秋の風情あるならわしに、十五夜に月を眺めるお月見があります。そこで当記事では、2020年の十五夜はいつなのか、また、十五夜とはそもそもどんなものなのかを、十五夜の別称や十五夜の決め方と合わせて確認してみましょう。さらに、十五夜のお月見にふさわしいお供え物についてもご紹介します。

■2020年の十五夜はいつ?

2020年の十五夜はいつ?
2020年の十五夜はいつ?

秋に夜空を見上げて美しい月を眺める、十五夜。2020年の十五夜はいつになるのでしょうか?

今年の十五夜は2020年10月1日(木)

2020年の十五夜は、10月1日(木)です。

十五夜は毎年違う

十五夜は、毎年日付が異なります。だいたい9月から10月の間ですが、日付にもかなり差があります。ちなみに2021年以降の十五夜は次の日程です。

2021年:2021年9月21日
2022年:2022年9月10日
2023年:2023年9月29日
2024年:2024年9月17日

■十五夜の決め方

では具体的に、十五夜の日付はどのように決められているのでしょうか?

十五夜は旧暦の8月15日

十五夜とは「旧暦の8月15日」のことを言います。毎年誰かが日付を指定しているわけではなく、旧暦に合わせて決まるものなのです。

旧暦の8月15日を新暦に置き換えると、その日付は毎年変わります。月の満ち欠けのサイクルは平均29.5日ですが、旧暦ではそれを1ヶ月としていました。12ヶ月をカウントすると354日となり、新暦の1年と10日余りもずれが生じます。

そのままにしておくと、暦がどんどん先に進んで、夏にお正月を迎えてしまうようなことにもなりかねないため、旧暦では2~3年ごとに閏月を置いていました。1年を13か月とし、暦のずれを解消させていたのです。たとえば、4月と5月の間に閏月を設けた場合、その月は「閏4月」などと呼ばれていたそうです。12月の次に13月があったわけではありません。

そのような理由から、旧暦より新暦のほうが常に1~2ヶ月ほど後ろにずれることになります。

十五夜は満月とは限らない

「十五夜は月が満ちて、きれいに満月になるもの」と思っている方も多いかもしれませんが、十五夜が必ずしも満月になるとは限りません。その理由は、新月から満月になるまでの日数と旧暦のサイクルに微妙なズレがあるから。

先にもお伝えした通り、旧暦は月の満ち欠けをもとにした暦です。新月になる日を1日として、新月が満月となりやがて次の新月がやってくると翌月の1日としていました。月の満ち欠けのサイクルは平均29.5日で、30日間で次の新月を迎える月もあれば、29日間の場合もあります。

新月になる日を1日とすると、15日頃には満月を迎えることになりますが、実際に新月から満月になるまでの日数は平均して14.76日。そのため、少しずつズレが生じてしまい、15日が満月とは限らないのです。

十五夜と満月の対比表

十五夜の日付と満月を迎える日を比較してみましょう。実際には、十五夜が満月の日ではない年があることがわかるでしょう。

2020年までは、しばらく十五夜は満月ではありませんでした。しかし、来年の2021年から、22年、23年は、3年連続、十五夜が満月のようです。十五夜に満月を愛でられるラッキーな年が3年も続けてくるなんて、とても素敵ですね。

2015年 十五夜は9月27日 満月は9月28日
2016年 十五夜は9月15日 満月は9月17日
2017年 十五夜は10月4日 満月は10月6日
2018年 十五夜は9月24日 満月は9月25日
2019年 十五夜は9月13日 満月は9月14日
2020年 十五夜は10月1日 満月は10月2日 ←今ココ
2021年 十五夜は9月21日 満月は9月21日
2022年 十五夜は9月10日 満月は9月10日
2023年 十五夜は9月29日 満月は9月29日

2024年 十五夜は9月17日 満月は9月18日

■十五夜とは?

そもそも「十五夜」とは、旧暦の毎月15日のことを指します。十五夜とは、年に1回ではなく毎月訪れるものなのです。旧暦では、新月になる日が毎月1日で、15日は満月となる日が多くなります。そのため満月にあたる15日の夜に見える月を「十五夜」と呼ぶのです。

昨今では、もっとも月が美しく見える秋の時期の十五夜を、お月見のための特別な月として「十五夜」と呼ぶことが一般的です。

十五夜にお月見するのはなぜ?

秋の季節は、1年の中でも特に空気が澄んでおり、また、月の出る位置も高すぎず・低すぎずのちょうどいいポジションとなり、月がもっともきれいに見える時期と言われています。

また、日本古来の農業において、栽培管理をしていくうえで月の満ち欠けは重要なサインとなっていました。農業と月には深い関係があり、満月の夜に作物の実りに感謝するお祭りが行われていたことから、それがお月見という習慣につながっていったようです。

十五夜の歴史や由来

昔から日本では、貴族たちが月を眺めてお酒を楽しんだりする習慣がありました。そして、江戸時代の頃になると、それが庶民にも広まっていったと言われています。また、月を見ながら豊作に感謝して喜び、翌年も収穫に恵まれるよう祈る意味合いもあり、それがお月見のルーツとされています。

■十五夜の別称

十五夜は「中秋の名月」とも呼ばれます。なぜ「中秋の名月」という別名がつけられたのでしょうか?

中秋の名月

旧暦で、秋は7月~9月です。そしてその中間にあたる8月を「中秋」と呼んでいました。そのことから、「旧暦の8月15日の月」を「中秋の名月」と呼ぶようになったのです。十五夜は旧暦で15日にあたる日のこととご説明しましたが、その中でも旧暦の8月15日が特別に「中秋の名月」と呼ばれるのは、1年の中でもっとも月が美しく見える時期だからです。

また、「中秋の名月」は「仲秋の名月」と書くこともあります。旧暦では、7月を初秋、8月を仲秋、9月を晩秋と呼んでいるため、「仲秋の名月」と言われることもあるようです。

しかし、「中秋の名月」は秋の真ん中に見られる旧暦8月15日の月そのものを指す言葉であり、「仲秋の名月」は旧暦8月15日だけではなく、8月(仲秋)の美しい月、という意味にも取れてしまいます。

「仲秋の名月」の「名月」を「満月」と捉えると「仲秋の名月」としても問題ないかもしれませんが、旧暦8月15日の月を表すには、やはり「中秋の名月」がふさわしいといえるのではないでしょうか。

とはいえ、「中秋」と「仲秋」を同じ意味としている辞書があったり、日常生活の中でも同じ意味で使われることも多いため、どちらの漢字も同様に捉えられているようです。

2020年の中秋の名月はいつ?満月じゃないの?十五夜との違いや、中秋の名月と仲秋の名月、どちらが正しいのかをチェック>>

芋名月

旧暦の8月15日である十五夜は、「芋名月」という別名もあります。これはちょうど作物の収穫にあたる時期で、収穫への感謝や豊作祈願のため里芋の新芋をお供えしていたことが理由。そのため「芋名月」と呼ばれるようになったようです。

またこの日は、子どもたちが他人の家のお供え物や他人の畑の芋をとっても大目にみる、という風習もあったと言われています。

仏滅名月

さらに十五夜は「仏滅名月」とも呼ばれます。これは、旧暦の8月15日が必ず仏滅になることから付けられました。旧暦の1日は、毎月どの六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)から始まるのかが決められており、旧暦の8月1日は友引からスタートします。そこから数えると旧暦8月15日は必ず仏滅となるのです。

■十五夜のお月見のお供え物

十五夜のお月見のお供え物
十五夜のお月見のお供え物

十五夜には、お供え物をして満月を眺める習慣があります。定番のお供え物とそれぞれの意味についてご紹介しましょう。

すすき

すすきは、依り代(よりしろ)として十五夜にお供えされていたようです。依り代とは、神霊が宿るものと言われており、憑代(よりしろ)と書くこともあります。神霊は、樹木・岩石・動物・御幣(紙または布を切り、細長い木にはさんで垂らした神祭用具)などを依り代として憑依し、霊験を表すと言われています。

月の神様は、稲穂を依り代にすると考えられていました。しかし、十五夜の時期に稲穂がなかったため、稲穂に似たすすきを代わりにお供えしたそうです。また、すすきには魔除けの意味もあり、お月見にすすきをお供えして1年の無病息災を祈願する意味もあったと言われています。

団子

十五夜のお供え物として、「月見団子」も定番です。米粉を満月のように丸い形に作ったお団子は、豊作の祈願や、収穫への感謝の意味が込められています。月見団子は、十五夜にあわせて15個の団子を重ねます。また、満月は1年に12回あることから、12個の団子を積む場合や、閏年なら13個を重ねることもあります。

農作物

ちょうど十五夜の頃に収穫された野菜や果物などの農作物をお供えすることもあります。これには、収穫の感謝の気持ち、また、これからの豊作への願いが込められているのでしょう。

■十五夜のお月見の伝説・風習

よく「満月にはうさぎがいる」という話がありますが、十五夜のお月見には、人々の間で昔から言い伝えられている伝説や、独特の風習があります。

うさぎが月で餅をついている童話

「満月で、うさぎが餅をついている」という言い伝えがあるのは、うさぎの童話があるから。

あるとき、サルとキツネとうさぎが空腹の老人と出会い、サルとキツネは魚や果物をとってあげたのですが、うさぎだけは何もとることができませんでした。そして、心優しいうさぎは、自ら火の中に飛び込んで自分を食べ物としてささげたのです。そののち、実は神様だったという老人は、心優しいうさぎを月の世界に住まわせたというストーリーです。

月でうさぎが餅をついているのは、うさぎが食べ物に困らないためという説があると言われています。

「お月見どろぼう」の風習

十五夜に飾ったお供え物を子どもたちが盗んでも良しとするのが、「お月見どろぼう」の風習。本来なら盗みは悪いことですが、十五夜に限っては「お月様が持っていった」と喜ばれ、さらに豊作になる縁起がよい行いと考えられていたそう。

そんなことから、子どもたちがお供え物を盗むことが許される習慣が、日本の各地に今もあるようです。

■十五夜以外のお月見

お月見といえば十五夜が有名ですが、十五夜以外でもお月見をするときがあります。

三月見とは

十五夜のほかに、「十三夜」や「十日夜(とおかんや)」というお月見の行事があります。十五夜とあわせて、この3つの月見を「三月見」と呼びます。この3日間すべてで、よく晴れてきれいに月を眺めることができると、とても縁起が良いと考えられています。

十三夜

「十三夜」は、旧暦の9月13日の月を言います。十五夜は旧暦で8月15日なので、それから約1ヶ月後の月のことを十三夜と言います。また、十五夜と十三夜、どちらかの月しか見ないことを「片見月」と呼び、縁起が悪いと捉えられていました。

しかし、この考えは、花街で十五夜に来たお客に対して「十三夜も来ないと縁起が悪い」という理由で誘っていたことが始まりと言われ、縁起が悪いという意味を深く気にする必要はないとも言われています。

十日夜

「十日夜(とおかんや)」は、旧暦の10月10日の月のこと。ちょうど稲刈りが終わる頃で、収穫に感謝してお月見をしていました。十日夜では、十五夜や十三夜とは違い月が満月ではないことが多く、月を眺めるというより収穫のお祝いをする意味合いが強いと言われています。

十五夜には、昔ながらの習慣を楽しもう

秋の夜空に浮かぶ月は、空気が澄んでひときわキレイに見えるもの。すすきやお団子を飾ってお月見を楽しむのは、日本ならではの四季の移り変わりを楽しむ習慣のひとつと言えるでしょう。今年の十五夜にはぜひ、お月見を楽しんでみてはいかがですか?

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