ポップアート界の巨匠デイヴィッド・ホックニーが、初めて完成させた風景画『ニコルズキャニオン』が、日本時間 2020年12月8日(火)9:00~ニューヨークで開催されるオークションに出品されます。

彼の数十年にわたるパノラマ風景画シリーズのはじまりとなった作品であり、40年近く一人のプライベートコレクターによって所有されていたこの作品は、推定落札価格3,500万ドルともされる彼の最高傑作のひとつです。

今回オークションに出品されることとなり、注目を集める『ニコルズキャニオン』に秘められた物語に迫ります。

ホックニーが初めて完成させた風景画『ニコルズキャニオン』に秘められた物語

デイヴィッド・ホックニーの風景画『ニコルズキャニオン』
デイヴィッド・ホックニーの風景画『ニコルズキャニオン』

イギリス・ブラッドフォード生まれのデイヴィッド・ホックニーは、アメリカ・ロサンゼルスを拠点に制作活動を続ける、ポップアート界を代表するアーティストです。

最近では、ipadを使い作品を描くなど、80歳を超えてもなお制作活動に取り組む姿が注目を集めました。

彼がニューヨークからロサンゼルスに活動の拠点を戻した1980年、都市と自然が混在するロサンゼルスの環境からインスピレーションを得て、新たに風景画に取り組みました。

毎日ニコルズキャニオンを通りスタジオへ車で通った彼は、周囲の荒々しく曲がりくねった道や環境に驚かされました。 

「ここに来た瞬間、ロサンゼルスを別の見方で捉えることができます。まず、これらの波状の線が人々の人生の中に入り込んでくるのです。そして絵画の中にも入り込んできます。」と、彼は表現しています。

その年に『ニコルズキャニオン』を完成させた後、この絵がとても気に入った彼は、自分自身の手元に留めておくことを選びました。

しかしその後まもなく、パリのギャラリーでパブロ・ピカソの作品に惹かれた彼。13.5万ドルもの大金をその作品へ費やすことに躊躇しました。

彼の葛藤を知った、アンドレ・エメリッヒ ギャラリーにより持ちかけられた取引で、ピカソを購入する代わりに、彼の作品『The Conversation』と本作品『ニコルズキャニオン』をエメリッヒ ギャラリーへ手渡すこととなりました。

その後、40年近く一人のプライベートコレクターによって所有されていた本作品は、今回初めてオークションに出品されます。

本作品は、彼にとって大切なロサンゼルスの街を豊かに描いた、彼特有のパノラマ画体のはじまりを示すもの。

フォーヴィスムの大胆な色彩と、表現力豊かな絵画的アプローチを彷彿とさせる『ニコルズキャニオン』は、過去と現在を対話に置き、現代のモダニズムを再考し新たなものとして生み出す、彼の鋭い能力を象徴した作品です。

<PHILLIPS ニューヨーク コンテンポラリーアートイブニングセール詳細>

オークション日/日本時間 2020年12月8日(火)9:00~
場所/450 Park Avenue, New York
※詳細については、www.phillips.comよりご確認下さい。
※落札予想価格には、落札手数料は含まれておりません。
※落札総額には、最終落札価格および落札手数料が含まれます。 


今回オークション初出品となる、デイヴィッド・ホックニーの風景画『ニコルズキャニオン』についてご紹介しました。ニューヨークで開催されるオークションの模様は、Phillips.com または Phillipsアプリにて世界中でライブストリーミング予定とのこと。ぜひチェックしてみてください。

問い合わせ先

フィリップス

この記事の執筆者
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WRITING :
池尾園子