趣味は散歩・街歩きしながら「美しいもの」探し! 

昨日公開された【キャリア編】では、直感を信じて渡伊し、ひとつのキャリアに縛られないワークライフを築いた歩みについて語ってくれた後和千賀子さん。

「明日がどうなるかもわからない時代。時代の流れに乗って状況に応じて判断し、“今”この瞬間にベストと思えるものを目指したい」と、キャリアではいたって「現在志向」。そんな彼女に仕事以外の気になるあれこれをお聞きしましょう。

後和千賀子さん
起業家・通訳者
(ごわ・ちかこさん)1975年東京生まれ。日本女子大学卒業後、1999年よりフランス系の製薬企業に勤務。2000年に渡伊。ミラノにて服飾輸入業、不動産仲介業、通訳・翻訳業を経験した後、2011年に友人とともに「Sen Factory」を立ち上げる。アンティーク着物生地を駆使した「Sen Factory」のハンドメイド小物は、オンラインショップのほか、ミラノ市内のコンセプトストアやミュージアムブックショップにて販売中。

 小物ブランド共同創業者兼クリエイター・後和千賀子さんに聞く10の質問

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12歳で初めて目にして以来、惹かれ続けるイタリアの空の色。写真は末娘の学校への送り迎えの途中で眺める風景

──Q1:暮らしている街の環境について教えてください。 

ミラノ市内のアパートメント暮らしです。ミラノから車で小1時間の小さな田舎町クレマにある一軒家に、「Sen Factory」のアトリエ兼ショールームを設けており、ミラノという商業都市とノスタルジックな街を頻繁に行き来しています。

ミラノ住まいは忙しくストレスフルだと口にするイタリア人が多いですが、私はそうは思いません。ミラネーゼたちは週末になるとこぞって郊外に出かけるため、ウィークエンドのミラノは人も交通量も少なく案外穴場。とても住みやすい街だと感じています。南仏コート・ダジュールへも車で3時間程度ですし、隣接国へのアクセスのよさも魅力的です。

イタリアとの初めての出合いは、今から30年以上前のこと。12歳の春休みに母が海外への二人旅を提案してくれ、行先を私に委ねてくれたことがきっかけでした。当時の私は映画『メリー・ポピンズ』と『ローマの休日』に夢中で、その舞台を自分の目で見たくてロンドンとローマを訪れました。

より思い入れのあったロンドンは、想像よりも現代的に映った一方で、ローマの街並みは時が止まったように映画世界のまま。空の色やオレンジがかった街頭建物の光、建物の風景、すべてが日本には存在しない空間に魅せられました。今もミラノで、3人の娘たちと美しい朝焼けや夕焼けを眺めるのが日課です。

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ミラノ市内、自宅付近にあるお気に入りの花屋さん
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ミラノの自宅から望む朝焼け。刻一刻と移ろう豊かなカラーパレットを娘たちと満喫

──Q2:よりよいパフォーマンスを引き出すための生活習慣は何ですか?

三女の出産後から始めたピラティス。学校へ送った後で週1〜2回レッスンを受けています。かれこれ10年続けていますが、身体が整うのを感じます。家で好きな音楽を流して踊ることもしばしば。

無理は大敵、自分時間に美意識を刺激してエナジーチャージ!

──Q3:ワークライフバランスの取り方はどうしていますか?

会社勤めをしているわけではないので、オンとオフの時間配分はしやすいです。ただし、好きなことを仕事にしているため、プライベートとの境界がないときも多々。年を重ねて、身体が不調を訴えることも以前より増えました。自分の体調が小さなシグナルを出したら無理をしない、と割り切るようになりました。

「Sen Factory」のビジネスでも、共同創業者のラウラとともに、そのときどきで「ふたりが無理しないと実現できない案件は見送る」というスタンスを貫いています。見送ったプロジェクトであったとしても、やがてまた、自分たちの準備が整った好機が訪れるはずと信じています。

──Q4:趣味や最近凝っていることは?

趣味は「美しいもの」を発見すること。特にひとりで散歩や街歩きをし、新しいお店やカフェ、レストランを発見すること。16歳、13歳、10歳の娘たちとイタリア人夫の5人家族で暮らすにぎやかな日常なので、意識的に「ひとり時間」を作っています。

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お気に入りのパティスリー兼カフェのひとつ「Gelsomino」

散歩の途中で青空に浮かぶ雲や月の姿、雨模様に彩られた街の美しさに心奪われるのも至福のひととき。自然の中や街中で、あるいは運転中、リラックスしているひとりの時間にこそ気づきが多いです。「Sen Factory」の新しい製品アイデアも、そんな自分時間に生まれます。

トリエンナーレデザイン美術館など、ひとりで美術館へ行くのも好きです。誰かと一緒だと見落としてしまうこともあるものの、ひとりなら自分のペースでゆっくりと過ごせ思わぬ発見が多いです。

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和柄生地をスニーカーの靴紐にアレンジ。モダンなツイストを効かせた「Sen Factory」プロダクトの一例

 ──Q5: 週末・休暇の過ごし方は?

娘たちが喜ぶので、土曜日か日曜日の朝はきまってパンケーキを焼きます。私自身、休日のパンケーキには特別な思い出があります。幼少期、家族と一緒に時折ホテルへ朝食を食べに出かけ、今の娘たちと同じようにあの味を楽しみしていた懐かしい記憶がよみがえるんです。

年に一度は、仲良しの友人ミラネーゼたちとともに週末旅行もします。家族とは離れて過ごす時間、心身ともにリフレッシュできます。

バカンスの行き先は南仏ニースやサントロペ付近、スペインのイビサ島、ギリシャなど、ヨーロッパ内のビーチで過ごすのがほとんど。イタリアのビーチは大音量の音楽が流れていてにぎやかすぎるので、静かで大人しいフランスのビーチが我が家の定番です。

思い出深い休暇といえば、母が私にしてくれたのと同じように、長女が12歳を迎えた年に決行したアメリカへの母娘二人旅。長女がアメリカ行きを望んだのですが、私がニューヨーク留学中にインターンシップを経験した、今はなきフェアチャイルド・パブリケーションがあった懐かしいビルも訪ねました。

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娘たちの笑顔が見たいから、週末の朝はいつもパンケーキでスタート

 ──Q6:コロナ禍で始めた新しい生活様式は?

家で過ごす時間が増え、またロックダウン中に誕生日祝いとして友人が植物をプレゼントしてくれたので、自宅内で観葉植物を育て始めました。元気に育っていく姿を見ると嬉しさもひとしお。これを機にもっと多くの観葉植物を我が家に迎え、リビングルームをジャングルのようにしてみたいと計画中です。

想像を超える変化に対してオープンでいたい

──Q7:コロナ禍に得た気づき、新たな目標はありますか?

キャリア編でもお話しましたが、コロナ禍で突然知人を喪失した経験から、生に限りがあること、人生はたった一度しかないことをより強く実感しています。私にとって、自分の心の声に従って「今を生きる」ことがすべて。直感を信じて突き進むと、想像もしていなかったような素敵な出会いやひらめきがあったり、それに伴ってものごとが発展したりするもの。

私の生き方は行き当たりばったりのようですが(笑)、人との出会いに恵まれてきたことを再認識する日々。これからも感謝の気持ちを忘れずに生きていきたい。そして、ワクワクすることをしながら100%自分の人生に身を委ね、想像を超える出来事をいつでも受け入れられるように、足取り軽く進んでいけたらいいと思っています。

この時代を生き抜くため、免疫力を高めるのに大切なのは、笑顔を心がけハッピーでいること。だからこそ、自分が好きなことをする。美しいものを見たり、嬉しい言葉をかけたり・かけられたりすることも欠かせません。

──Q8:よく使う頼れるアプリは何ですか?

ステイホーム期間中より、オンラインフードデリバリーサービス、DeliverooやUber Eatsをときどき利用。朝昼晩の3度の食事作りは、ロックダウン第一弾時は楽しくやっていましたが、仕事が本格再開するとたまには休みたいと思うのが本音。無理せずデリバリーに頼る日もあります。

──Q9:愛読書、モチベーションアップに効く本は?

何度も読み返すくらい大切にしている本は、『星の王子さま』と『アミ 小さな宇宙人』。どちらも、ページをめくるたびに新たな発見があります。後者は、地球人の少年と宇宙人アミとの宇宙をめぐる冒険譚ですが、世の中を動かすのは「愛」なのだという私自身の価値観に共鳴するメッセージが軸にあり、かけがえのない一冊です。

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愛読書は『星の王子さま』と『アミ 小さな宇宙人』

 取り外せない最愛ブレスレットに、「自分らしさ」を託して

──Q10:勇気をくれるお守りのようなアイテムはありますか?

肌身離さず身につけているお守りジュエリーは、40歳を迎えた記念に購入したゴールドのチェーンブレスレット。ミラノ発のブランド「Atelier VM」による人気コレクション「L’ESSENZIALE」のもので、華奢なチェーンをレーザーで溶接した留め金のないデザインがアイコニックです。

別名「l’amore saldato」(あえて訳すと「揺るぎない愛」)と呼ばれるこのブレスレット。一度つけると切れない限り取り外しは不可能というわけで、愛を溶接して揺るぎないものにするという意味が込められているようです。腕の動きに合わせて密やかにキラキラと光るのが気に入っています。

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「Atelier VM」の「L’ESSENZIALE」ブレスレット。老舗百貨店リバティ ロンドンやパリのル・ボン・マルシェなどでも展開中

心を鼓舞するアイテムは、ボルサリーノの帽子。シンプルベーシックな服に、大好きな帽子でアクセントを効かせるのが私のスタイル。夏はジーンズや白パンツにパナマ帽、冬はコート姿にフェルトハットを。被ると気分がシャキッとし、おしゃれをしていると感じるのです。 

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お気に入りボルサリーノのパナマ帽を被って、気の置けない友人の誕生日を祝うアペリティーボへ

以上、小物ブランド共同創業者兼クリエイター・後和さんへのライフスタイルにまつわるインタビューをお届けしました。

コロナ禍でも揺らぐことのないそのポジティブ思考は潔いほど。後和さんの言葉の数々は、「自分軸で生きること」の大切さを伝えてくれます。すべての働く女性たちに、一度きりの人生をしなやかに楽しむための人生のTipsを。

Sen Factoryについてはこちらから

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この記事の執筆者
1974年東京生まれ。「MISS」「家庭画報」「VOGUE NIPPON」「Harper’s BAZAAR日本版」編集部勤務を経て、2010年に渡独。得意ジャンルはファッション、ジュエリー&ウォッチ、ライフスタイル、犬、ラグジュアリー全般。現在はドイツ・ケルンを拠点に、モード誌や時計&ジュエリー専門誌、Web、広告などで活動中。