「わび」の名品とは何だろう? それを考える上で絶対に避けて通れないのが、「わび」という哲学を確立した立役者であり、今でいう敏腕プロダクトデザイナーでもあった千利休の趣味=利休好みを知ることだ。

その中には初代長次郎作の『黒楽茶碗』に代表される、現代においては名品というカテゴリーに収められているものも多いが、本来は漁師の魚籠を花入れにするなど、従来の価値観に囚われず、素朴かつ自由な精神でモノを選んでいた。むしろその茶会では、名物茶器を排除していたほどだ。彼の好んだ素材とは、木地や黒もしくは朱の塗り。ミニマルながら本質を深く突いた、一種の凄みを感じさせるものだった。

「わび」の名品

そでを通して完成する「余白」のあるシャルべの白シャツ

フランスを代表するシャツ。ミシン縫いだし、レギュラーカラーの形も素っ気ないのだが、そでを通して着込むと、それが実に趣深く、その人らしさを表現してくれる。余計な絞りを入れないシルエットや、丈夫な生地も、どこか日本的。一見物足りなく見えてものちに深い満足感をもたらしてくれる、「わび」の精神を体現した白シャツといえよう。¥46,000(日本橋三越本店〈シャルベ〉)
フランスを代表するシャツ。ミシン縫いだし、レギュラーカラーの形も素っ気ないのだが、そでを通して着込むと、それが実に趣深く、その人らしさを表現してくれる。余計な絞りを入れないシルエットや、丈夫な生地も、どこか日本的。一見物足りなく見えてものちに深い満足感をもたらしてくれる、「わび」の精神を体現した白シャツといえよう。¥46,000(日本橋三越本店〈シャルベ〉)

不完全さを魅力とするアット ヴァンヌッチのネクタイ

芯地を入れずシルク生地を折り畳んでつくった「セッテピエゲ」タイは、何回締めても完璧にはキマらず、アシメトリーな表情を描く。不完全さを魅力とするこの概念こそが、「わび」の装いにおける鍵となる。締めるほどに風合いを増すジャカード織も、心の充足を与えてくれる要素だ。¥33,000(レガーレ〈アット ヴァンヌッチ〉)
芯地を入れずシルク生地を折り畳んでつくった「セッテピエゲ」タイは、何回締めても完璧にはキマらず、アシメトリーな表情を描く。不完全さを魅力とするこの概念こそが、「わび」の装いにおける鍵となる。締めるほどに風合いを増すジャカード織も、心の充足を与えてくれる要素だ。¥33,000(レガーレ〈アット ヴァンヌッチ〉)

華美さを排除した奥ゆかしいユーゲンのコート

ウールとコットンを混紡した生地のコートは、チャコールグレーの無地ではあるが、よく見ると生成り色の糸が使われている。これが素朴で暖かな雰囲気を醸し出すとともに、着るほどに風合いを増すポイントだ。「幽玄」という美意識をルーツに持つブランドならではの、奥ゆかしいコートである。¥200,000(イデアス〈ユーゲン〉)
ウールとコットンを混紡した生地のコートは、チャコールグレーの無地ではあるが、よく見ると生成り色の糸が使われている。これが素朴で暖かな雰囲気を醸し出すとともに、着るほどに風合いを増すポイントだ。「幽玄」という美意識をルーツに持つブランドならではの、奥ゆかしいコートである。¥200,000(イデアス〈ユーゲン〉)

時計のあるべき姿を脇目もふらず追求したグランドセイコーの『SBGH219』

スイスの規格を遥かに超える、恐ろしく厳格な精度基準「GSS規格」に合格した、希少性の高い一本。日本の時計技術の叡智を注ぎ込みながらも、いたずらに高級感を主張せず、あくまで時計としてつつましくあろうとする、その精神性こそが「わび」なのだ。●自動巻き ●ホワイトゴールドケース×クロコダイルストラップ ●ケース径/38mm ¥2,550,000(セイコーウオッチお客様相談室〈グランドセイコー〉)

そんな観点のもと、選び抜いたファッションアイテムたち。いずれもハイクオリティではあるが、決して完成されすぎず、どこか広がりの余地がある「間」を持っている。それは人間が身につけ使い込んで、はじめて豊かさを表現してくれるのだ。

※価格はすべて税抜、参考価格です。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN'S Precious2020年秋号より
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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PHOTO :
唐澤光也(RED POINT)