『el tempo』ってなに? 新しいバンド? いえいえ、『el tempo』はソロのドラム&ヴォーカルでありながら、ミュージック・シーンのみならずモデルや女優などマルチな表現に挑むシシド・カフカがプロデュースするプロジェクト。そのベースとなっているのは、彼女が2015年に訪れたアルゼンチンのブエノスアイレスで観たライヴだという。

モデルや女優などでマルチに活躍するシシド・カフカ

 友人から勧められて観に行ったそのライブは、「Rhythm with Signs」と呼ばれるサインシステムによって複数の演者が即興で演奏するというもの。ブエノスアイレスで人気となっていた、こうしたサインシステムを導入した演奏は、ヨーロッパでも高く評価されてムーヴメントとなりつつある時期だった。

ブエノスアイレス発!ハンドサインによる即興演奏で心も体も踊る

ハンドサインによる即興演奏の様子

 コンダクターが出すハンドサインによって、たくさんのドラマー・パーカッショニストが繰り出す即興演奏。それに応じて、思い思いのスタイルで化学反応をおこす観客たち。シシド・カフカは、ブエノスアイレスで出会ったそのライブに身を置いたその空間そのものに衝撃を受けたという。

 彼女は「Rhythm with Signs」によるプロジェクトを日本で立ち上げることを決意して、2018年に再びブエノスアイレスに渡る。それは、このサインシステムの開発者で、パーカション奏者でありプロデューサーとしても活躍するサンティアゴ・バスケスのもとで「Rhythm with Signs」を学ぶためだった。

 2か月間の留学を終えて帰国した後、2018年の10月に日本初となる「Rhythm with Signs」によるプロジェクト『el tempo』のライブが実現。2019年には高崎音楽祭に出演するなど、実演も回を重ねている。その新しい演奏スタイルに、また、オーディエンスとしてその場にいることに魅せられる人たちが増えている。

アーカーブ配信による視聴で感動を繰り返し楽しむことができる

『el tempo』のブルーノート東京での初ステージ
『el tempo』のブルーノート東京での初ステージ

 そんな話題のプロジェクト『el tempo』のブルーノート東京での初ステージがついに実現。これまでの『el tempo』は打楽器ばかりの演奏だったが、今回は、ピアノとギターが加わるという、これまでにないスタイル。『el tempo』初体験の人はもちろん、すでに魅了されているファンにとっても新鮮なステージになるに違いない。コンダクターとして、バスケス氏直伝のハンドサインを出すシシド・カフカの雄姿は、カフカ・ファンも必見だ。

「このサインを知っていたら、どの国の人とも音楽でコミュニケーションがとれるんです」

 そう語るシシド・カフカ出演のトーク番組が、ブルーノート東京のYouTubeチャンネルで無料配信中。サンティアゴ・バスケスとの中継による対談も興味深い。

 

 10月10日(土)と間近に迫ったブルーノート東京でのステージは20時にスタート。すでに会場での観覧チケットはソールドアウトとなっているが、嬉しいことにインターネットでもライブ配信(有料)される。翌週17日の23時59分までアーカイヴ配信が視聴可能なため、リアルタイム視聴が間に合わないという人も大丈夫。繰り返し視聴してハンドサインを研究する、なんていうコアな楽しみ方もできる。

 シシド・カフカのハンドサインサインが導く即興演奏は、いったいどんな魔法を生み出すのか。期待に胸が高まる。

エル・テンポ directed by シシド・カフカ

配信日時/10月10日(土)Open6:30pm Start8:00pm

※インターネット配信(有料)実施予定
※アーカイブ配信視聴期間/10月17日(土)23:59まで
※アーカーブ配信の内容はライヴ配信と異なる場合があります・

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ご予約/お問合せ

ブルーノート東京

TEL:03-5485-0088

この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。