秋が深まるこの季節、芸術の街、上野ではゴッホがとってもアツいのです! 

11月4日に新しくオープンする映画館・TOHOシネマズ上野では、オープニング作品として、ゴッホの死の真相に迫るアートサスペンス映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』を上映。そしてすぐ近くの上野にある東京都美術館では、ゴッホと日本美術の関係性に迫る美術展『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』が10月24日から開催されています。

ほぼ同じ時期に同じ上野でこれだけゴッホを深く堪能できるなんて、ゴッホファンにはたまりませんよね。芸術の秋に見逃せない、ふたつのゴッホ・イベントを詳しくご紹介いたします。

■世界初! 全編が動く油絵で構成された映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』

世界最大のアニメーション映画祭・仏アヌシー国際アニメーション映画祭2017で観客賞を受賞、大きな話題となった作品がついに日本で上映されます。スリリングに進んでいく謎解きの興奮と「動くゴッホの絵」がもたらす快楽、偉大な画家が残した魂がもたらす感動が、心を激しく揺さぶります。

映画『ゴッホ〜最期の手紙〜』の一場面

■1:62,450枚の油絵が、高精細写真によって動くアートに!

この作品の魅力はなんといっても、ゴッホの作品がまるで動いているかのように感じられる映像です。撮影された1コマ1コマが、世界中から集められた125名の画家によって再現された”ゴッホタッチの油彩画”。その数なんと62,450枚! 1秒に12枚を写すことで、動くアートとして生まれ変わっています。

■2:ゴッホが残した手紙によって真実に迫る

個性的な筆致によって、今もなお絶大な人気を誇るゴッホ。一方で「耳切り事件」を起こしたりと、数多くの謎を抱える画家としても有名です。好色家、狂人、天才、怠け者、探求者…数々のレッテルを貼られた彼ですが、弟に向けた最後の手紙に「我々は自分たちの絵に語らせることしかできないのだ」と残しています。彼が本当に伝えたかったメッセージとは…。ゴッホはいったいどんな男だったのか…。映画では、ゴッホが最期に残した手紙によって、その真実が明かされていきます。

『ゴッホ〜最期の手紙〜』より 左/アルマン・ルーラン 中/マルグリット・ガシェ 右/タンギー爺さん

■3:ゴッホの死の真相とは…?

ゴッホの最期は銃による「自殺」とされていますが、そこには説明のつかない不可解な事実が多くあります。「本当に自殺だったのか…」「彼はなぜ命を絶とうとしたのか…」浮かび上がってくる数多くの疑問。ゴッホと関わっていた人物たちの証言によって、その真相が明らかになっていきます。

作品詳細

  • 『ゴッホ〜最期の手紙〜』 
  • 11月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国順次ロードショー、11月4日よりTOHOシネマズ上野にて上映
  • (c)Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.
  • 【2017 年/イギリス・ポーランド/96 分/カラー/原題:LOVING VINCENT】
  • ■ストーリー
  • 郵便配達人ジョセフ・ルーランの息子アルマンは、パリへ届ける一通の手紙を託された。それは父の友人で自殺したゴッホが、彼の弟テオに宛てたものだった。テオの消息を追う内にその死を知るが、それと同時に募る疑問がひとつ…。ゴッホの死の真の原因はなんだったのか? 肖像画で見たさまざまな登場人物がゴッホを語り、彼の情熱、孤独、愛、そして驚くべき人生が浮かび上がる。37歳という若さで、彼はなぜ命を絶たなければならなかったのか? そして彼が最期に見たものとは…?

■日本美術とゴッホの関係性を探る展覧会『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』

アムステルダムにあるファン・ゴッホ美術館と日本の美術館の、初の本格的共同企画として実現した本展。1853年、オランダで生まれたゴッホは、1886年にパリに移り絵画表現を模索していましたが、そこで、日本の浮世絵から大きな影響を受けました。ゴッホが残した作品のなかには、浮世絵の模写や、日本を憧れていた様子がわかるものがたくさんあります。ゴッホが目指した絵とは一体、どのようなものだったのでしょうか? 展覧会の出展作品である、ゴッホの絵とともに探ってみましょう。

■1:まるで日本の浮世絵!? ゴッホが目指した日本美術

フィンセント・ファン・ゴッホ 《花魁(溪斎英泉による)》 1887年 油彩・綿布 ファン・ゴッホ美術館  (フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵 ©Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

ゴッホは、ある画商の店で浮世絵を観て、その鮮やかな色彩や作品としての質の高さに魅せられます。そして当時安価だった浮世絵を大量に収集し、模写をしたのです。上の絵『花魁(おいらん)』も、浮世絵を真似て制作された作品のひとつ。1886年に出版された『パリ・イリュストレ』誌の日本特集号の表紙を飾っていた英泉の花魁図(画像下)を、拡大模写して描き込んだといわれています。ゴッホ特有の平坦で鮮やかな色面を使った画風は、浮世絵の研究を通じて生まれたのでしょうか。

溪斎英泉 《雲龍打掛の花魁》1820~1830年代 木版、紙  千葉市美術館蔵 東京展後期展示、他の会期では個人蔵作品を展示

■2:ゴッホが憧れた「日本」という名のユートピア

ゴッホが残した言葉の中に「日本人はとても簡素な部屋で生活していた。そしてその国には何と偉大な画家たちが生きていたことか」というものがあります。ゴッホにとって日本はまさに「理想郷」。そのイメージどおりに、彼はさまざまな作品を生み出してきました。そして日本の画家のようにデッサンできるようになりたいと願い、葦ペンを使った独自のデッザンも多く描いたのです。下の絵は、ゴッホが過ごした「黄色い家」の寝室。日本人の家にならい、簡素にしつらえたそうです。

フィンセント・ファン・ゴッホ 《寝室》 1888年 油彩・カンヴァス  ファン・ゴッホ美術館  (フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵 ©Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

■3:絵の中に日本人?  絵に隠された敬愛の念

フィンセント・ファン・ゴッホ 《カフェ・ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトーリ》 1887年 油彩・カンヴァス  ファン・ゴッホ美術館  (フィンセント・ファン・ゴッホ財団)蔵 ©Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

上の絵のモデルは、パリで「カフェ・ル・タンブラン」を経営していたアゴスティーナ・セガトーリ 。よく観ると、右上奥に着物姿の女性が。ゴッホは1887年にここで、浮世絵展を開いたことがあるそうです。この絵からも日本人への憧れが伺えますね。彼はピエール・ロティの異国趣味小説『お菊さん』を読んで、日本人を理想化していたようです。

また、2017年10月23日に行われた開会式では、ゲストキュレーターのコルネリア・ホンブルク氏、ファン・ゴッホ美術館の館長アクセル・ルーガー氏らが登壇。アクセル・ルーガー氏は「本展は、ゴッホの作品にいかに日本美術が深く影響を及ぼしたかを追求する初の試み。ファン・ゴッホ美術館は、長年日本と深く特別な関係を築いてきました。かなり前からやるべきと考えていたのですが、今回のゴッホ展は長年の夢がやっと叶ったものとして、私達の喜びはひとしおです」と、展覧会実現に対する喜びを語っていました。

2017年10月23日に行われた開会式の様子

こちらの展覧会は、札幌、東京、京都で開催される巡回展。すでに終了した札幌では19万人を超える来場者で賑わったとのこと。この様子だと東京展、京都展でも大盛況間違いなしです。前売り券を買うなど、準備はお早めに!

作品詳細

  • ゴッホ展 巡りゆく日本の夢 
  • 会場/東京都美術館
  • 会期/2017年10月24日〜2018年1月8日
  • TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 休室日/月曜日(ただし、1月8日を除く)、12月31日、1月1日
  • 開室時間/9:30〜17:30(金曜日、11月1日、2日、4日は20:00まで) ※入室は閉室の30分前まで
  • 当日券1,600円(一般)※シルバーデー有
  • ※2018年1月20日から京都国立近代美術館へ巡回予定

 

以上、かつてないほど充実したふたつのゴッホ企画の概要をお届けしました。上野の秋は紅葉も素敵なので、家族や友人、パートナーと秋のお花見のついでにぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

もちろん東京にお住まいでない方も、映画は全国順次公開、展覧会は2018年1月20日から、京都国立近代美術館に巡回予定なので、ぜひチェックしてみてください。

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
谷 侑希美