冬場だけでなく、1年を通して冷え性と闘っている人は多いといわれています。そんなつらい万年冷え性と一刻も早くおさらばしたいと思っている人、必見!

産婦人科医で女医ボクサーとしても活躍する高橋怜奈先生に、冷え性の本当の原因や、その具体的な対策を教えていただきました。自宅や職場でできる、簡単セルフケア法も併せてご紹介します。お見逃しなく!

高橋玲奈先生
高橋怜奈先生
産婦人科医
(たかはし れいな)女医プラス所属。東邦大学医療センター大橋病院・婦人科在籍。2016年6月にボクシングのプロテストに合格。現在は世界初の女医ボクサーとしても活動中。医師として、またアスリートとしての豊富な経験や知識を活かし、ダイエットや食事療法、運動療法のアドバイスも行う。テレビや雑誌などメディアにも多数出演するなど、活躍の場を広げている。

冷え性を根本から改善するための方法とは?

「人は緊張したり、冬の時期に寒いところに長い時間いると手や足、体が冷たくなったりしますが、健康であれば恒常性が働いているので、冷えたからといって、ずっと冷えたままではなく、しばらくすれば元に戻ります。

また、冷えたものを食べるのは、冷えを助長するため良くないといわれますが、基本的に内臓の温度は一定に保たれているので、冷たいものを少々食べたところで、冷えにつながることもありません。

それでは、冷えはなぜ起こるのか?というと、血流の悪さが原因で起こります。『冷えている=血流が悪くなっている』ということ。通常、手足など末端部分が温められるような血流の循環がある状態が正常なのですが、手足が冷たいということは、そこに血液が回っていないので、すでに正常な状態ではありません。

その原因は人によって様々で、筋肉量の不足であったり、水分代謝が悪いことによるむくみ、毛細血管の衰え、ストレスによる自律神経の乱れ、筋肉のコリなどが挙げられます。

もちろん、寒い時に衣服などで体を温めることは大切ですが、冷え性を抱えている人の場合、外から温めるケアだけでは限界があります。一時しのぎでなく、冷え性を根本から解消するためには、冷えの原因に正しくアプローチして、巡りの良い身体を手に入れることが大切です」(高橋先生)

以下で、具体的な改善策やケア法をご紹介します。

冷え性を改善するための6つのポイント

■1:筋肉量を増やそう。特に下半身の筋肉が大切に!

筋肉をつけたり、むくみやコリをとることが冷え解消につながります。
筋肉をつけたり、むくみやコリをとることが冷え解消につながります。

「冷えを根本から改善するためには、何よりも筋肉をつけることが大切です。男性に冷え性が少ないのは、女性よりも筋肉量があるから。筋肉を鍛えると、熱量も上がり、血行も良くなるので、末端冷え性の改善や予防に効果てきめんです。

特に、女性の場合、ふくらはぎや太ももなど下半身を重視して筋肉をつけるのがおすすめ。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれ、血液や水分などを上へと押し戻す筋ポンプ作用があるので、下半身に筋肉をしっかりつけることで、体全体の血流が良くなります。スクワットは下半身を強化するには最適なエクササイズなので、ぜひ取り入れてみてください」(高橋先生)

これもおすすめ!

「仕事中、足元に冷えを感じた時は、デスクで座ったままできる『足の上げ下げ運動』を行ってみてください。座った状態で足を上にあげて伸ばし、つま先を上げ下げするだけ。やっている内に、体がポカポカと温まってきます。また、立った状態でかかとを上げ下げする運動も、通勤時間を利用しながら簡単に行えるのでおすすめです」(高橋先生)

■2:「むくみ」は、その日のうちに解消しよう

「むくみとは水分代謝が悪く、水の排出が停滞している状態のこと。むくみによる余分な水分が血管やリンパ管を圧迫し、血行を悪くするため、冷えを加速させてしまいます。特に、下半身の筋肉量が少ない人は、血液や水分などを上へと押し出す力が弱いため、血液や水分が滞って、むくみやすくなります。

むくみと冷えのスパイラルを引き起こさないためにも、マッサージなどでその日のうちにしっかりむくみをとるように心がけましょう。普段から脚がむくみやすい人は、着圧ストッキングを活用してみてください。むくみを予防できます。また、塩分の摂りすぎはむくみの原因になるので控えめにしましょう」(高橋先生)

■3:ストレッチでコリをほぐし、巡りのいい体に!

「筋肉が緊張して硬くなると、血管が圧迫されて血流が悪くなり、疲労物質や老廃物が筋肉に溜まってコリが発生します。巡りのいい体をキープするためにも、普段からストレッチを取り入れて、冷えを撃退しましょう」(高橋先生)

■4:ストレスを溜めこまないようにしよう

アロマなどを活用して、ストレスをリリース。
アロマなどを活用して、ストレスをリリース。

「緊張したり、ストレスがたまっている状態は、常にアドレナリンが出ていて、心拍数も上がっているため、末端の血流が悪くなり、手足が冷えやすくなります。そんな時は好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするなど自分なりのリラックス法を取り入れてください。副交換神経が優位になり、手足も温かくなります」(高橋先生)

■5:毎日の入浴で全身の血流をアップさせよう

「入浴は冷えの解消に効果抜群。毛細血管力が高まり、末梢の血流もアップするので、全身ポカポカになります。シャワーだけで済ませずに、できれば毎日お風呂に浸かるようにしましょう。長時間入る必要はなく、41~42度くらいのお湯に10分程度、浸かるだけでOK。

リラックス効果のあるアロマの香りの入浴剤や、発汗を促すバスソルト、炭酸入浴剤を利用すれば、ストレスで凝り固まった体も柔らかくなり、全身の巡りもアップします」(高橋先生)

■6:寒いと感じたら、しっかりと温めよう

「寒さも血流を悪くする要因です。冬場でも暑いと思えば無理して温める必要はありませんが、寒いと感じるなら、手袋やマフラー、暖かいソックスを履いて温めるようにしましょう。全身を素早く温めたい時は、首の後ろや脇の下を、末端が冷えている時は、ダイレクトに足湯をしたり、手浴をするとすぐに温かくなります」(高橋先生)


いかがでしたでしょうか? 冷え性を改善するためには、外側から温めるだけでなく、筋トレやストレッチ、ストレスケアなどトータルで行うことが大切。ここで紹介した方法を取り入れて、冷え性を解消してくださいね。

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
小池田友紀
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