本格的な夏がはじまる時期になると、お中元をもらう人も多いことでしょう。お中元をいただいたら、必ずお礼状を書いて送ってくださいね。

当記事では、意外と知らないお中元のお礼状の送り方、マナー、書き方について解説していきます。ご参考になさってください。

■お中元のお礼状とは?

お中元のお礼状とは?
お中元のお礼状とは?

お中元のお礼状とは、そもそもどういったものなのでしょうか。ここでは、お中元、お礼状、それぞれの意味を解説していきます。

お中元の意味

お中元とは、夏時期に大切な方やお世話になった方へお礼の気持ちを込めて贈り物をして、夏のご挨拶をすることをいいます。 お中元の「中元」とは、中国の道教における祭日のひとつで、旧暦7月15日のことです。

この日に中国では、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教行事が行われており、それが日本へと伝わって、盂蘭盆会がお盆の行事となりました。そのお盆のお礼として、親族やお世話になった方に贈り物をする習わしがお中元となったのだそうです。

お礼状の意味

お礼状は、文字通り、いただいた贈りものに対するお礼を伝える手紙のことです。また、品物を受け取った旨を伝えるためでもあります。書き方にはマナーがありますので、次項で説明していきます。

■ビジネス、上司、親戚…お中元のお礼状の書き方は違うの?

ビジネス、上司、親戚と相手によってお礼状の書き方は少し異なります。これから説明していきますので、お礼状を書くときに役立ててみてください。

■お中元のお礼状の送り方とマナー

お礼状を送るときには、相手に失礼がないよう送り方とマナーに気を付けたいところです。ここではお礼状の送り方とマナーについて解説していきます。

送るタイミング

お礼状は、お中元をいただいてからすぐに送るようにしましょう。できればお中元が手元に届いてから3日以内がベスト。遅くても、1週間以内にはお礼状が相手に届くようにするのがマナーです。

お礼状を送るタイミングを逃したとしても、そのままなにもしないということは失礼にあたるので、必ずお礼状を送るようにしてください。

手紙・はがき

お礼状は、手紙やはがきで送ると大変喜ばれます。手紙はかしこまった印象、はがきだとややカジュアルなイメージとなるので、相手によって使い分けることをおすすめします。目上の方やビジネスでのお礼状であれば手紙で、親しい方にははがきがよいでしょう。

なお、手紙でお礼状を書く場合の便箋は、白い無地のものか、薄い色で罫線が引いてあるものが無難です。

電話

お礼状を送る前に、電話をして直接お礼を伝えるとさらによいでしょう。電話は、お中元が届いた当日、または翌日に入れるようにしてください。そうすることで誠実な人柄が伝わり、好印象を持ってもらえること間違いありません。

また、電話が苦手な方や、忙しくて電話が迷惑になってしまうこともあるかもしれません。相手の状況がわからない場合は、電話ではなく手紙やはがきでお礼を伝えたほうがいいでしょう。

メール

上司や顧客、目上の方に対しては、お礼状を手紙で送るほうがよいですが、親しい方やビジネス上の関係が対等であれば、メールでのお礼状でも問題ありません。 その際の内容は、

・あいさつ
・お中元をいただいたお礼
・品物の感想
・相手や家族を気遣う言葉 
・結びの言葉

を書くとよいでしょう。

■お中元のお礼状の書き方

お中元のお礼状を書くときの3つのポイントをお伝えします。

手書きが喜ばれる

手書きのお礼状は、あたたかさや人柄が伝わりやすくおすすめです。パソコンで書いてプリントアウトした文字は、やはり冷たく感じられます。心を込めて手書きするようにしてください。

縦書きはビジネス向き、横書きは親戚や親しい人向き

お礼状は縦書きでも横書きでもかまいません。ただし、送る相手によって使い分けるようにすることが大切です。目上の方やビジネスシーンにおいては、縦書きで。親戚や親しい人へは横書きでもよいでしょう。

代筆する場合

お礼状を代筆する場合に気をつけたい点があります。それは、代筆だと失礼となる相手がいるということです。たとえば、勤務先の取締役や重要な取引先などへのお礼状は、お中元をもらった本人が書くようにしてください。

そのほかの場合には、代筆しても問題ありません。その際は、

・「主人が大変お世話になっております」など、関係性がわかるような文章にする
・妻が夫の代筆をした場合には「内」、上司の代筆の場合は「代」を用いる(縦書きであれば名前の左下、横書きであれば名前の右下に、名前よりも少し小さく「内」「代」を書く)
・親戚にや知人には「内」を使わず、連名にする

という点に注意してください。

■お中元のお礼状の内容と例文

「お礼状の書き方はどうすればいいの?」とお悩みの方に、お礼状の構成と例文をご紹介します。

1. 頭語

お礼状に限らず、かしこまった手紙は頭語から書き出します。頭語とは、「拝啓」や「前略」などの挨拶にあたるものです。 頭語と結語の組み合わせには決まりがあり、 頭語を「拝啓」としたらならば、結語は「敬具」 「前略」としたならば、「草々」、 「謹啓」としたならば、「謹白」 とします。

例文

一般的なお礼状の場合

拝啓/拝呈/啓上/一筆申し上げます(差出人が女性の場合)

目上の方へ

謹啓/謹呈/恭啓/謹んで申し上げます(差出人が女性の場合)

親しい方へ

前略/冠省/前文お許しください/前略失礼いたします

2. 時候の挨拶

時候の挨拶とは、季節を表す言葉を使った挨拶の文章です。時候の挨拶は、手紙を送る時期や月によって変わります。お中元時期であれば、7月、8月頃の時候の挨拶を使うようにしましょう。なお、梅雨時期に使える時候の挨拶については後述します。

例文

7月に使える時候の挨拶

・大暑の折
・盛夏の候
・酷暑のみぎり
・暑中お見舞い申し上げます
・暑い日が続きますが

8月に使える時候の挨拶

・残暑の候
・晩夏のみぎり
・立秋の折
・厳しい暑さが続きますが
・朝晩に秋の気配が感じられる今日この頃

3. 相手の近況や健康・安否

時候の挨拶のあとには、相手の近況や健康・安否の文章を続けます。たとえば、「お変わりありませんか」、「いかがお過ごしですか」といった相手の近況をうかがうような文章です。

例文

・貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
・貴殿ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
・ご家族の皆様にはお元気にお過ごしのことと存じます。
・ご機嫌いかがでいらっしゃいますか。
・つつがなくお過ごしですか。

4. お礼や感謝

お中元のお礼状ですから、お礼や感謝の気持ちを書きましょう。その際には、お礼に加えて、喜びや品物に対する感想を添えると、相手に喜んでもらえます。

例文

・このたびは、ご丁重なお中元の品をご恵贈いただき、厚く御礼申し上げます。
・このたびは結構な品をお贈りいただきまして、誠にありがとうございました。
・このたびはご丁寧なお心づかいを頂戴し、深く感謝いたしております。

5. 相手の健康や息災

結語の前に、もう一度相手の健康や息災を気遣う文章を書きます。お中元のお礼状を送る時期は夏真っ盛りで暑さが続く時期ですので、「暑さ」「熱中症」「夏バテ」などの言葉を入れるのもおすすめです。

例文

・貴社の益々のご発展をお祈りしつつ、まずはお礼のみ申し上げます。
・末筆ではございますが、皆様のますますのご健勝と貴社のご繁栄をお祈り申し上げます。
・暑さはまだまだ続きます。熱中症などには十分にお気をつけくださいませ。
・これからが暑さの本番です。くれぐれもご自愛ください。

6. 結語

手紙の最後に書くのが結語です。「さようなら」「それでは」などの挨拶にあたる言葉で、一般的によく使われる結語には「敬具」などがあります。

先にもお伝えしましたが、頭語と結語の組み合わせには決まりがあり、 頭語を「拝啓」としたらならば、結語は「敬具」 「前略」としたならば、「草々」、 「謹啓」としたならば、「謹白」 とします。

例文

一般的なお礼状の場合

敬具/敬白/拝具/かしこ(差出人が女性の場合)

目上の方へ

謹言/謹白/敬白/かしこ(差出人が女性の場合)

親しい方へ

草々/不一/かしこ(主に差出人が女性の場合)

7. 日付・差出人名

結語を書き終わったら、手紙を書いた日付と差出人の名前を書き入れます。日付は、年月日を漢数字で書くようにしてください。

例文

令和〇年〇月〇日 〇〇〇〇(名前)

■お中元のお礼状にふさわしい、梅雨の時候の挨拶例文

お中元のお礼状にふさわしい、梅雨の時候の挨拶例文
お中元のお礼状にふさわしい、梅雨の時候の挨拶例文

梅雨の時期の時候の挨拶は、梅雨時期、梅雨明け前、梅雨明けといった梅雨のいつごろなのかによって異なります。それぞれの例文をご紹介します。

梅雨時期の例文

・「梅雨入り宣言が出され、雨降りの日々が続きます」
・「今年もまた梅雨の季節となりました」
・「紫陽花の花のように、色とりどりの傘が街に開いています」

梅雨明け前の例文

・「いよいよ梅雨明けも間近となり、夏本番がやってまいります」
・「梅雨明けが待ち遠しいこの頃。いかがお過ごしでしょうか」

梅雨明けの例文

・「梅雨明けのみぎり、皆様にはいっそうご活躍のこととお慶び申し上げます」
・「ようやく梅雨も明け、夏らしい青空が広がっています」
・「長かった梅雨が明け、いよいよ夏本番となりました」

■ビジネス関係者へのお中元のお礼状例文・テンプレート

取引先などのビジネスシーンで使えるお中元のお礼状例文をご紹介します。

例文1:手紙

謹啓 大暑の折、皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 さて、このたびは、ご丁重なお中元の品をご恵贈いただき、誠にありがとうございます。弊社一同でおいしく賞味させていただきました。ご過分なご配慮に深く感謝いたします。
 皆様のご厚意にお応えすべく、なお一層励んでまいりますので、変わらぬご支援、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
 末筆ではございますが、皆様のますますのご健勝と貴社のご繁栄をお祈り申しあげます。                                                 謹白
令和〇年〇月〇日                                〇〇株式会社 〇〇〇〇

例文2:ハガキ

拝啓 酷暑の候、貴社より一層ご隆盛のこととお慶び申し上げます。
 さて、このたびは結構な品をお贈りいただきまして、誠にありがとうございました。
 平素は、私どもの方こそお世話になっておりますのに、このようなお心遣いをいただき、恐縮いたしております。
 貴社の益々のご発展をお祈りしつつ、まずはお礼のみ申し上げます。                                                 敬具 
令和〇年〇月〇日                               〇〇株式会社 〇〇〇〇

■上司へのお中元のお礼状例文・テンプレート

上司へのお中元のお礼状例文をご紹介します。ポイントは個人宛であること、上司に妻や子どもがいる場合には、家族を気遣う言葉を添えるとよいでしょう。

例文1:手紙

拝啓 梅雨明けのみぎり、○○部長ならびにご家族の皆様におかれましては一層ご壮健のことと存じます。
 さて、このたびは旬の名産物を頂戴し、深く感謝いたしております。家族一同大喜びして、早速美味しくいただきました。公私にわたり、細やかなお心づかいありがとうございます。
 これからが夏本番です。どうぞお体ご自愛ください。
 略儀ながら書中をもちまして、お礼方々お願い申し上げます。                                                敬具
令和〇年〇月〇日                                      〇〇〇〇

例文2:ハガキ

拝啓 晩夏の折、皆様にはお元気でお過ごしのことと存じます。
 さて、このたびはまことに結構なお中元の品をいただき、厚く御礼申し上げます。細やかなお心づかいに恐縮するばかりです。
 暑い日が続きますので、夏バテなどには十分にお気をつけくださいませ。
 略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます。                                                敬具
令和〇年〇月〇日                                      〇〇〇〇

■親戚や親しい人へのお中元のお礼状例文・テンプレート

親戚や親しい人へのお礼状なら、少しくだけた文章でもよいでしょう。例文をご紹介しますので参考になさってください。

例文1:手紙

前略 梅雨入り宣言が出され、雨降りの日々が続きますがいかがお過ごしでしょうか。おかげさまで私どもは賑やかに暮らしております。
 さて、このたびは涼やかなお中元の品をお贈りいただき、ありがとうございました。ゼリーの詰め合わせに家族全員が大喜びで、毎日のおやつにいただいております。
 いつもながらのお心づかいに感謝の気持ちでいっぱいです。
 長雨が続きますので、くれぐれもお体ご自愛ください。                                               かしこ
令和〇年〇月〇日                                      〇〇〇〇

例文2:ハガキ

前略 厳しい暑さが続きますが、皆様いかがお過ごしですか。おかげさまで私どもは元気に過ごしております。
 さて、このたびは素敵なお中元の品をお贈りくださいまして、誠にありがとうございます。早速お昼にいただいた素麺を美味しく賞味しました。つるりとしたのどごしと涼感があり、暑い日にはもってこいですね。〇〇様にはお心配りいただき、感謝の念に堪えません。
 当分暑さが続きますので、夏風邪など召されぬようご自愛ください。                                                草々
令和〇年〇月〇日                                      〇〇〇〇

お中元のお礼状はコミュニケーションを豊かにするツール

お礼状は大切なコミュニケーションツールであり、礼儀でもあります。大人の女性ならスマートにお礼状を送りたいものです。できれば手書きで、送るときのマナーにも気を付けて、相手に気持ちが伝わるお礼状を書くようにしてください。

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