自分の気持ちを大切にしながら、時代に合った着こなしを考えることが求められる現在。

『Precious』3月号では、特集「おしゃれを一歩進める、美しき『掟破り』」の中で、「新たな洗練へと導く!『アップグレードアイテム』ベスト4」という企画を展開中です。

ふだんの着こなしの延長でありつつ、印象変化を無理せず楽しめる「一歩先のアイテム」を取り入れていきましょう。今回は、4人の賢者の「アップグレード」アイテムをご紹介します。

西山 栄子さん
ファッション・ジャーナリスト
(にしやま えいこ)大人にふさわしい流行を的確にキャッチし、キャリアスタイルと融合させる独自の審美眼に定評がある。著書に『50代からのおしゃれバイブル』(講談社)など多数。
菊間 千乃さん
弁護士
(きくま ゆきの)フジテレビアナウンサーとして活躍したのち、弁護士に転身。一般企業法務やコーポレートガバナンスの分野等で活躍。趣味を生かし、ワインエキスパートとしての一面も。
井川 沙紀さん
「ブルーボトルコーヒー」チーフ・ブランドオフィサー
(いがわ さき)数社でのキャリアチェンジのあと「ブルーボトルコーヒージャパン」に入社、取締役として活躍。現在はアメリカ本社のチーフ・ブランドオフィサーに就任。
伊藤 美佐季さん
スタイリスト
(いとう みさき)リッチ感のあるジュエリーコーディネートを提案。近著に『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』(ダイヤモンド社)があり。インスタグラム@jewelryconcierge_mも始動。

1. 正統派の香りが漂う、ゆったりとしたシェイプのジャケットこそ、フリルシャツで遊び心をきかせて。(ファッション・ジャーナリスト 西山栄子さん)

ジャケット_1,シャツ_1
ブラウントーンのジャケットに、「セリーヌ」のフリルシャツとイニシャルネックレスで、甘さや遊びを加えるのが西山さん流。

ジャケットといえばノーカラーのタイプなど、フェミニンなタイプを選んでいたという西山さん。

「クラシカル回帰の流れも受けて、最近ではボックス型のシルエットを選ぶように。〝セリーヌ〟のガンクラブチェック柄のジャケットは、肩のフォルムは端正でありながら、ボディはゆったりとしている進化系のシルエットに惹かれました。

こちらのジャケットの魅力は、佇たたずまいの美しさだけでなく、長め丈のワンピースやプリーツスカートといった、フェミニンなボトムとの組み合わせも楽しめるという点にあります。

テーラードジャケットはマニッシュなDNAを宿しているからこそ、どこか甘めのディテールを加えることで、ひねりのきいたおしゃれが完成します」

2. 弁護士としてのキャリアを重ねた今、スーツよりも自分らしくいられる、とろみのあるブラウスが主役に。(弁護士 菊間千乃さん)

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「〝アクアスキュータム〟のグリーンのブラウスは、胸元にあしらわれたラッフルが、きちんとしたシーンにふさわしい華やぎをもたらします」と菊間さん。

活躍のフィールドを変え、実績を積む過程で選ぶアイテムも変化していったと語る菊間さん。

「弁護士として駆け出しのころはスーツを好んでいました。あるとき、事務所の代表が〝弁護士として自信があるなら、好きな服を着ればいい〟と背中を押してくれて。以来、スーツよりも自然体でいられるブラウスがワードローブの主軸となりました。

自分が選ぶアイテムはどうしても偏りがちなので、服選びの際には『日本橋髙島屋』の〝ストアコンシェルジュ〟サービスを活用して、新しい色や柄も積極的に楽しむようにしています。

おしゃれはまず第一に、自分のために楽しむこと。今までにない服をまとったときに気分が高揚する瞬間を、素直に楽しんでいきたいです」

3. モチベーションが上がるような色や柄、シルエットを積極的に楽しみ、肩ひじ張らない自分らしさを表現。(「ブルーボトルコーヒー」チーフ・ブランドオフィサー 井川沙紀さん)

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「〝エンフォルド〟のモノトーン配色や、〝バウム ウンド ヘルガーテン〟の透け感のある小花柄ワンピースはオンライン映えも抜群です」と井川さん。

グローバルなフィールドで活躍する井川さんは、リモートでのミーティングも増え、自然と手に取るアイテムに変化が生まれたそう。

「平均的なスケジュールは、アメリカとのテレカンを午前6時から12時まで行い、日本チームとの会議に。ワードローブはゆったりとしたシルエットのワンピースがほとんどなのですが、モニター越しで会話する機会が増えたこともあり、表情が映える鮮やかなプリント柄が重宝しています。

以前は、着回しやすいアイテムを選び、周囲からどう見られるかを意識していましたが、今では直感で好きだと感じるものを身につけるように。ECサイト『Farfetch』でのショッピングを活用し、心に響く一枚を探すのも楽しみな時間です」

4. 「柔軟なライフスタイルを支える新定番のバックパックは、迫力ジュエリーと合わせてバランスを」(スタイリスト 伊藤美佐季さん)

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「ピアジェ」のバングルにカフバングルを重ねたり、「ボッテガ・ヴェネタ」の色石リングやサファイアのリングを合わせて、伊藤さんらしいリッチな手元に。

イタリア・フィレンツェで過ごした経験で培われた、センスのいいジュエリー使いにファンも多い伊藤さん。

「仕事柄、つねにフットワーク軽くありたいもの。ニューノーマル時代の今、徒歩での移動が増えたこともあり、思いきって〝ロエベ〟のバックパックを取り入れてみました。

しなやかなレザーのバックパックは、想像以上に軽快なムードを運んでくれるという発見も。ただし、ヨーロッパマダムのようにリッチ感を大切にしたいので、手元にはいつも以上に煌きを添えるようにしています。

遠目でもわかるほどの、迫力のあるゴールドのバングルやモチーフリングをミックスさせて、辛口なエッセンスをきかせるのが、バックパックを楽しむ日の私的流儀です」

PHOTO :
黒沼 諭(aosora/人物)、小林美菜子(静物) 
EDIT&WRITING :
川口夏希、遠藤智子(Preciosu)