の観点では疲れる前に休むのがいちばんなので、2週間に1回マッサージに行くと決めておくのもよいでしょう」(伊藤さん)

仕事に一生懸命取り組むのは素敵なことですが、知らず知らずのうちに、休憩中も休日も仕事のことで頭がいっぱい、という状態になっていませんか?

休日に限らず、平日でもダラダラ休憩するのではなく、意図をもってきちんと休むことが大切なのですね。

■5:それまでの習慣を一気に変えようとするのはNG

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少しずつ変化する自分を楽しんで。

よい習慣は日々の積み重ねの賜物ですから、始めてすぐに変化が表れることはありません。そうわかっていても、生活習慣を変えようと思うと、つい劇的な変化を期待してしまいますが、その焦りが挫折の原因になってしまうことも……。

「習慣を身につけるときは一気に変わろうとせず、少しずつ変わる自分を楽しむくらいの気持ちで臨むのがよいと思います。そのためには、先述した記録や振り返りに加え、やる気を落とさないことが何より重要です。

習慣的な行動を続けるなら、やる気を出したほうがいいのでは、と思うかもしれませんが、一気にやる気を出しても、必ずその反動がやってきます。だからこそ、成果を出すために意識したいのは『常にやる気を高めておくこと』よりも、『できるだけやる気を落とさないこと』。

やる気を落とさないための工夫として、自分の目標を人に話す、たどり着きたい状態をノートに書き出す、目指しているゴールを読む、ゴールに向けたスモールゴールを設定する、ゴール達成までのリストをつくって更新していく、といったものがあります。

大事なのは、未来の自分がありたい姿に『今日も一歩近づいた』と実感することです」(伊藤さん)

一歩一歩は小さくても、焦りは禁物。5年、10年と続ければ、きっと未来は大きく変わりますよ。


一朝一夕にはいかない生活習慣の改善。それゆえ、いかに無理なく継続するか、そして思うようにいかないときにうまく軌道修正できるかが成功のカギを握っています。できることからコツコツと、自分のペースで楽しみながら取り組めるとよいですね。

伊藤 良さん
良習慣プロフェッショナルコーチ
(いとう りょう)国際コーチ連盟アソシエイト認定コーチ、GCS認定プロフェッショナルコーチなどの資格を持つ「習慣化の達人」。セミナーや読書会を主催するほか、ブログ『良習慣の力!』の運営、メルマガ『複業で自分を磨く習慣』の発行、ビジネス書の執筆など、複数の分野で活動中。http://www.ryoushuukan.com/
この記事の執筆者
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WRITING :
上原 純