コレクションの最前列で、おなじみのブロンドボブ+サングラス姿で腕組みをする姿がおなじみの、米国版『VOGUE』の編集長アナ・ウィンター。

11月に71歳の誕生日を迎えるアナ・ウィンター。スタイリッシュなアイコニックボブは見左。
11月に71歳の誕生日を迎えるアナ・ウィンター。スタイリッシュなアイコニックボブは見左。

彼女のアイコンとなっている、あのウィッグのようなブロンドボブは、一体いつからアナ・ウィンターのスタイルとなっているのか…を、過去のスナップを振り返りながら、アナの歴史とともに探っていきたいと思います。

ブレない女アナ・ウィンターが現在のボブに辿り着くまで

■1981年(31歳)…すでにボブ。シャギーバングとブルネットヘアが新鮮!

初々しさが残る辣腕エディター時代のアナのブルネットボブ。
初々しさが残る辣腕エディター時代のアナのブルネットボブ。

確認できる一番古い画像がこちらの1981年のもの。数多くの雑誌で辣腕をふるっていたころですが、すでにボブでした。どうやら15歳からボブとの噂。なんと50年以上も飽きることなくボブひと筋!

このころは、ヘアカラーはおそらく地毛であろうブルネット。毛先が不揃いなシャギーバングがカジュアルな印象。

2年前の’79年に創刊されたばかりの雑誌『Savvy』のフリーランスエディターとなったアナは、祖母から受け継いだ莫大な遺産を使い、自腹を切って斬新なファッションページをつくっていたのだとか。

そしてこの年、週刊誌『New York』のファッションエディターとして採用され、ファッションとライフスタイルの記事をひとりで作り上げ、シニア・エディターの座に上り詰めます。

この2年後の’83年に米国『VOGUE』のクリエイティブ・ディレクターに抜擢され、3年後の’84年に13歳年上の精神科医と結婚。

■1989年(39歳)…前髪パッツンに。ウィッグ感が出てきた

今は亡きバーニーズニューヨークのCEO兼クリエイティブ・ディレクターのジーン・プレスマンと。
今は亡きバーニーズニューヨークのCEO兼クリエイティブ・ディレクターのジーン・プレスマンと。

‘86年に英国版『VOGUE』の編集長を経験したのち、’88年に38歳という若さで米国版『VOGUE』の編集長に就任。

その翌年には、前髪のギザギザがなくなり、今に近い重めのボブに。ヘアカラーはまだ暗いまま。両サイドにボリュームをもたせすぎたせいか、ズラっぽさ強め…。

メトロポリタン美術館で開催されるコスチューム・インスティチュート・ガラに出席するアナ。
メトロポリタン美術館で開催されるコスチューム・インスティチュート・ガラに出席するアナ。

余談ですが…。こちらは’96年のアナ。ブルネットボブにサングラス姿だと、サングラスにかけられている感が若干否めないのは、気のせいでしょうか…?

■2002年(52歳)…ハイライトを入れて髪色が明るく。顔まわりにシャギーあり

N.Yで開催されるファッション・グループ・インターナショナル主宰の第19回のナイト・オブ ・スターズに出席したアナ。
N.Yで開催されるファッション・グループ・インターナショナル主宰の第19回のナイト・オブ ・スターズに出席したアナ。

ベースの髪をブラウンに染め、ブロンドの細めハイライトをプラスして立体的なヘアカラーにチェンジ。髪色が明るくなり、グッと垢抜けた印象に。顔まわりにシャギーを入れており、顔にかかる短い毛が確認できます。

ちなみに3年前の’99年に15年続いた結婚生活にピリオドを打っています。離婚が心境に変化をもたらしたのか否かは定かではありませんが、’00年を機にアナの髪色が明るくなっています。

■2003年(53歳)…ハイライトが極太に!ブライトカラーが定着。

アメリカファッション協議会(CFDA)が主宰するファッションアワードにて。
アメリカファッション協議会(CFDA)が主宰するファッションアワードにて。

1年後、アナのヘアカラーが進化。ハイライトが極太になり、ブロンドの面積が拡大。立体感と華やかさのあるスタイルですが、個人的には一年前の細めハイライトの方がよかったような…。

ここから数年、ハイライトの太さを変えたり、ハイライトにローライトもプラスした3Dカラーに挑戦したり…と、カラーチェンジを楽しむアナの姿が確認できます。

蛇足ですが、日本ではSMAPの「世界に一つだけの花」が大ヒット。そして、華やかな巻き髪ブームが到来したのですが、巻き髪の立体感を強調するために、アナ同様にハイライトを入れた立体カラーが流行っていた記憶がございます。

■2006年(56歳)…アナボブの完成形。ビッグサングラスもしっくり!

オスカー・デ・ラ ・レンタのリゾートコレクションに出席したアナ。
オスカー・デ・ラ ・レンタのリゾートコレクションに出席したアナ。

アナのボブもようやく完成形に。’05年ころより、ブロンド系のワンカラーもしくは、自然なハイライトを入れた明るめカラーにシフト。

あごラインで切りそろえたウィッグ風のブロンドボブが定着して以降、貫禄もエレガントさもググッとアップ。このころから、サングラス姿をスナップされる確率がグッと高まった印象です。

この年、映画『プラダを着た悪魔』が公開されました。メリル・ストリープ演じる横暴な編集長・ミランダのモデルはアナだと言われていますが、原作者であるローレン・ワイズバーガーは否定。

しかし、’99〜’00年の1年間、彼女がアナのアシスタントを務めていたことは周知の事実…。ローレンに利用されたと感じたアナはカンカンだったという噂もありますが、この映画公開によって、アナの名が世界中に知れ渡ることに。

■2009年(59歳)…年齢を感じさせない、艶やかなボリュームボブ

パリ・ファッション・ウィークにて。パイソンのジャケットをサラリと着こなしてしまうところも素敵。

この年の11月に還暦を迎えるアナ。年齢を一切感じさせない、ボリュームのある艶やかな美髪に思わずうっとり。真っ直ぐに切りそろえるシンプルなスタイルだからこそ、髪の質感が重要です。ブルネットの30代のころよりも若々しく見えるところもあっぱれ!

前年の’08年には母国イギリスで大英帝国勲章(OBE)、’11年にはフランスの名誉勲章である「レジオンドヌール勲章」を受勲。

この年公開された、ドキュメント映画『ファッションが教えてくれること』では、「氷の女王」と呼ばれるアナの人間らしい一面が描かれています。


50年以上もボブヘアを貫きながらも、タイミングに合わせてスタイルをアップデートさせ、年齢を重ねるごとに輝きを増しているのはさすがですね!

以上、ブレない女アナ・ウィンターのヘア遍歴をお送りしました。

この記事の執筆者
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PHOTO :
gettyimages
EDIT&WRITING :
新田晃与