11月の祝日「文化の日」。他の祝日、例えば「成人の日」や「こどもの日」などに比べると、「文化の日」はやや漠然とした印象で、どんな日なのかを知っている方は多くないかもしれません。そこで当記事では、文化の日はいつなのか、文化の日の意味や憲法記念日との関係、文化の日の行事や行事食について調べてみました。また、文化の日に関連した代表的な無料イベントもチェックしています。

■文化の日と勤労感謝の日、2つの祝日がある11月

11月は「文化の日」と「勤労感謝の日」、2つの祝日があります。この記事では「文化の日」について紹介してきます。

■文化の日はいつ?

文化の日はいつ?
文化の日はいつ?

月曜日を休日にして「土日月」と3連休にする「ハッピーマンデー制度」が始まったことで、以前のように日付が固定ではなくなった祝日もあります。わかっていても、たまに「あれっ?」と思ってしまうこともありますが、文化の日はどうなのでしょうか?

2020年11月3日(火)は文化の日

2020年の「文化の日」は11月3日(火)です。

「ハッピーマンデー制度」では、例えば、以前は1月15日だった「成人の日」が「1月の第2月曜日」となったように、毎年日付が変わってしまいます。しかし、文化の日は11月3日と日付は固定されています。

勤労感謝の日は2020年11月23日(月)

11月のもう1つの休日である「勤労感謝の日」も日付は固定されています。勤労感謝の日は11月23日です。 勤労感謝の日の意味、勤労感謝の日に行われる行事、11月23日が勤労感謝の日になった理由などは、以下をご覧ください。

■文化の日の意味

11月3日は文化の日。日本の祝日は「国民の祝日に関する法律」によって定められおり、正式には「国民の祝日」といいます。

祝日には「建国記念の日」なら「建国をしのび、国を愛する心を養う」、「こどもの日」なら「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」など、それぞれ意味が定められています。文化の日の意味をご存知でしょうか?

文化の日の意味は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」です。自由、平和、文化、どれも大事なことですが、少しわかりにくい気もします。もう少し詳しく、見ていきましょう。

文化の日の由来

「国民の祝日に関する法律」は第2次世界大戦後に作られた法律です。つまり、文化の日も戦後に始まった祝日です。

戦前、文化の日は明治天皇の誕生日を祝う「明治節」と呼ばれた祝日でした。 戦前の祝日は、天皇や皇室の行事にまつわるものが多かったのですが、戦後、新しく祝日を決める際にはその多くが廃止されました。ただし、すでにその日付が祝日として国民に親しまれていたことから、日付がそのまま残ったものもあります。11月3日もそのひとつです。

また、当初は11月3日を「憲法記念日」にしようとする動きもあったようです。しかし、明治天皇の誕生日だった日を、戦後に生まれた新しい憲法を祝う日にすることを、当時日本を占領していたGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は認めませんでした。その理由は、天皇が国民に与える影響力を弱めようとしていたとも考えられています。

そこで、日本国憲法が平和と文化を重視していることから、新しい名称として「文化の日」が採用されたといわれています。

文化の日を英語で言うと?

文化の日は英語で何と言うでしょうか? これは比較的簡単かもしれません。「Culture Day」です。文化=culture、日=day、2つを合わせて「Culture Day」、とてもシンプルですね。 ちなみに、11月のもう一つの祝日、勤労感謝の日は「Labor Thanksgiving Day」です。

■半年違いの文化の日と憲法記念日

今、法律で定められた祝日は、1月1日の元日から、11月23日の勤労感謝の日まで16個あります。そのなかで同じ日付を持つ休日は2つだけ。およそ30日ある1カ月のなかで、「3日」という同じ日付の祝日の1つは、この記事で取り上げている「文化の日」、もう1つは5月3日の「憲法記念日」です。

また、この2つの記念日はちょうど半年、6カ月間離れています。ただ偶然に期間が空いているのではなく、文化の日と憲法記念日には深い関係があるのです。

5月3日の憲法記念日は、日本国憲法の施行日

5月3日の憲法記念日は、昭和22年(1947年)5月3日に日本国憲法が施行された(この日から効力を発揮した)ことを記念する祝日です。文字どおり、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」という意味があります。

11月3日の文化の日は、日本国憲法の公布日

一方、11月3日の文化の日は、日本国憲法施行の半年前、昭和21年(1946年)11月3日に日本国憲法が公布された(広く一般に周知された)日を記念した祝日です。日本国憲法は公布から6カ月を経て、施行されました。

先にご紹介したように、日本国憲法が公布された11月3日を「憲法記念日」にしようという動きもあったのですが、GHQの反対もあり、憲法記念日は5月3日になりました。

5月3日の憲法記念日についても、Precious.jpで取り上げています。憲法記念日の意味、憲法記念日に行われる行事、5月3日が憲法記念日になった理由などは、以下をご覧ください。 

日本の憲法記念日はいつ?どんな意味がある祝日?文化の日との関係や、日本国憲法の3つの基本原則について解説>>

■文化の日の行事・行事食

文化の日の行事・行事食
文化の日の行事・行事食

文化の日には、全国でさまざまなイベントが開催されます。そのいくつかをご紹介します。

文化勲章の授与式

11月3日の文化の日には、文化勲章の授与式が行われます。文化勲章は「文化の発達に関し特に顕著な功績のある方」に授与される勲章で、昭和12年に制定されました。

受章者は、皇居で天皇陛下から文化勲章を受け取ります。 2020年の文化勲章は、脚本家の橋田壽賀子さんをはじめ5人が受賞。脚本での受賞は初めてのことです。近年では、ノーベル賞受賞者の吉野彰さんや山中伸弥さん、芸術家の草間彌生さん、小説家の平岩弓枝さん、俳優の仲代達矢さんなども受章しています。

文化勲章のデザインは、橘(たちばな)の花の中央に3つの曲玉(まがたま)が置かれています。橘は常緑樹で、常に変わらない姿は、文化の永久に続く大切さに通じることから、文化勲章のデザインに採用されたと伝えられています。

秋の旬食材を使った料理

文化の日には、元日やこどもの日のような行事食はありませんが、秋は実りの秋、食欲の秋です。文化の日は「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ですから、和食はもちろんのこと、旬の食材を生かした、さまざまな国の文化を感じることができる料理を楽しんでみてはいかがでしょうか? 秋は1年で最も美味しい料理が楽しめる季節といえます。

■2020年、文化の日の無料イベント

毎年、文化の日には、各地で無料イベントが開催されたり、美術館や博物館などの入館料が無料になります。今年は新型コロナウイルスの影響で、イベントが延期や中止になっている場合もあります。お出かけの際には、必ず公式ホームページなどで最新情報をご確認ください。

東京都内の博物館や美術館

東京・上野にある国立科学博物館、通称「科博」は、明治10年(1877年)に創立された最も歴史のある、日本を代表する博物館です。「日本館」「地球館」に2館にわかれ、毎年、11月3日には入館料が無料になります(ただし、常設展のみが対象です)。現在は、新型コロナウイルス対策として、入館は予約制になっています。

国立科学博物館

「科博」のほか、上野周辺では、東京国立博物館、国立西洋美術館なども入館料が無料になります。いずれも公式ホームページで情報をご確認ください。

東京国立博物館

国立西洋美術館

関西文化の日

「関西文化の日」は、文化の日を中心とした11月の一定期間、関西一円の美術館・博物館・資料館などの文化施設の入場料が無料になるイベントです。対象施設は、関西2府8県の約690施設。原則として常設展の入場が無料になります。規模、分野もさまざまな施設がこの取り組みに参加しています。詳細はHPでご確認ください。

関西文化の日

東北文化の日

東北でも同様の取り組みが行われます。東北の特色ある文化資源の情報を発信し、地域文化に光を当て、東北全体の文化力の発揮を目指すことなどを目的に、東北6県と仙台市が協力して「東北文化の日」を実施しています。

2020年は10月31日〜11月29日にかけて、文化施設の入館料が無料になったり、各地で関連するイベントが開催されます。 東北の広い地域を舞台に行われます。詳細をホームページでご確認のうえ、お出かけください。 

東北文化の日

文化の日と関係が深い憲法記念日

当記事では、文化の日はいつか、文化の日の意味や半年違いの憲法記念日との関係、文化の日の行事・行事食について調べてみました。さらに、文化の日に関連した代表的な無料イベントもチェックしています。

文化の日は、半年違いの憲法記念日と不思議な関係を持っています。日頃、文化や日本国憲法を強く意識することは少ないかもしれませんが、文化の日は、それらに思いをはせるいい機会になるのではないでしょうか。

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