ザラザラとした表面と色合いから、石を削り出したような箱。これは紛れもなく、コウゾ100%の和紙でつくった大小の箱である。

日本古来の手漉きがアートに!

ハタノワタルの和紙と箱

重そうに見える質感の箱だが、素材が和紙のため、拍子抜けするほど軽い。ハタノさんが、基になる紙器と和紙をデザインし、職人がひとつひとつの箱を和紙で覆う。
重そうに見える質感の箱だが、素材が和紙のため、拍子抜けするほど軽い。ハタノさんが、基になる紙器と和紙をデザインし、職人がひとつひとつの箱を和紙で覆う。名刺サイズ各¥1,800・筆箱¥2,800・A5サイズ¥4,800・楮紙(1枚)¥400(京都 やまほん〈ハタノワタル〉)税抜

箱を製作したのは、和紙職人のハタノワタルさん。ハタノさんは仕事に就きはじめた頃、紙漉きに徹した寡黙な職人になろうとしていた。だが、仕事で出会った大工や左官などの優秀な職人は、むしろ、自分たちの仕事にプライドを持ち、いかに伝統的な仕事であるかを周囲に主張していた。

そこで、ハタノさんは、紙を漉くだけではなく、強度のある和紙を壁、床、天井などの内装材に利用。それだけではなく、日本古来の和紙の文化や特性を広めるために、日常的に役立てるもののひとつとして、箱をつくった。

箱の中まで着色、防水加工を施し、石のような表面感に仕上げる。箱は、使い込むほどに、和紙が締まり、やがて、表面にツヤが現れ、革のような質感になるそうだ。ハタノさんが、内装の仕事を通して学んだ和紙の強度を日常的な箱で表現した。使い方を自由に選べる様々なサイズを展開する。
箱の中まで着色、防水加工を施し、石のような表面感に仕上げる。箱は、使い込むほどに、和紙が締まり、やがて、表面にツヤが現れ、革のような質感になるそうだ。ハタノさんが、内装の仕事を通して学んだ和紙の強度を日常的な箱で表現した。使い方を自由に選べる様々なサイズを展開する。

長く受け継がれてきた日本の伝統的な技や仕事でも、ときに途絶えてしまうことを危惧したハタノさんは、今、「アートになった箱」も含めて、和紙を広く日本に伝えようとしている。

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PHOTO :
池田 敦(パイルドライバー)