目に映る佇まい、使う時の手触りや音、放つ香り… ラグジュアリーなアプローチでこその「用の美」の奥深さを、変わりゆく時代こそ見つめ直したい。そんな想いから『Precious』8月号では「五感で慈しむ『暮らしの名品』」と題して、日々を彩る名品を特集しています。

家で過ごす時間を慈しむようになり、2度目の夏を迎えました。暮らしを彩る名品と、その向き合い方までアップデートする…そんな絶好の機会ととらえてみませんか? ナビゲーターは松浦弥太郎さん名品との対話を尊ぶことで生まれる、真の豊かな暮らしへ―。

 今回のテーマは「安らぐ」。松浦さんの大切なティータイムの時間の相棒、スティーブ・ハリソンのマグカップをご紹介いただきました。

松浦 弥太郎さん
エッセイスト
(まつうら やたろう)2006年から『暮しの手帖』編集長を務める。2015年よりウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げ、現在「おいしい健康」共同CEO。10月29日より、初監督ドキュメンタリー映画『場所はいつも旅先だった』が公開予定。

スティーブ・ハリソンのマグカップ

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マグカップ/松浦さん私物 ※価格の目安は¥132,000〜。日本で購入できるのは「ギャラリー久我」など(www.gallerykuga.com/contactより問い合わせを)。

塩と釉薬の化学反応を利用した伝統的な手法「ソルトグレーズ(塩釉ーえんゆう)」を用いた作風が最大の特徴。スティーブ・ハリソンによる手づくりのため、色、肌合いがすべて異なり、同じものはふたつとない。作品に制作年号が入っているのも楽しみのひとつ。

「眺めるたび心が震え、無限のインスピレーションが得られます」( 松浦弥太郎)

「午前10時と午後3時。一日2回のティータイムを、大切な習慣にしています。どんな仕事も上手に休息を取り入れることが、ミスを無くし、クオリティを上げるコツなのです。コーヒーや紅茶など温かい飲み物を用意して、複雑化した頭の中をゆっくりプレーンな状態に戻していきます。

そんな安らぎの時間のよき相棒がスティーブ・ハリソンのマグカップ。『ソルトグレーズ』という手法を用いた独特の風合い、クラシカルで普遍的な佇まい…すべてが唯一無二だと感じます。

このクラフトの味わいに惚れ込んで、時間をかけて1点1点集めてきました。持ち手が美しく、飲み口が極上で、細部にいたるまで本当に丁寧につくられている。眺めるたび心が震え、無限のインスピレーションが得られる僕の宝物です」(松浦さん)

※掲載した商品は税込みです。

PHOTO :
本多康司
STYLIST :
来住昌美
WRITING :
本庄真穂
EDIT&WRITING :
兼信実加子、喜多容子(Precious)
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