羽田美智子さんが「羽田甚商店」店主として学んだこと

インタビュー前編では、ECセレクトショップ「羽田甚商店」を起業するまでを語ってくれた羽田美智子さん。自身が「本当にイイ! 」と思ったものだけを紹介・販売するショップは、自身のセカンドキャリアとして情熱を注いでいます。

インタビュー_1,キャリア_1,本_1
 
羽田美智子さん
女優
(はだ みちこ)1968年9月24日生まれ、茨城県出身。1988年、日本旅行のキャンペーンガールに選ばれたことをきっかけにデビュー。1994年公開の映画『RAMPO』でヒロイン役に抜擢され、「日本アカデミー賞」で新人俳優賞を受賞。以降、多数の映画やテレビドラマに出演。主な出演作として『特捜9』シリーズ、『おかしな刑事』シリーズ、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』がある。自身が「本当にイイ! 」と思ったものだけを紹介・販売するネット上のセレクトショップ『羽田甚商店』を2019年4月にオープン。
羽田美智子 オフィシャルブログ

そんな羽田さんに、女優デビューしてから32年間、お茶の間に愛され続ける彼女の生き方や仕事への想いについて伺いました。

13年×4周でひと区切り。52歳からは自分で人生を積み上げる!

Precious.jp編集部(以下同)──2020年9月24日で52歳を迎えた羽田さん。以前から抱いている「52歳で人生を一度リセットする」という考えとは?

30代のころ、ひとまわり上の人たちと親しかったのですが、そのお姉さんたちが「いよいよ52年節だね」って話していたんです。そこで調べてみたところ、現在使用しているグレゴリオ暦の前にあったマヤ暦に基づくものでした。それによると13年がひと周期にあたり、それを4回重ねると52年。その4周までは自分の先祖や親からもらった素質・資質によって守られて生きているけれど、52で一つの区切りがやってきて、それ以降は自分で人生を積み上げる、という意味合いがあるそうなんです。

インタビュー_2,キャリア_2,本_2
本当の勝負は52歳から、と羽田さん

20代、30代、40代とそれぞれ頑張るんですけど、本当の勝負が決まるのって自分がこの世を去るとき。人生どうだったかという集大成を見るときに、「よかった、充実していた」という想いであの世に還っていければいいな、と。そこで、あれをやっておけばよかった、といった想いを残したくないので、52からは本当に自分がやりたかったことをやりたい、と思うようになりました。

「死ぬまでにしたいこと」をテーマにした映画などもあり、以前よりも死について見つめるようにはなったけれど、それでもまだ自分は死なない、ってどこかでみんな思っているかもしれません。でも、52になると若干意識し始めて…(笑)、これからの人生を老後のための準備期間としても捉えています。女優はどこか体力勝負なところもありますが、羽田甚商店では裏方なので、永くやっていけそうです。

──コロナで羽田甚商店に変化はありましたか

真っ先に思いついたのは、長年の親友と販売している「M’s Aroma」というアロマミストですね。アロマは精神的に引き上げてくれたり、鎮静するなどさまざまな効能がありますが、コロナまではどちらかというと香り重視で作っていました。

インタビュー_3,キャリア_3,本_3
羽田甚の大人気商品!羽田美智子オリジナルアロマミスト「M's aroma」©高村瑞穂

しかしコロナになって、仕事もあるしマスクをしたところで本当に大丈夫か、など自分が不安になってしまって。何かできないかな、と思ったときにマスクスプレーがフッと浮かびました。抗ウイルス・抗菌作用のある成分を使って、かつ安心に吸い込めてバリアができるものを作ろう、そうしたらみんなが助かるよね、と親友と話して。

そのマスクスプレーはとてもヒットしているんですが、食事の後も清々しいですし、「満員電車に乗っていても安心感がある」なんて言っていただいたこともあります。他にも、吸い込んでも大丈夫なアロマの虫除けを作りました。

自粛の際は、オンラインでワークショップも開催しました。画面越しだけれど、久しぶりに皆さんと会うことができて、一人暮らしの方など辛い時期だったかと思うので、人と繋がることの大事さを痛感しましたね。また、時間があるときだからできることを、ということで行なった味噌作りのワークショップも人気でした。必要なものを全て含めたキットを作成し、私も一緒に大豆を潰すところから始めて、1か月後に確認しあおう!と。上手に仕上がりましたし、私にとってもいい経験でした。

チャンスも幸せも、いい発想も「隙」から生まれる!

──羽田甚商店の店主として学んだ一番大きなことは?

生産者さんと繋がれたことは大きな財産です。ものが作られる過程を見て、体験して、この年齢になって初めて知ったことも多くて。シャインマスカットを扱っているのですが、有機栽培の最先端では、土壌づくりに何十年も費やしていることを知ったり。巷で販売されているものは多少なりとも農薬が入っていますが、なければないほうがいいですよね。味も全然違うんです。そういったものに触れることで「本物」がわかってきた気がします。

地球にいいことをやっていると、いっときの大変さを乗り越えた先にはいいことしかないようです。無駄がないんですよね。たとえば、お米はやっぱり虫がつくので有機栽培とはいえ多少の農薬は仕方ないらしいんです。でも、羽田甚商店で扱っているお米は、田んぼに沖縄の雪塩と蜂蜜で殺菌しています。そのため糠が真っ白で臭みが全くないんです。捨てたらもったいないような糠なので、糠ごと召し上がってもらうこともおすすめしています。

インタビュー_4,キャリア_4,本_4
「忙しくてちゃんとごはん食べれていないんじゃないかな?」「栄養のバランス考えてる?」そんな店主の想いを18種の雑穀に込めた「羽田甚店主のosekkai雑穀米」©高村瑞穂

本当に地球にいいものは人にもよくて、無駄がないというサイクルがあるんですよね。そして、本当にいいものはたくさんはできない、醤油でもお酢でもいいものは一年に一回の収穫であって、年がら年中できるのは成長を無理に促してしまっているとも聞きました。

昔のものづくりは待つことを学ぶことでもあったようです。現代人は生まれてすぐ勉強でもなんでも詰め込まれて、進化して器用な人が多いから大丈夫なんでしょうけど…「隙」がないですよね。

チャンスも幸せも、いい発想も「隙」から生まれると私は思っています。ちょっとした瞬間に思い浮かぶんですよね。

「諦める」とは、自分に向いているか「見極める」こと

──新しいキャリアに挑戦しようとしているPrecious.jp読者へアドバイスをお願いします。

きっとPrecious.jp読者のみなさんは、やみくもに、ではなく根拠があってひらめいて挑戦される方が多いと思うんです。なので、そのひらめきを大切にしてほしいですね。

また、新しい一歩を踏み出す際は「もし、失敗したら」と怖くなることもあるかと思います。私の女優の仕事でいえば、芝居がうまくいかなかったときが一番怖いのですが、怒りのシーンのためには怒りの、泣くシーンの前には泣く、準備を入念にしておけば絶対できるんです。

それから、もう一つの考えとして、失敗してもいいじゃない、っていう風にどこかで思えたら強いですよね。諦める、という言葉が私は嫌いじゃないんですけど、諦めるとは、明らかに眺める、ということなんですって。仏教用語からきているようなんですが、自分に向いているのか、それとも不向きなのか明らかにするってことなんですよね。もう一回チャレンジするかしないかを見極めるっていう。

人生は一回きりだからやらないことよりやった方がいいんじゃない、って思います。やらないで平穏な人生を送るのも素敵だけど、やってみて後悔するのも学習ですし。人生って意外と短いですよ(笑)

インタビュー_5,キャリア_5,本_5
『羽田さんに聞いてみた、小さな幸せの見つけ方』(宝島社)¥1,400(税抜)羽田さんの生き方や仕事への想いが詰まった1冊は、2020年10月9日(金)に発売されます!

羽田甚商店


誰もが思わず心を許してしまうような、ホッとするような穏やかな語り口の羽田美智子さん。しかし、発する言葉からは、ひとりのサクセスフルなキャリア女性としてのひたむきさや情熱がひしひしと伝わってきました。

その信念、暮らし方、考え方、幸せとの出会い方など、人生のヒントが詰まった新著、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?

問い合わせ先

宝島社

関連記事

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
PHOTO :
小倉雄一郎
WRITING :
神田朝子