ファッション賢者が、Preciousアーカイブのなかから厳選! 時代を経ても色あせない「不朽の名品」

創刊以来、Precious に登場した多くの「名品」のなかから、永遠に色あせることのない「名品」とは何か、を改めて、ファッションプロのみなさんが厳選。それぞれの「名品」に対する思い入れやエピソードとともに、お届けします。

「名品特集」がスタートしたのは今から16年前の、Precious創刊号から。ファッションプロの方々に推薦していただいた「名品」候補アイテムを、スタッフが実際にお店に出向いてリサーチし、心から納得できたものだけを、「名品」として選定。

商品の歴史やつくり手の思いまでを伝えるこの特集は、当時女性ファッション誌として、画期的なものでした。 試行錯誤の結果、たどり着いたひとつの結論は、「名品」とは、観賞に値する美しさだけでなく、実用性も含めた実力を兼ね備えたアイテム、流行に左右されない不変のアイテム、ということ。

いつの時代も、ワードローブの定番。デルヴォー(Delvaux)の『ブリヨン』

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「デルヴォー」の創業は、1829年。この年はベルギーがオランダから独立する前年にあたり、まさにベルギー王国建国とともに誕生した、王室御用達の老舗ブランド。そのアイコンバッグである『ブリヨン』の原型は、1958年のブリュッセル万博に向けつくられたもの。女性が活躍する新たな時代の幕開けにふさわしい、機能的なバッグとして提案された。ベストドレッサーとして知られるマチルド王妃も『ブリヨン』の愛用者。Precious2019年9月号掲載[Precious2020年8月号73ページ]

一見シンプルに見える類いまれなる職人技に、抑制のきいた色気が感じられることも、Preciousがセレクトした理由です。

「美しいものは、緊張感にも似たバランスをもっているものです。なぜ緊張感かというと、それが1mmでも違えばバランスがくずれてしまうから。デルヴォーの『ブリヨン』は、昔のものと現状のモデルでは、本当に微細なデザインの違いがあります。

よくできた『名品』は、歩みを止めずに完成度をどんどん上げ、これ以上は無理、というところから、もう一歩先、1mm先に歩みを進めることで、孤高のものとなるのです。

長い伝統をもつブランドでありながら、トレンドが変化しても、あらゆるスタイルに寄り添っていく。時代をつかむ力、包容力が素晴らしいと思います」(植原ほのさん/リデアカンパニー執行役員エグゼクティブスーパーバイザー)

時代とともに、少しずつアップデートされながらも、常に芯がぶれないから、いつでもワードローブの定番になれる。これも「名品」たるゆえんです。


「不朽の名品」で掲載した商品は、過去のPreciousで掲載した記事からの転載なため、現在は買えないものも含まれています。ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

WRITING :
河西真紀
EDIT&WRITING :
兼信実加子、喜多容子(Precious)