素材の味を丸ごと味わう大胆さとフランス料理や和食のような繊細さと。独自に進化するニッポンの中華は世界の美食家からも注目の的。

雑誌『Precious』3月号では特集「2021、行くべきは「アップスケール中華」」を展開。ダイナミックかつラグジュアリーに昇華する話題の中華の名店を取材しました。

本記事では、フード&ライフスタイルジャーナリストの秋山 都さんが「慈華」をご紹介します。

掲載の情報は1月7日時点のものです。営業日や営業時間に変更の可能性があるため、お出かけの際は最新情報をご確認ください。

秋山 都さん
フード&ライフスタイルジャーナリスト
(あきやま みやこ)ファッション誌や富裕層向け雑誌、グルメ雑誌の編集長を歴任後、食・酒・旅・ペットなどを中心に執筆中。自身が住まう谷中・根津・千駄木の情報発信メディア「rojiroji」をパートナーとともに主宰。

日本の豊かな食材を生かしきる繊細かつ、引き算な中華「慈華」

「2019年4月、建物老朽化のため惜しまれつつ閉店した『麻布長江 香福筵』でオーナーシェフを務めていた田村亮介氏のお店が、同年12月、東京・南青山にオープン。1周年を待たずしてミシュラン一つ星に輝きました」と秋山さん。

「素材を慈しみ、人を慈しみ、料理を慈しむ」との思いを込めた「慈華」という店名にふさわしく、卓越した中国料理の技法と素材へのこだわり、繊細なひと皿は、食通たちを虜にしています。

シンプルで落ち着いた雰囲気の店内。シワひとつなくアイロンがけされたクロスが清々しい。
シンプルで落ち着いた雰囲気の店内。シワひとつなくアイロンがけされたクロスが清々しい。

「まさに食べ手のことを慈しむ料理。たとえばコースの始まり『運気の上がる前菜盛り合わせ』は、縦長プレートに盛り付けられた8種の前菜を手前から奥に向かって食べすすめる趣向ですが、食感、香り、味わいの変化にひと口ずつ驚いたり、笑顔になったり感心したり。前菜だけでなくすべての料理がそんなふうに慈しまれる気分になれるんです。

また、シェフ自ら日々生産の現場を訪れ食材を吟味。素材を慈しみ、後ろからそっとサポートするような丁寧な仕事こそが『慈華』の真骨頂だと思います」(秋山さん)

「文思豆腐羹」。鶏と豚ひき肉のうま味あふれるクリアな清湯に、極細切り絹豆腐のなめらかさが際立つ極上スープ。
「文思豆腐羹」。鶏と豚ひき肉のうま味あふれるクリアな清湯に、極細切り絹豆腐のなめらかさが際立つ極上スープ。
「椒麻脆皮魚」。スジアラを皮はカリカリ身はふわり、皮下の脂はねっとりと3段階で火入れ。青山椒のソースで。
「椒麻脆皮魚」。スジアラを皮はカリカリ身はふわり、皮下の脂はねっとりと3段階で火入れ。青山椒のソースで。
「素XO蒸白菜」。野菜のみでつくるオリジナルXO醬が、蒸した能登産オレンジ白菜の甘みを一層引き立てる。
「素XO蒸白菜」。野菜のみでつくるオリジナルXO醬が、蒸した能登産オレンジ白菜の甘みを一層引き立てる。

問い合わせ先

  • 慈華
  • 営業時間/※月曜休、不定休あり
  • TEL03-3796-7835
  • ランチ 11:30~15:00(最終入店13:00/前日までに要予約)
  • ディナー 17:30~23:00(最終入店21:00)
  • コース/ランチ¥6,000〜、ディナー(約7品〜)¥15,000〜
  • 住所東京都港区南青山2-14-15 五十嵐ビル2階

 

PHOTO :
篠原宏明、長谷川 潤、 川上輝明(bean) 
EDIT&WRITING :
田中美保、 佐藤友貴絵(Precious)