『シャーロック・ホームズ』生みの親にトリビュートを捧げた「モンブラン」の万年筆

「モンブラン」の作家シリーズと言えば、世界に名を馳せた作家たちの創造性や文化的影響力に敬意を捧げたもので、1992年の第1弾、ヘミングウェイを皮切りに、『グレート・ギャツビー』のF・スコット・フィッツジェラルド（2002年）、『星の王子さま』で知られるアントワーヌ・ド・サン＝テグジュペリ（2017年）など、これまで名だたる文豪が取り上げられてきた。今年、その名誉あるリストに加わったのが、スコットランド出身のサー・アーサー・コナン・ドイル。聖書に続くベストセラーとも称されるご存知『シャーロック・ホームズ』シリーズを執筆したその人である。

趣の異なる4種の万年筆に込められたそれぞれのストーリー

今回のサー・アーサー・コナン・ドイルコレクションは、4種類のエディションで構成され、それぞれには探偵にとって不可欠なツールである虫眼鏡を模したクリップがあしらわれている。加えて、彼が生涯残した数多の物語や作家自身の人生にインスパイアされたディテールこそが最大の特徴と言えるだろう。

作家の人生とキャラクターの設定を重ね合わせた１本

スペシャルエディション万年筆 ¥135,300

シャーロック・ホームズが纏ったオリジナルのタータンチェック柄で表面を装飾したのが「スペシャルエディション」。かつて医者だったドイルが診療を行っていた「アッパー・ウィンポル街」と、ホームズの住居があった「ベイカー街」という、ロンドンの古地図が意匠に取り入れられており、レジンの濃いグレーの色調は、ホームズのミステリーにしばしば描写されるロンドンの暗い霧の街を想起させる。作家と小説の中だけに存在するキャラクターの歴史を巧みに交差させた小粋な仕上がりとなっている。

ホームズの愛用品を象ったアイキャッチーな造形

リミテッドエディション1902 万年筆 ¥541,200

ダークブラウンラッカーで仕上げた「リミテッドエディション1902」は、名探偵ホームズが愛用するパイプを彷彿させる面持ち。限定1902本という生産数は、シリーズの中でも特に人気の高い『バスカヴィル家の犬』の初版発行年であり、ドイルが英国国王より騎士に叙された年にちなんだものである。グリップの後ろに隠れているバスカヴィル家の猟犬のシルエットには、スーパールミノバが塗布されており、暗闇で光るというちょっとした遊び心も添えられている。

優美なデザインに宿るドイルの神秘的な一面

リミテッドエディション97 万年筆 38,000ユーロ（時価）

「リミテッドエディション 97」は、ドイルの棲家「アンダーショー」が完成した1897年にちなんだ限定97本。彼の重要作品が数多く生み出されたこの家のステンドグラスの窓から着想を得たデザインで、カラフルな透明ラッカーの地に、ホワイトゴールドのスケルトンオーバーレイを被せた。晩年スピリチュアリズムに傾倒したドイルに倣い、シドリック振り子（スピリチュアリストが使う振り子）に着想を得たキャップトップには、ドイルがスピリチュリズムについて書いた記事のタイトル（『未知なるものへの新しいステップ』）を刻印した。

ドイルのルーツを追体験する、限定8本の超希少モデル

リミテッドエディション8 万年筆 65,000ユーロ（時価）

ドイルの探検精神は、20歳の時に北極に向けて出航した捕鯨船で船医を務めたことから養われたと言われている。そんな逸話を受けて、この「リミテッドエディション8」のキャップとボディには、ソリッドホワイトゴールドを使った立体的な氷山のモチーフが施されており、グリップにあしらったブルーラッカーは北極の氷のような海を彷彿とさせる仕上がりに。また、キャップトップリングには、ドイルが21歳の誕生日に日記に記した「CAME OF AGE AT 80º NORTH LATITUDE」（北緯80度でのこの年齢になった）という記念碑的な文字を刻んだ。

4つの共通のディテールとして、それぞれのペン先にはドイルの肖像が刻まれ、その筆致に偉大なる文豪の魂を宿してくれる。また、本コレクションのライティングアクセサリーには、ロンドンの街路図とドイルの署名が特徴的なベルヴェットのノートブック、『シャーロック・ホームズ』が初登場する「緋色の研究」に着想を得た赤いボトルインク、さらにロンドンの街路図とタータンチェックのパターンをエンボスで施した1本挿しペンポーチが別売りされる。