【目次】

ウォーキングの「始め方」


散歩としてのウォーキングなら始めやすい。

「散歩」と「ウォーキング」の違い

1日10分歩くことで、残りの23時間50分の体の状態が変わってきます。さらに歩き方によって、短時間でより運動効果を上げることができます。散歩とウォーキングの違いは、より高い運動意識を持って歩くかどうかの違いです。ポイントはふたつ。ひとつは『歩く姿勢に気をつけること』、そして『歩くときに履くシューズ』です。まずはこのふたつを意識して散歩を始めることをおすすめします」(ウォーキングプロデューサー 園原健弘さん)。

まずは気軽にお散歩から

「当然ながら人間も動物であり、本来『動く』生き物なのです。2週間動かないでいると、血液循環が悪くなり、老若関係なく骨や筋肉は衰えてしまい、人間本来の機能が低下する可能性があります。まずは、気軽にお散歩感覚から始めて歩く習慣をつけましょう。より効率よく運動効果を上げたいのであれば、ウォーキングに挑戦するのがおすすめです。ウォーキングでは、歩く時に体の動かし方を意識すれば、短時間でも脂肪や糖質を効率よく燃焼させる効果が期待でき、巣ごもり太りの対策にもつながります」(園原さん)

ランニングを始める人も、歩くことから始めて

ランニング初心者の方や運動が久しぶりの方は、体が硬かったり、筋力が低下していたり、心肺機能が低下していたりしている状態です。やみくもに走るとすぐに疲れてしまいます。急にランニングを始めると、膝や腰などを痛めたり、けがをしてしまったりすることも。次のことを心がけましょう。

■1:「ウォーキング」で身体づくりを

「ウォーキングは、ランニングを行う上で重要です。特に急に走って膝などを痛めるリスクを減らしますし、低強度の有酸素運動として脂肪を燃やし、ランニングする身体に変えていきます」(管理栄養士・ジョギングインストラクター 深野祐子さん)。

■2:正しいフォームで行う

「ランニングもウォーキングどちらも正しいフォームで行うことが大切。正しい姿勢作りのポイントは、つま先をそろえて気を付けの姿勢で立ち、おへその下に手のひら、背中に手の甲を置いて息を吐きながらお腹をへこませた状態をキープすることです」(深野さん)。

■3:ウォーキングから「ジョグウォーク」へ

「この正しい姿勢による30分のウォーキングが習慣化してきたら、ウォーキングの合間にランニングを少しずつプラスしていくジョグウォークを。10分ウォーク⇒5分ジョグ⇒10分ウォーク⇒5分ジョグ⇒5分ウォークというように、徐々にランニングの時間を増やしていくようにしていくのが、健康的にランニングを行うポイントです」(深野さん)。

深野祐子さん
管理栄養士・ジョギングインストラクター
(ふかの ゆうこ)Japanマラソンクラブでインストラクター兼フードアドバイザーとして市民ランナー向けの走り方の指導や食事の指導を行う。
Japanマラソンクラブ
http://www.jmcrun.com/

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ポイント1:「歩く姿勢」に気を付けたウォーキングの仕方


歩くのに大事な筋肉「大腰筋」を動かす意識を

園原 健弘さん
ウォーキングプロデューサー
(そのはら たけひろ)1992年バルセロナ五輪50Km競歩代表。世界陸上3回連続出場、箱根駅伝2回出場など競技者としての経験をベースに健康づくり・ダイエット指導など幅広い分野で活躍中。東京・神楽坂にてスポーツジム経営。近年は(株)ラバ・チューブ代表取締役、(社)JEETA理事として、市町村の介護予防事業・地域支援事業を運営受託し全国を飛び回っている。明治大学体育会競走部コーチ。著書に『楽しい健康ウォーキング入門』(技術評論社)、『股関節ウォーキングでメタボリックシンドローム解消!』(学研)、『正しく“歩いて”東京マラソン完走』(小学館)、『ウォーキング100のコツ』『「数値改善」ウォーキング』(主婦の友社)など。

「効果的なウォーキングには、まず歩く姿勢に意識を向けることが大切です。大股歩きの「大股」とは、横断歩道で白いラインだけを踏んで歩くくらいの歩幅です。大股で歩くことによって、上半身と下半身をつなぎ、歩くための要となる筋肉の大腰筋を動かして歩くことにつながります。大腰筋が弱ると足が上がらず、つまずきやすくなるだけでなく、骨盤が後傾し猫背や肩こり、腰痛の原因にもなります。特に意識をせずに歩くと、股下だけを動かしがちになります」(園原さん)。

【正しい歩き方】
・動きの基点をみぞおち辺りまで高く上げ、そこから足を振り出すイメージを持つのがコツ。
・肩には力をいれずリラックスし、手の振りは自然にまかせます。大きく振ろうと意識しないことがポイントです。
・みぞおちから足を振り出すイメージで前へ出す。
・振り出した足はかかとから着地します。かかとから着地するためには、ふくらはぎの筋肉を伸ばす必要があります。ふくらはぎの筋肉が伸縮することで、静脈の血流が良くなり、全身に血流を巡らせてくれます。

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エレガントなウォーキングのポイント

心当たりがあれば、ぜひエレガントな歩き方から習得していきましょう。一般社団法人 日本姿勢改善ウォーキング協会 代表理事の山﨑美歩呼さんがレッスンで教えている「エレガントな歩き方」のポイントを教えていただきました。「エレガントとは自分の周りの空気自体を自分色にしてしまうような動きのことです。私は空間ごと連れて歩くことだと捉えています」(山﨑さん)。

頭は骨盤の真上に
頭は骨盤の真上に

・歩くときの足さばきは「左右の足の隙間を見せない」!
・肩は「巻き肩」にならないように、肋骨(ろっこつ)を立てて肩の位置を少し後ろにすることを意識。このとき背中に力を入れない。
・胸を張るのではなく肋骨を引き上げることが大切。
・頭の位置は骨盤の真上にする。
・腕は後ろに振るようにする。

ウォーキングするときに気を付けるポイント

残念すぎる歩き方の例
残念すぎる歩き方の例

【1】残念な歩き方

・膝を曲げながら歩く。
・左右の足の出し方がバラバラ。
・膝から下を外に蹴り出すような歩き方。
・内股で歩く。
・頭の位置が悪く、上半身が揺れる。

【2】みっともない所作

・ワキを空けて腕を横に広げながら歩く。
・猫背で手が前に出ている。
・振り向くときに肩と足の動きが同時(ゴリラターン)。
・指先にまったく意識をもたない。
・振り向くと足がよろける(足さばきが悪い)。

山﨑美歩呼さん
一般社団法人 日本姿勢改善ウォーキング協会 代表理事
(やまさき みほこ)筋肉と骨格、体の動きなど理学療法の観点からウォーキングを研究。ウォーキングに骨盤と腸の関係を加味した独自のプログラム「骨盤腸整ウォーキング」を開始。ウォーキングレッスンとインストラクター養成を行う。博多阪急、下関大丸、大阪 ポーラ他でイベントを開催。レッスンでは年間延べ7,000人にレクチャー。FMコミテンにてラジオパーソナリティーを担当(月1~2回)。また、倫理法人会での講話が好評で、毎月全国各地で講話を務めている。

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ポイント2:歩くときの足のことを考えた「シューズ選び」


大事なのは「かかとの安定感」 

「シューズ選びも注意が必要です。着るものは普段のスタイルで問題ありませんが、シューズはウォーキングに適したものを選ぶことをおすすめします。靴は選び方を間違えると、シューズそのものが原因で、筋肉に過度な緊張を生みだし正しい歩き方ができなくなることや、余計に疲れてしまい肩こりがひどくなるなどの可能性もあります。足のトラブルを起こさないためにも、かかとの骨が内側や外側に傾くようなことが起こりにくい、かかと部分に安定感のあるシューズを選びましょう。アウトソールは、かかとから着地して、しっかり地面をけり出す歩きができる、屈曲性の良いであることも重要です。正しい歩き方に導いてくれるシューズを選びましょう」(ウォーキングプロデューサー 園原健弘さん)

購入時に見極める「コツ」

園原さんからのアドバイスにも、シューズ選びが大切とありました。では、実際にお店で購入するときに、どんなスニーカーをチョイスしたら良いでしょう。自分に合うものかをすぐ見極めるためのコツを、機能とデザインを兼ね備えるシューズメーカーfitfitのスタッフの方に聞いてみました。

「シューズショップのスタッフとして、実際に履いていることでお客様に細かくおすすめやアドバイスができるため、お店でも外でも日常的に歩きやすく疲れにくいシューズを選びます。特に店頭では常に歩いている状態なので、足の疲れを防ぐためです。かかと部分に芯がありきちんと足をホールドしてくれるスニーカーであれば、ウォーキングも十分にできます。靴紐をしっかり結ぶことでより足がホールドされ、歩きやすくなります。更に軽いスニーカーであれば、ふくらはぎなど足が疲れにくいのでおすすめです。

また、スニーカーを選ぶときはトータルコーディネートを考えつつ、スポーティすぎず女性らしいデザインのものを選ぶのもおすすめです。気に入ったデザインのウォーキングに兼用できるスニーカーが一足あると、使い勝手がよくとても便利です。また、毎日1時間~2時間のウォーキングをする場合、屈曲性があり、歩く時の衝撃を吸収しやすい厚めのソールのスニーカーがおすすめです。靴紐がないタイプのスニーカーの場合は、しっかりした厚地素材の靴下を履いて足が靴の中で動かないよう、ホールド感を高めてあげるとより疲れにくくなります」。

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この記事の執筆者
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