秋ならではの行楽「紅葉狩り」とは、そもそもどのようなことを指すのでしょうか。また、紅葉狩りの「狩り」には、どのような意味や起源があるのでしょうか。当記事では、紅葉狩りに関連する日本の伝統芸能や、紅葉狩りの楽しみ方をご紹介しましょう。さらに、2020年に訪れたい全国の紅葉狩りの名所を、北海道・東北、関東、関西(近畿)、中国、四国、九州・沖縄の各地域ごとにチェックしてみました。

■紅葉狩りとは

紅葉狩りとは
紅葉狩りとは

秋の行楽シーズンの楽しみのひとつに、「紅葉狩り(もみじがり)」があります。ここでは、紅葉狩りの意味や起源についてチェックしてみましょう。

紅葉狩りの意味

紅葉狩りとは、紅く色づいた木々を見るために山野へ出かけること。日本各地に紅葉が美しい名所があり、秋になるとそれらのスポットには、紅葉狩りを楽しむ人々が大勢訪れます。

紅葉狩りの起源

紅葉狩りをする習慣は、奈良時代や平安時代に貴族の間で始まったと言われています。春には桜を眺めるお花見がありますが、秋には紅葉を見ながら宴を開き、和歌を詠んだりしていたのです。

紅葉狩りの歴史

貴族の間で始まった紅葉狩りが、江戸時代頃には庶民の間にも広がったと言われています。こうして現代でも、紅葉見物に出かける習慣が続いているのです。

英語でいうと?

「紅葉」は英語で、「autumn leaves」「autumn colours」「autumn foliage」などと表現します。「紅葉狩り」は「go leaf-peeping」「autumn leaves viewing」などを使い、「I went leaf peeping.(紅葉狩りに出かけてきました)」などと使います。

■紅葉狩りの「狩り」って何?

なぜ「紅葉狩り」には「狩り」という言葉が使われているのでしょうか?「狩り」で狩猟などの意味を想像すると、不思議な感じがするかもしれまんせん。

果物を採る意味から、観賞する意味に発展

「狩り」の言葉には、獣を捕まえる意味がありますが、これが小動物や果物を採る意味にも使われるようになったため、「ぶどう狩り」や「きのこ狩り」などの言葉が出てきました。その流れから、草花を観賞する意味にも使われるようになり、「紅葉狩り」を言われるようになったとされる説があります。

「桜狩り」という言葉もある

桜を見て楽しむ行事といえば「お花見」ですが、「桜狩り」という言葉も古くからあります。これは「紅葉狩り」と同じように、桜の花を求めて楽しむという意味合いがあるのです。

「歩く」ことを「狩り」に例えた

昔の貴族の間では、「土の上を歩くことはあまり上品な振る舞いではない」と考えられていたのだそう。ですので、紅葉を見に行くときには「紅葉を狩りに行く」と表現し、歩き回って紅葉を鑑賞するのではなく、「狩りに行く」と粋な言い方をしていたという説もあるようです。

■紅葉狩りと日本の伝統芸能

紅葉狩りは日本の四季の美しさを表す行事のひとつであり、歌舞伎や能のような伝統芸能の演目にもなっています。

歌舞伎

歌舞伎役者である七代目市川團十郎と九代目市川團十郎が選び抜いた成田屋・市川宗家のお家芸「新歌舞伎十八番」のひとつが「紅葉狩り」。戸隠山へ紅葉狩りに訪れた平維茂(たいらのこれもち)が、更科姫(さらしなひめ)という姫に姿を変えた鬼女と出会い、最後はその鬼女を成敗するストーリー。

女形のあでやかな踊りと、迫力あるダイナミックな立ち回りを楽しめるとあって、人気のある演目のひとつです。

能の「紅葉狩り」も歌舞伎と同じように、平維茂が登場します。紅葉狩りの宴を開く美しい女と出会った平維茂は酔いつぶれてしまうのですが、女が鬼女だったとわかり、最後は激しい戦いの末に鬼女を対峙します。

妖艶な女が鬼女と正体を明かし、異なる世界へ展開していくストーリーに引き込まれていきます。

■紅葉狩りの楽しみ方

紅葉狩りの楽しみ方
紅葉狩りの楽しみ方

ただ紅葉を眺めるだけでなく、プラスアルファの楽しみを加えて、贅沢に秋の時間を満喫しませんか?

紅葉狩り×美食

秋は食べ物がおいしい季節。そのため、紅葉を眺めながらグルメを堪能するのも素敵です。紅葉の絶景を楽しめるレストランやカフェなどで、秋の味覚をふんだんに味わってはいかがでしょうか。

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紅葉狩り×パワースポット

神社などのパワースポットは、木々が多く植えられ、紅葉が美しい場所が多いもの。そんな場所にせっかく訪れるのなら、紅葉が見頃な時期にしてみましょう。紅葉を楽しみながら訪れれば、格別なご利益がありそう。

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紅葉狩り×温泉

露天風呂に入りながら紅葉狩りができれば、至福の時間になるはず。温泉宿には紅葉プランを設けているところもありますし、宿泊が難しい方なら足湯だけのサービスなどを利用してもいいかもしれません。

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■2020年に訪れたい、全国の紅葉狩りのおすすめ名所

日本には、紅葉狩りにふさわしいスポットが全国各地にあります。そこで、2020年の秋シーズンにぜひ訪れたい、おすすめの紅葉狩りの名所を地域ごとにご紹介しましょう。

■北海道・東北の紅葉狩りの名所のおすすめ

自然豊かな山々が多い北海道・東北地方には、紅葉狩りに最適な絶景スポットが数多くあります。

見ごろはいつ?

寒い場所では9月下旬から始まり、10月中旬頃がピークとなり、11月上旬まで楽しめる場所もあります。

「藻岩山」(北海道札幌市中央区)

広大な北海道には紅葉のすばらしいスポットが数多くありますが、札幌市中心部の近郊で紅葉を楽しむなら藻岩山がおすすめ。札幌市を一望できる展望台から、山全体が紅葉に包まれた風景を眺めることができます。

札幌もいわ山ロープウェイ

「角館(かくのだて)武家屋敷通り」(秋田県仙北市角館町)

「みちのくの小京都」とよばれるように、風情ある街並みが続くのが武家屋敷通り。重厚な黒板塀に、赤色のカエデやモミジが重なる景色はフォトジェニック。紅葉の時期にはライトアップされます。

仙北市角館武家屋敷通り紅葉ライトアップ2020

■関東の紅葉狩りの名所のおすすめ

都心から電車や車に乗って、短時間でアクセスできる場所にも、紅葉狩りの名所がいっぱいです。

見ごろはいつ?

関東地方なら、紅葉が見ごろを迎えるのは11月中旬から下旬頃。山間部ではそれよりやや早くなります。

「竜頭ノ滝(りゅうずのたき)」(栃木県日光市)

奥日光で三名爆とよばれるのが、「竜頭ノ滝(りゅうずのたき)」。男体山の噴火でできた溶岩の上を、水が勢いよく流れる姿は迫力満点。例年10月上旬から下旬に見頃を迎えます。

日光市観光協会

「高尾山」(東京都八王子市)

都心から電車で1時間のロケーションにある高尾山。ケーブルカーで、赤や黄色に色づく紅葉を見ながら山頂へ向かうことができます。

高尾山

■関西(近畿)の紅葉狩りの名所のおすすめ

京都や奈良など風情あふれる街には、紅葉がとても似合うもの。各地に紅葉狩りの名所があります。

見ごろはいつ?

関西地方の紅葉は、11月中旬から12月上旬頃がピークとなります。

「圓光寺(えんこうじ)」(京都府京都市左京区)

圓光寺の庭園は、紅葉の季節になると、まるで絵画を切り取ったような美しさを放ちます。きっと、心が洗われるような安らぎの時間を過ごせるはずです。

圓光寺

「高源寺」(兵庫県丹波市青垣町)

兵庫県丹波市で紅葉の屈指の名所と言われるのが、高源寺。境内には天目カエデがあふれ、見事な景色を作り出します。

高源寺

■中国の紅葉狩りの名所のおすすめ

広島県や岡山県などの中国地方にも、自然豊かな紅葉の人気スポットがあります。

見ごろはいつ?

中国地方の紅葉は10月から始まり、11月頃まで続く場所が多くあります。

「尾関山公園」(広島県三次市三次町)

三次市内を一望できる尾関山公園は、紅葉の名所として有名。頂上には天文台が設けられています。

尾関山公園

「岡山後楽園」(岡山県岡山市北区)

日本三名園のひとつ「岡山後楽園」は、国の特別名勝に指定されている庭園です。その美しさから、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも三ツ星を獲得しています。

岡山後楽園

■四国の紅葉狩りの名所のおすすめ

秘境の宝庫とも言われる四国地方は、穴場的な紅葉狩りの名所があります。

見ごろはいつ?

四国地方で紅葉が見頃を迎えるのは、11月中旬から11月下旬頃です。

「祖谷渓 」(徳島県三好市)

日本三大秘境のひとつとして知られるのが、徳島県にある「祖谷渓(いやけい)」。アクセスしやすい場所ではありませんが、高低差100mもある深いV字の渓谷は、すばらしい景色を望める場所です。

大歩危祖谷ナビ(三好市公式観光サイト)

「寒霞渓(かんかけい)」(香川県小豆郡小豆島)

香川県小豆島にあり、日本三大渓谷美に選ばれたのが「寒霞渓(かんかけい)」。「魔女の宅急便」のロケ地にもなった自然あふれる景勝地です。

寒霞渓ロープウェイ

■九州・沖縄の紅葉狩りの名所のおすすめ

11月頃に見頃を迎える九州地方の紅葉。各都道府県に紅葉狩りの名所があります。

見ごろはいつ?

九州地方や沖縄地方の紅葉は、11月中旬から下旬にかけて見頃を迎えます。

「藤江氏魚楽園」(福岡県田川郡川崎町)

室町時代の水墨画家である雪舟が、中国で学んだ山水の技術を生かして、築庭したとされるのが「藤江氏魚楽園」。ツツジ、モミジ、ツバキなどが植えられ、艶やかな景色を作り出します。

藤江氏魚楽園

「シチメンソウ群生地」(佐賀県佐賀市東与賀町)

高さ20~40cmの一年草であるシチメンソウが干潟に一面に育ち、真っ赤になるのが佐賀県のシチメンソウ群生地。有明海の風物詩として知られています。

佐賀県観光情報ポータルサイト

紅葉狩りで四季の移り変わりを感じよう

木々の葉が美しく色をつけ変化していく様は、まさに自然が作る芸術作品。紅葉狩りを楽しめるのは、わずか1か月ほどの短い期間ですから、そのタイミングを逃さず季節の移り変わりを感じてみてはいかがでしょうか。 

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