屋根を開け放てば、一瞬にして爽快な外気と一体となる。これは世界中のオープンカーに共通する魅力だが、ベントレー『コンチネンタルGTコンバーチブル』の本質は別にある。馬車の時代をほうふつさせる幌式の屋根は、英国の正統を今に伝える重要な装備であり、丈夫でスマートな傘のごとく、閉じても開けても絵になるところがうれしい。

キャビンの内装は8割以上をレザーが覆い、金属やウッドも樹脂など使わず本物づくし。シートのレザーは1脚あたり130mに及ぶ糸を使って縫い上げている。随所にクラフツマンシップの技が宿る『コンチネンタルGTコンバーチブル』は、そんなシートのステッチの色やパターンを含めて、内外装の選択肢が豊富に用意されている。

クラフツマンシップの粋を独占する悦楽

リッチな空間は夜の訪れとともに色気を帯びる

たたんだ幌はトノカバーに覆われ、スマートに収まる。美しい内装には「ダイヤモンド・イン・ダイヤモンド」と呼ばれる、キルティング模様があしらわれている。
たたんだ幌はトノカバーに覆われ、スマートに収まる。美しい内装には「ダイヤモンド・イン・ダイヤモンド」と呼ばれる、キルティング模様があしらわれている。
キャプション左
ウッドパネルはウォールナット(くるみ)の幹の根元をスライスし、コブ目が小さく、柄がそろっているものだけを選んで磨き上げている。
キャプション右
幌は50km/h以下なら、走行中でもわずか19秒で開閉が可能。

クルマ=大量生産の工業製品である現代において、限りなくビスポークに近い一台を誂えることができるのが、ベントレーなのだ。そのハウススタイルは、どこか懐かしく、それでいて今の気分を感じさせる。

今回、ステアリングを握った『コンチネンタルGTコンバーチブル』の外装色は、「ドラゴンレッドⅡ」と名付けられた、深みのあるエンジ色。そこにツイードの質感を表現したベージュの幌を組み合わせ、いかにも英国車らしい仕立て。幌は車体の大きさに比べて小さめで、閉じたときにスポーティに見える工夫が凝らされている。内装はエンジとクリームのツートーン。陽光の下で華やかさを存分に味わいながら、風が涼しくなる日暮れを待つ。

するとどうだろう。街の明かりと暗闇で陰影が強調される夜のクルージングでは、日中とは一味違う幻想的な体験となって、静かに五感を刺激する。丁寧に仕立てられたリッチな空間は、幌を開け放つことで色気のある表情を見せ、もともと静かなエンジン音は、周囲の騒音のおかげで存在感を消し去り、乗り手を立てる。この、夢のような時間を独り占めできる幸せを、いったいどれだけの人が知っているのだろう。

都会で『コンチネンタルGTコンバーチブル』に乗るなら、断然夜がいい。だれにも邪魔されることのない自由が、男を磨き上げてくれる。(文・佐藤篤司(自動車ライター))

ベントレー『コンチネンタルGTコンバーチブル』

ボディサイズ:全長4,880×全幅1,965×全高1,400mm
車両重量:2,450kg
エンジン:W型12気筒DOHCツインターボ
総排気量:5,950cc
最高出力:467kW(635ps)/6,000rpm
最大トルク:900Nm/1,350~4,500rpm
トランスミッション:8速DCT(AT)
価格:¥26,740,000(ベントレーコール)※税抜

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2020年秋号より
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平群政宏