狩猟免許を受ける際に、獲っていい鳥類をひと通り覚えた。小生は箱わなでの害獣狙いで鳥撃ちではないのだが、狩猟法で許されているのはほとんどが、真鴨や小綬鶏のように比較的ちいさくて美味しい鳥である。いっぽう鷲・鷹は狩猟鳥ではなく、それどころか猛禽類として、キツネなどの哺乳類すら捕食するハンターだ。鷹狩りは鷹を使っての猟であるが、鷲・鷹自身も狩りをする。大自然のなかで大型の鷲=イーグルは、空の食物連鎖の最上位にあり、山空の王者である。

山空の王者たる名を授かった腕時計

ショパール『アルパイン イーグル ラージ』Ref.298600-6001

60時間のパワーリザーブを確保するキャリバー「Chopard 01.01-C」を搭載。ワシの目の虹彩から着想を得た文字盤は、サンバーストモチーフを型打ちしたブラス製。ケースとブレスレットは「ショパール ルーセント スティールA223」と18Kエシカルローズゴールド製。ケース外径41㎜。100m防水。『アルパイン イーグル 』はすべてのパーツ製造、および組み立てをインハウスで行っている。¥2,250,000(ショパール ジャパン プレス)
60時間のパワーリザーブを確保するキャリバー「Chopard 01.01-C」を搭載。ワシの目の虹彩から着想を得た文字盤は、サンバーストモチーフを型打ちしたブラス製。●ケースとブレスレットは「ショパール ルーセント スティールA223」と18Kエシカルローズゴールド製 ●ケース外径41mm ●100m防水。『アルパイン イーグル』はすべてのパーツ製造、および組み立てをインハウスで行っている。/ショパール ジャパン プレス

その誇らしい猛禽の名前を授かった腕時計には、つくり手の強い想いが込められている。ショパールの『アルパインイーグル』は、自然からインスパイアを受けた腕時計だ。アルプスのベルニナ山群に由来するベルニナグレーの文字盤にある放射状の仕上げは眼球の虹彩、秒針のカウンターは矢羽根と、鷲のシンボリックな形象を想わせる。アルプスの岩肌をイメージしたブレスレットの素材は、開発に4年を費やしたという「ショパールルーセントスティールA223」。

硬度を高め、光沢に優れるいっぽうで、アレルギー性が低い。ショパールのゴールドはいま、児童労働禁止を含む労働環境、社会発展、環境保護に配慮した金=「エシカルゴールド」しか用いていない。サステナブルな高級腕時計という理想を求める姿勢が、ブランドの真骨頂に想える。

日本での新作披露が行われたのは、現代美術作家の杉本博司氏が創立した小田原文化財団の江之浦測候所。環境NGOであるバードライフ・インターナショナル東京との協働活動宣言書が調印され、バードライフ・インターナショナルの名誉総裁である高円宮妃久子殿下も立ち会われた。腕時計をつくっているだけであれば、受けるレスペクトは逸品の数に比例していくだろう。いっぽう、文化をつくろうとする意志への尊敬は、そもそも最大であっていい。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2020年秋号より
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PHOTO :
戸田嘉昭(パイルドライバー)
WRITING :
並木浩一