「糸瓜」って「いとうり」の他になんと読む?乾燥させて良し、水分をとっても良し!

本日9月19日は、俳人・正岡子規(まさおかしき)の忌日『子規忌』です。

~柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺~

という句が大変有名なので一般的には俳人のイメージが強いですが、

子規は俳句や短歌の他にも、小説、評論、随筆、新体詩などの多方面で活躍した、明治期を代表する文学者の一人です。

…というところで、本日1問目のクイズです。

【問題1】「子規」って「しき」以外になんと読む?

正岡子規の雅号「子規」はもともと、ある鳥の名前です。なんの鳥か、以下の選択肢から選んでください。

1:カッコウ

2:モズ

3:ホトトギス

「子規」の「しき」以外の読み方は?
「子規」の「しき」以外の読み方は?

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 3:ホトトギス です。

正岡子規は、なぜこの鳥の名を使ったのでしょう?
正岡子規は、なぜこの鳥の名を使ったのでしょう?

「ホトトギス」にはさまざまな表記(不如帰/霍公鳥/杜鵑ほか)があり、その一つが「子規(ホトトギス)」です。多くの表記があるということは、ホトトギスがさまざまな性質を持っており、人間の見かけやすい馴染み深い鳥である、という事ですが、

正岡子規がこの鳥の名を雅号に使用したのは「ホトトギスは血を吐くまで鳴く」と言われる性質によります。

正岡子規は34歳で若くして亡くなりましたが、晩年の7年間は結核を患い、喀血症状に悩まされながらも作品を発表し続けました。

更に、最も有名な「正岡子規」の名の他にも、言葉の面白さを楽しむ多くのペンネームを用いていました。

有名なものをいくつかあげますと、

・獺祭書屋主人(だっさいしょおくしゅじん)…中国・唐代の大詩人・李商隠(りしょういん)にちなんだ雅号

・野球(の・ぼーる)…自身の野球好きと、幼名の「正岡升(まさおかのぼる)」をかけた雅号

などです。

文学者としての、言葉や名前への強いこだわりが感じられ、興味深いですね。

…というところで、2問目のクイズです。

【問題2】「糸瓜」ってなんと読む?

「糸瓜」という日本語の「いとうり」以外の読み方をお答えください。

ヒント:ある植物の名前です。果実を食用にしたり、水分を化粧水などに使用したり、乾燥させて道具にすることができます。

「○○○」と読み仮名3文字です。
「○○○」と読み仮名3文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

正解は↓に!!
正解は↓に!!

正解は… 糸瓜(へちま) です。

正岡子規と糸瓜(へちま)には深い関係があります。

『子規忌』は別名『獺祭忌(だっさいき・前述の雅号にちなむ)』『糸瓜忌(へちまき)』とも呼ばれます。

『糸瓜忌』は正岡子規の絶筆時に詠んだ3つの句のモチーフが「糸瓜(へちま)」であったことに由来します。

~糸瓜咲いて 痰のつまりし 仏かな~
~痰(たん)一斗 糸瓜の水も 間に合はず~
~をととひの へちまの水も 取らざりき~

これらの句は、正岡子規の「辞世の句」だとも言われています。

結核は痰がつまって大変苦しい病気ですが、子規の生きた当時は、痰を切るために糸瓜からとった水が有効だと言われており、特に陰暦8月15日にとると効果的だ、と言われていました。その糸瓜の効能が「もう間に合わない、末期の病人=自分」を客観的にとらえて詠んだのが、これらの句です。

一句目は特に有名で、解釈すると「糸瓜の花が咲いた(果実からとる痰切りに効くと言われる水はまだとれない状態であり) 痰のつまった患者の死体が横たわっている」という、苛烈な内容です。

この句単体で読んでも実に鮮烈ですが、「仏(死体)」が読み手自身の遠くない未来のことである、と知ると、より一層の凄味が、胸に迫ります。この3句は、子規の体調が良くないと聞き、見舞いに駆け付けた友人で俳人の河東碧梧桐(かわひがしへきごとう)の渡した筆で、3句続けて書いたもの、と言われています。

最期まで文学者として、鮮烈な作品を創り続けた正岡子規の忌日は『子規忌』『獺祭忌』『糸瓜忌』ともに、現代俳句の「季語」になっています。

本日は正岡子規の忌日にちなんで、

・子規(しき/ホトトギス)

・糸瓜(へちま/いとうり)

という難読漢字をおさらいしました。

 

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Precious.jp編集部 
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参考資料:『子規言行録 碧梧桐編著版』(太洋社)
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ILLUSTRATION :
小出 真朱