「悩みの9割は人間関係によるもの」ともいわれる現代。特に、職場での人間関係には気を遣います。相手にとって、自分との関係がストレスの原因になっているのでは?と考えこんでしまうこともありますよね。

活躍の幅が広がれば、多くの人に気を配る必要が生まれてきますが、人間関係でのストレスを減らす方法は、意外と誰も教えてくれません。ときには気づかないうちに、自らストレスの原因をつくってしまっていることも……?

そこで、放送作家、戦略的PRコンサルタントとして活躍する野呂エイシロウさんに、「地味に自分の首を絞めてしまっている」人間関係の8つの悪習慣をお聞きしました。ご自身にあてはまるものがないか、見直してみましょう。

■1:相手を基準に動く

 
 

野呂さんは「『自分はここまでやっているのに、相手が全然認めてくれない』という悩みをよく聞きます」といいます。

「ただ、他人に期待することは、一見よいことのように思えますが、実際は『他人が自分の思い通りに動いてくれる』と思い込んでいることにほかなりません。つまり相手を基準に動くと、がっかりすることばかりになってしまうことが多くなるのです。だから僕は、最初から他人には期待しないようにしています。

先日、『○○さんから返事がないのですが……嫌われているのでしょうか?』という相談を受けました。『気にしなくてよいのでは』と答えました。

真実と自分の想像が一致することはありませんので、『他人の気持ちは天気と同じくらいにどうしようもないもの』と考えると、それだけでストレスが減ることに繋がります」

この考え方を身につけるだけで、多少なりともストレスが減りそうですね。

■2:できるだけ大勢の人とつきあおうとする

 
 

続けて、「どんな相手ともつきあおうとする人がいますか、無理をしてつきあうとストレスになります」と野呂さん。

「時間は有限です。たくさんの人とつきあうよりも、ストレスなく、限られた人と濃い時間を過ごすことに注力したほうが、仕事も、プライベートも充実します」

「つきあう人とつきあわない人をしっかりと見極めること」が必要になるそうですが、つきあいづらいなと感じた人が、同じ職場の人だったらどうしたらよいのでしょうか。

「同じ職場の人だったとしても、無理につきあうことがストレスになるような相手だと思ったら、距離を置いてみることが大事です。人どうしは、あえてつきあおうとしなければ、自然と離れていくものです。自分がされる側になると、何か気に障ることをしてしまったのではないか…と思い悩む人もいるかもしれません。ですが、ソリが合わない人どうしが離れていくことは自然なことなので、気にする必要はないのでは」

もちろん口に出して言う必要はありませんが、職場で実践してみると、今よりもストレスから解放された自分に出会えるかもしれません。

■3:根拠がないからといって直感を軽視する

一方で、どんな人とつきあうとよいでしょうか。野呂さんによると、「非常にシンプルです。直感で『いいな』と思った人です」とのこと。

野呂さんは仕事柄、これまでに何万人もの人と名刺交換をしてきたそう。結果、「初対面でも、2秒間目視しただけで、『この人は仕事ができるな』とか、『おそらく意地悪な人だろうな』ということがわかるようになりました」といいます。また、嫌な予感がするのに仕事を引き受けて、大失敗してしまったこともあったとか。

「『つきあう人を直感で探すのは難しい』と感じる人もいるかもしれませんが、そういうときは、ぜひその方のSNSの投稿を見てください。たとえば、あなたが『ステーキを食べました』と投稿した際、『いいですね!』と返してくれた人なら、親身になってくれる可能性があります。一方、『私は松坂牛を食べました!』と返してくる人は、対人関係でも自己中心的な可能性があります。

いずれも、つきあってみてストレスがなければ問題がありませんが、つきあわないようにする根拠がないからといって、嫌な予感がする人とつきあおうとしても、ストレスになります。その人とつきあうかどうかは、直感でOKです」

気の持ちようしだいで、ストレスを生み出す環境を改善することができそうですね。

■4:空き時間にダラダラとSNSを見る

SNSでの人間関係も、ストレスの原因になる可能性があるといいます。

野呂さんによると、「仮にSNSを10分間、眺めただけで、100人を超える人の投稿に接することもあります。リアルに接する人間の10倍以上にのぼることもあるでしょう。さらに、目的を持たないままSNSを見てしまうと、偶然接した情報によって、感情が左右されてしまうことがあるのです。当然、知らなくてもよいことを知ってしまうことにもなり、それでもストレスがたまって消耗してしまいます。

心身の健康のためには適度に無視することも大切です。SNSでの人とのつきあい方も、軽いものにしていく必要があります。SNSはやらなければならないものではありませんので、肩の力を抜いて、10分なら10分と時間を決めて、楽しんでみてください」

息抜きやストレス解消のためと思ってSNSを眺める人も多いかもしれませんが、要注意ですね。

■5:闇雲にコミュニティを増やす

 
 

キャリアを積んだ女性なら、職場以外の場所でもスキルアップに取り組みたいもの。しかし、野呂さんは「同じテーマに興味を持つ人どうしで情報交換することは大切なことですが、コミュニティに入るとたくさんの人に気を遣うことにもなります」と警笛を鳴らします。

「気遣いがストレスになるくらいなら、そのコミュニティには思い切って参加しないほうがよいと思います。ときにはつきあいで『参加しなければならない』と思うイベントなどもあるかもしれませんが、そんなときは、『そのイベントが、自分に何をもたらすのか?』を自問してみてください。

捨てることは『選ぶ』ということです。本当に自分に必要なものだけを選ぶと身辺が整い、よけいなストレスを感じることなく、仕事の効率が上がり、快適に過ごすことができるようになります」

■6:仕事の重要度にこだわる

納期に関する悩みは誰でも経験がありますよね。しかし、野呂さんは、「遅れている仕事に対して、『先方は、怒っているかも』と考えても時間の無駄です。すでに遅れていますので」といいます。

「それに、先方も忙しいかもしれませんし、催促が来ないときは、そんなに怒っていないこともあります」とも。

さらに、「3日前の仕事に催促が来て怒られたとして、それを今すぐすませてメールで送っても、3時間後に送っても、先方にとっては変わらないことが多いです。それならば目の前にある仕掛中の仕事を片づけてしまったほうが、後になって『ここはどうだっけ?』と考え直す必要が省けるので、効率的です。何よりも、すっきりします。

また、『返事が来ないことに気を揉んでいるのでは』と考え、メールを古いものから順番に返すことも、時間をムダにします。メールは一番上の最新のものからどんどん返して行ってしまうほうが、スムーズに終わります」

確かに、新しく来たメールにいったん目を通して、時間をおいてから返事を送ることは二度手間ですね。

■7:些細なことを気にしすぎる

 
 

「人間関係のストレスの悩み対策で有効なのは、気にしないことです」と野呂さん。

「『上司から怒られるのでは』と悩んだりする人が多いのですが、たとえ怒られたとしても、手を上げられることはありません。また、『帰ります!』と言っても、『ダメだ』と頭ごなしに言われることもないでしょう。

なので、帰りたいときに『上司から怒られるのでは』と気にしてしまうよりは、思い切って『帰ります!』と言ってみましょう。意外と帰れるものです」

■8:暇なときに飲み会やパーティーに行く

「闇雲にコミュニティを増やす」にも通じるのですが、野呂さんは、パーティーや飲み会には行かないことを提案します。

「パーティーや会合などには行ったほうがいいのではと思っている人が多いのですが、名刺交換をしてもなんにもならないことが多いです。それなら参加せずに、お金と時間を節約した方がいいです。

『でも、参加しておいたほうがいいのでは』と思う方もいるかもしれませんが、一番大事なのは自分だと思います。よく考えて、パーティーに参加したいのなら参加すればいいし、参加せずに家に帰ってお風呂に入りたいのであれば、帰ればいいのです。

自分を中心に考えるようにする習慣をつけると、人間関係が楽になります。お酒を飲みたくないのなら飲まなければよいのです。今は、お酒を飲まなくても怒られることはありません。お酒を止めたら、朝の寝起きもいいですし、会計では『お酒を飲んでいないから1000円、安くていいよ』と言われることもあります。お財布のストレスも減ります」

また、「自分がリラックスできる場所を、日ごろから見つけておくことがストレス解消のコツです」とも。カフェやなじみのバー、会員制サロン、比較的空いているお店、広場など、いわゆるサードプレイスを見つけておくことは、大人の女性にとって必要不可欠な「自分中心の習慣」をつけることにもつながるようです。

 

以上、「地味に自分の首を絞めてしまっている」8つの悪習慣をご紹介しました。

人間関係の悩みはちょっとした発想の転換で減らすことができるのかもしれませんね。ストレスから解放され、表情も活き活きとしてくれば、職場の同僚だけではなく、他部署の方々からも「あの人、最近、輝いていない?」と好意的な視線を向けられることでしょう。さっそく、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

PROFILE
野呂エイシロウ(のろ えいしろう)さん
放送作家・戦略的PRコンサルタント。1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒業。中学生の頃から放送部に所属してラジオに親しみ、「人が読みたくなる投稿」を追究していった結果、「オールナイトニッポン」などで連日投稿が読まれるようになる。大学時代には学生マーケターとして活躍。学生向け家電の企画立案・宣伝・PRに携わる。その後、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。30歳のとき、戦略的PRコンサルタントとしての活動もスタート。
『考えなくてもうまくいく人の習慣』野呂エイシロウ・著 ワニブックス刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
竹内みちまろ