ロールス・ロイスは運転を専任のショーファーに任せて、オーナーは後部座席に乗るもの、というイメージをお持ちの方が多いと思います。昔からのオーナーにはそうした使い方にこだわる方もいらっしゃいますが、近年は自らハンドルを握るオーナーさんが増えているのだそう。しかもオーナーの平均年齢は45歳と、プレミアムカーブランドとしてはとても若くなっています。その人気を牽引しているのが、主力モデルの「ゴースト」。昨年一新され、運転の楽しさとミニマルな美しさを強調した、新しい魅力を備えています。

英国の名門ブランドが放つ最新モデル「ゴースト」

今回、「ゴースト」のハンドルを握る舞台となったのは、奥日光。中禅寺湖畔に昨年オープンした「ザ・リッツ・カールトン日光」を起点にしたメディア向け試乗イベントで、ラグジュアリーの真髄を味わうことができました。「ゴースト」 の車両本体価格は3590万円(税込)〜。
今回、「ゴースト」のハンドルを握る舞台となったのは、奥日光。中禅寺湖畔に昨年オープンした「ザ・リッツ・カールトン日光」を起点にしたメディア向け試乗イベントで、ラグジュアリーの真髄を味わうことができました。
ロールス・ロイスの顔といえるのが、古代ギリシャのパルテノンをほうふつさせるフロントグリル。新型「ゴースト」には20個のLEDが内蔵され、ほのかな光で照らす仕掛けが追加されました。
ロールス・ロイスの顔といえるのが、古代ギリシャのパルテノンをほうふつさせるフロントグリル。新型「ゴースト」には20個のLEDが内蔵され、ほのかな光で照らす仕掛けが追加されました。

皆さんがクルマ選びをするときに一番重視するのは、価格と車体の大きさではないしょうか。もっとも、プレミアムカーの場合は内外装の仕様が多彩につき、本体価格は目安でしかなく、オプションリストから好きなものを選択するとプラス数百万円は当たり前。中にはリストにない要望にも答えてくれる場合があり、そうなると本体価格に匹敵するチャージがかかります。あとで仕様を変更するのは難しいので、ショウルームでしっかりとシミュレーションしておく必要があります。

一方、車体の大きさは明確な基準になります。なぜなら都市生活者の場合、駐車場の広さに収まることが大前提だからです。特に問題になるのがマンションの立体駐車場。ここ数年の間に新築されたプレミアムマンションを除くと、輸入車ブランドの大きなモデルは入らないか、入ってもぎりぎりで入出庫しづらいことがほとんどです。

そうした問題をクリアできるのであれば、輸入車ブランドのプレミアムカーが断然おすすめ。上述のようにオーダーメイド感覚の1台を手に入れることができ、そのうえ大きな車体は乗車中のゆとりにつながります。また、寸法の制約から解放されることによるデザインの自由度も高く、芸術性を感じさせるクルマが多いのも魅力です。昨年暮れにPrecious.jpのエディターが取材したロールス・ロイスの最新モデル「ゴースト」は、まさにそんな1台。

超絶技巧を駆使してていねいにつくられる

後部座席のドアが後ろを起点に開き、前後が観音開きになるドアもロールス・ロイスの特徴。後席優先で設計されていた時代からの伝統で、イブニングドレスなど丈の長い服を着用した淑女が乗り降りしやすく、また美しい所作となるためだといわれています。
後部座席のドアが後ろを起点に開き、前後が観音開きになるドアもロールス・ロイスの特徴。後席優先で設計されていた時代からの伝統で、イブニングドレスなど丈の長い服を着用した淑女が乗り降りしやすく、また美しい所作となるためだといわれています。
後部ドアには傘を内蔵。先に降りたショーファーがドアを開けて傘を取り出し、後部座席のオーナーを雨から守るための装備です。
後部ドアには傘を内蔵。先に降りたショーファーがドアを開けて傘を取り出し、後部座席のオーナーを雨から守るための装備です。

20世紀初頭に英国で創業し、高級車の代名詞となったロールス・ロイス。良質な素材を熟練の職人が手しごとを駆使して組み上げたクルマは、とにかく快適かつ頑丈。世の中にはそうした特徴をうたうクルマが少なくありませんが、ロールス・ロイスは別格。もともと、生まれたときから最上のものやことを体験してきた英国貴族や富裕層向けにつくってきただけに、大量生産のクルマでは絶対に味わえない極上の世界を提供してくれるのです。

昨年、「ゴースト」は11年ぶりに刷新されました。従来型はロールス・ロイス史上もっとも販売台数を記録したモデルで、新型は観音開きのドアをはじめとするブランドの特徴を継承しながら、新しい時代にフィットするテーマ性もある、とても魅力的なモデルです。

実車を目にしてまず気がついたのは、車体がとても滑らかな曲線でデザインされていること。ボディパネルの素材には、軽量ながら加工がしにくいアルミを使っているのですが、キャビン前方の柱部分から屋根、後ろの柱に至る部分は、4人の職人が同時に手作業で組み付け、接合個所を徹底的に磨き上げることで、究極の滑らかさを実現しているのだとか。

ちなみに、車体の側面をはしる1本のラインは、専門の職人による筆描き。世界に名だたるファッションブランド同様、匠の技を人から人へ受け継いでいるからこそできる、超絶技巧の賜物です。

外から見たときの眺め、そして車内のディテールにおいて過剰な装飾を抑えているのも、新しい「ゴースト」の特徴。成熟した大人にふさわしい、控えめなラグジュアリーが、心を揺さぶるのです。

英国の感性が現れた「静寂へのこだわり」

インテリアは過剰な装飾を抑えたミニマリズム志向のデザインに。上質な素材で品格を出しています。試乗した車両はスノーホワイトでコーディネートされ、ため息が出るほどの美しさでした。こちらはほんの一例で、さまざまな素材や色を選べます。
インテリアは過剰な装飾を抑えたミニマリズム志向のデザインに。上質な素材で品格を出しています。試乗した車両はスノーホワイトでコーディネートされ、ため息が出るほどの美しさでした。こちらはほんの一例で、さまざまな素材や色を選べます。
試乗車には人気の装備「スターライトヘッドライナー」も付いていました。天井に1000本以上の光ファイバーを埋め込み、星空を模した“夜景”が楽しめます。ときどき流れ星が見られる小技も!
試乗車には人気の装備「スターライトヘッドライナー」も付いていました。天井に1000本以上の光ファイバーを埋め込み、星空を模した“夜景”が楽しめます。ときどき流れ星が見られる小技も!

運転感覚も絶品。ハンドルやスイッチ類の手触り、操作したときのしっとりときめの細かい手応えまでも緻密に計算した操縦性は、「運転ってこんなに気持ちいいものなんだ!」と思うほどの感動レベル。さらに、シートは体に吸い付くようなやわらかさの中に、しっかりと体を支える機能を併せ持ち、長時間乗っても疲れ知らず。ちなみに、「ゴースト」1台で338枚ものレザーが使われているそうです。

走行中の車内はとても静か。遮音材をたっぷりと使っているだけでなく、さまざまな部品から発生するノイズを徹底的に排除するという、気の遠くなるような開発を経てもたらされたものです。突き詰めていけば無音に近い状態にすることもできるそうなのですが、あえてそうはしないところに、ロールス・ロイスが大切にする「静寂へのこだわり」を感じさせます。

今回の取材の舞台は、初冬の奥日光。ここは明治初期、新政府に請われて来日した外国人に保養地として愛され、別荘が多く建てられました。中禅寺湖畔からの山道を、巨体をものともせず静かに走る「ゴースト」で過ごす間、まだ交通インフラが整っていない時代に奥日光まで足を運び、優雅な休日を過ごした英国人の姿、そして彼らが長年培ってきた感性が「ロールス・ロイス」のクルマづくりにも流れていることを実感しました。

ラグジュアリー体験とは感性を磨く行為に違いなく、その点においてロールス・ロイスは世界随一。「ゴースト」の美しい観音開きのドアが、あなたを待っています。

後部座席の中央には、専用グラス付きのクーラーボックスが装備されていました。
後部座席の中央には、専用グラス付きのクーラーボックスが装備されていました。
夜は中禅寺湖畔にある「旧英国大使館別荘」へ。幕末から明治初期にかけて来日し、日本を愛した英国の外交官、アーネスト・サトウが建てた山荘を起源とする、歴史的建造物です。主催のロールス・ロイス・モーター・カーズの計らいで、特別に日光金谷ホテルのシェフが出張ディナーを振る舞うという貴重な機会を体験できました。奥日光と英国の結びつきが、「ゴースト」に宿るつくり手の美意識をあぶり出してくれました。
夜は中禅寺湖畔にある「旧英国大使館別荘」へ。幕末から明治初期にかけて来日し、日本を愛した英国の外交官、アーネスト・サトウが建てた山荘を起源とする、歴史的建造物です。主催のロールス・ロイス・モーター・カーズの計らいで、特別に日光金谷ホテルのシェフが出張ディナーを振る舞うという貴重な機会を体験できました。奥日光と英国の結びつきが、「ゴースト」に宿るつくり手の美意識をあぶり出してくれました。

【ロールス・ロイス ゴースト】
全長×全幅×全高:5,546×2,148×1,571mm
車両本体価格:¥35,900,000〜(税込)

問い合わせ先

ロールス・ロイス・モーター・カーズ東京

TEL:03-6809-5450

 

この記事の執筆者
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