素材の味を丸ごと味わう大胆さとフランス料理や和食のような繊細さと。独自に進化するニッポンの中華は世界の美食家からも注目の的。

雑誌『Precious』3月号では特集「2021、行くべきは「アップスケール中華」」を展開。ダイナミックかつラグジュアリーに昇華する話題の中華の名店を取材しました。

本記事では、フード&ライフスタイルジャーナリストの秋山 都さんが「銀座 やまの辺 江戸中華」をご紹介します。

掲載の情報は1月7日時点のものです。営業日や営業時間に変更の可能性があるため、お出かけの際は最新情報をご確認ください。

秋山 都さん
フード&ライフスタイルジャーナリスト
(あきやま みやこ)ファッション誌や富裕層向け雑誌、グルメ雑誌の編集長を歴任後、食・酒・旅・ペットなどを中心に執筆中。自身が住まう谷中・根津・千駄木の情報発信メディア「rojiroji」をパートナーとともに主宰。

日本の四季折々の美味を、繊細かつ大胆な料理と演出で

「日本の四季が感じられる中華料理」がコンセプト。時間ができればシェフ自ら生産者を訪れ食材を探し歩き、東京=江戸ならではの中華をつくりたいと「江戸中華」を掲げて銀座8丁目にオープンしたのが2015年。

カウンター奥、漆喰調の赤い壁が印象的。また店内のコンセントにはすべて壁と同じ素材のカバーが。そんな細やかな心配りも非日常感演出のポイントだとか。
カウンター奥、漆喰調の赤い壁が印象的。また店内のコンセントにはすべて壁と同じ素材のカバーが。そんな細やかな心配りも非日常感演出のポイントだとか。

こぢんまりとした空間でカウンター越しにシェフとやりとりできることもあってまたたく間に人気店となり、2019年から3年連続ミシュラン一つ星を獲得しています。

旧店舗のあったビル取り壊しに伴い、2020年9月、銀座6丁目に移転オープン。ライブ感あふれるカウンター席はそのままに、黒と赤を基調にしたラグジュアリーな空間に生まれ変わりました。

中華風八寸。香箱蟹といくらの紹興酒漬、クラゲと生搾菜の和え物、黄金ピータンなど季節を感じる8種の前菜が美しく盛られたひと皿。
中華風八寸。香箱蟹といくらの紹興酒漬、クラゲと生搾菜の和え物、黄金ピータンなど季節を感じる8種の前菜が美しく盛られたひと皿。
仙台牛のシャトーブリアンをネギときゅうり、甜麺醤と桂花醬が効いた甘辛ソースと一緒に皮で巻いた、山野辺シェフ流北京ダック。
仙台牛のシャトーブリアンをネギときゅうり、甜麺醤と桂花醬が効いた甘辛ソースと一緒に皮で巻いた、山野辺シェフ流北京ダック。
冬の名物「白子麻婆豆腐」。和歌山のぶどう山椒と四川の粒山椒が効いた麻婆と、軽くあぶった天然トラフグの濃厚さが溶け合って…。
冬の名物「白子麻婆豆腐」。和歌山のぶどう山椒と四川の粒山椒が効いた麻婆と、軽くあぶった天然トラフグの濃厚さが溶け合って…。

「お客様と一緒に江戸中華を楽しみたい。その気持ちは変わりません。そこで和食のように繊細な八寸とダイナミックな大皿料理をコースに加え、食事とともに非日常感も体験していただける演出を意識しています」と山野辺仁シェフ。

とはいえ、「やまの辺」名物、春雨とからすみの和え物、白子の麻婆豆腐などは健在。昼夜ともにおまかせコース1本、という点も変わりなし。四季折々の魅せる中華を楽しめる一軒です。

問い合わせ先

  • 銀座 やまの辺 江戸中華
  • 営業時間/ランチ12:00〜14:00(L.O.14:00)、ディナー18:00〜23:00(L.O.22:00)
  • ※予約はWEBサイトOMAKASE からのみ受付
  • 定休日/日曜・祝日休、不定休あり
  • コース/ランチ、ディナーともにシェフおまかせ1コース¥30,000のみ
  • 住所/東京都中央区銀座6-7-6 ラペビル9階

PHOTO :
篠原宏明、長谷川 潤、 川上輝明(bean)
EDIT&WRITING :
田中美保、 佐藤友貴絵(Precious)