「ポルトフィーノ」という車名を聞いただけで、旅情をそそる。屋根を開けて、秋空を楽しみながら遠くへ行きたいと思う。そんな気持ちにさせてくれるフェラーリの贅沢なモデルが、最新モードにアップデートされたのでご紹介しよう。

新しい走行モード「Race」

エアダムなどがアグレッシブな印象に。
エアダムなどがアグレッシブな印象に。
全長4595ミリ、全幅1938ミリ、全高1318ミリのボディに20インチリム径のホイールと組み合わされたタイヤを履く。
全長4595ミリ、全幅1938ミリ、全高1318ミリのボディに20インチリム径のホイールと組み合わされたタイヤを履く。

フェラーリが、新型車「ポルトフィーノM」を、2020年9月16日に発表した。従来のポルトフィーノをパワーアップかつアップデート化したのが特徴で、パワーも20馬力上がっている。

車名に入った「M」は、イタリア語の「モディフィカート」の頭文字。「パフォーマンスを押し上げる進化を遂げたモデルに使われてきた名称」とフェラーリでは説明する。

456kW(620CV=イタリアの馬力表記)の最高出力と760Nmの最大トルクを持つ3855ccV型8気筒ターボチャージドエンジンをフロントに搭載している。

基本的には従来のポルトフィーノの進化版。ただしエンジンのカムシャフトのプロファイルを変更して馬力を上げるとともに、このモデルに最適化した8段ギアボックスがあらたに搭載された。

もうひとつ、フェラーリが強調する注目点は「マネッティーノ」が5ポジション化されたこと。新設された「Race」のポジションは、「E-Diff」「F1-Trac」「SCM-E Frs」それに四輪のブレーキ圧を制御してコーナリングスピードを上げる「フェラーリ・ダイナミック・エンハンサー(FDE)」の統合制御で、コーナリング性能を中心に、従来モデルに対して「ドライビングプレジャーの最大化」(フェラーリ)をねらったものという。

ちなみに上記のなかの用語解説を簡単しておこう。「E-Diff」は電子制御されたディファレンシャルギアで、駆動力の損失を可能なかぎり抑える働きを持つ。「F1-Trac」は走行状況に応じて最大限の駆動力を確保するトラクションスタビリティコントロール。「SCM-E Frs」は、周波数解析システムとツイン・ソレノイドを装備した磁性流体サスペンション制御である。

「ローマ」とは、違う

GT2+(プラス)というのがパッケージのコンセプト。
GT2+(プラス)というのがパッケージのコンセプト。
インテリアのアーキテクチャーはローマとだいぶ違う印象であるいっぽう、コネクティビティなどはきちんとアップデートされている。
インテリアのアーキテクチャーはローマとだいぶ違う印象であるいっぽう、コネクティビティなどはきちんとアップデートされている。

フェラーリに詳しい読者なら先刻お気づきと思う。これらの特徴は、2019年に本国で、20年に日本で発表された美しいクーペ「ローマ」と基本的に共通だ。

ローマではコクピットも多くの部分がデジタル化されていた。ポルトフィーノMも、10.25インチのタッチスクリーンを備え、2分割画面で、べつべつの操作が行えたり、助手席用に設けられたモニタースクリーンから、音楽やナビゲーションシステムの操作が行える機構を持つ。

おもしろいのは、ポルトフィーノMの発表は、完全なオンライン形式でなされたことだ。日本時間にして21時30分にスタートした発表会に先だって、フェラーリでは、数週間前から顧客に一連のニュースレターを送っていた。

最終的に、特設プラットフォームへアクセスをしてもらい、ポルトフィーノMのコンセプトやスタイリングの変更点、主な技術仕様を解説する限定公開の動画を観られる趣向だった。

「ポルトフィーノMとローマは、かたやオープントップのモデルで、かたやそのクーペ版かいうと、まったくちがうマーケットを対象にしたモデルと思っていただきたい」

オンラインの記者発表会で、マーケティング担当の取締役、エンリコ・ガリレア氏はそう語った。

「ポルトフィーノMは、アクティブなファミリーにも乗っていただきたい。35歳から45歳の夫婦で、子どももいるひとたちが、休みの日に郊外へと出かけるときにも使ってもらいたいと思っています」

問い合わせ先

フェラーリ

この記事の執筆者
自動車誌やグルメ誌の編集長経験をもつフリーランス。守備範囲はほかにもホテル、旅、プロダクト全般、インタビューなど。ライフスタイル誌やウェブメディアなどで活躍中。