マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。

結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドの小さな町と村に2つの住まいをもつ彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えします。

今回は、英国で最も美しい海岸のひとつに数えられ、イルカなどの野生動物や自然の宝庫としても知られているという西海岸の「サナ・ベイ(Sanna Bay)」を訪れた、ある日のドライブ旅をご紹介。

道中には「ハリー・ポッター」のロケ地も登場するほか、昔ながらの「スコティッシュ・ブレックファスト」をいただける小さな村のホテルや、サナ・ベイの灯台下にあるカフェ&ショップ、地元の無人オーガニック・ショップなどなど、素朴なスコットランドの魅力を感じさせるスポットが満載です。

「ハリー・ポッター」のロケ地を眺めながら、美しい西海岸へ!

スコットランドには、多くの山や谷や湖、沿岸の島々や美しい海岸など有数の観光地があります。私のコテージがあるバラクーダー村も、スコットランド初の国立公園のロックロモンド湖&トロサック国立公園内にあり、英雄ロブ・ロイが眠る教会もあり観光名所となっています。

お天気がいい日の景観は、最も美しい国のひとつといわれているスコットランド。夏時間は日も長く、夜の10時頃まで明るいので、思いっきり外で楽しめます。ピクニック、山登り、サイクリング、ウォータースポーツ、湖や海でスイミング、野生動物や植物の観察など、7月から8月は自然をより一層楽しめる季節です。

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絵葉書のようにきれいな景色に出合えるサナ・ベイ

私たち夫婦も、気持ちよく晴れた日にコテージから北西に車で約3時間のサナ・ベイ(Sanna Bay)へ日帰りで行ってきました。サナ・ベイは丘陵地帯の美しい自然に囲まれたハイランドの西部のアードナマーカン半島 (Ardnamurchan:スコットランドゲール語で「大海の丘」の意味) にあり、英国で最も美しい海岸のひとつといわれています。

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早朝6時前。誰もいないカントリーロード

朝早く出発し、誰もいない長い直線の道を走って行くと、標高1000メートルの山々が連なるグレンコー渓谷を通ります。

スコットランドの山岳地帯の景観の中でも最も雄大なグレンコー渓谷は、1692年に起きた、イングランドに味方するキャンベル氏族が、グレンコーのマクドナルド氏族を虐殺した「グレンコー虐殺事件」で、歴史的にも知られている場所です。「嘆きの谷」とも呼ばれているこの壮大な景色と歴史の舞台となった地に、国内外から多くの観光客が訪れます。

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美しく雄大な渓谷と、悲しい歴史で知られるグレンコー

グレンコーは映画のロケ地でも使われていて、「ハリー・ポッター」のハグリッドの小屋の設定や、「アズカバンの囚人」でハーマイオニーがマルフォイを殴るシーンのロケ地としても有名です。

小さな村のホテルでいただく「スコティッシュ・ブレックファスト」

グレンコーを通り過ぎてフェリーに乗り、山間部の曲がりくねったカントリーロードを西に行くにつれて、山と海や湖の景色が入れ替わりに見えてきます。

朝早くに出発したので行き交う車も少なく、素晴らしい光景をゆっくり楽しめました。

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途中立ち寄った湖で一休み。スコットランドはどの湖も水の透明度が高く、きれいです

サナ・ビーチに行く途中にある小さなキルコーエン村(Kilchoan)のキルコーエン・ハウスホテルに寄って、スコティッシュ・ブレックファストをいただきました。

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ボリュームたっぷりのスコティッシュ・ブレックファスト。手前のお皿の奥にある黒い円形のものがブラック・プディング

スコティッシュ・ブレックファストは、ベーコン、ソーセージ、目玉焼き、ベイクドビーンズ、フライドトマトとマッシュルーム、トーストで構成されているイングリッシュ・ブレックファストに、ハギス、ブラック・プディング(豚の血と脂身、オートミル、ハーブを入れた大きめなソーセージの形を輪切りにして焼いたもの)、ローンソーセージ(四角い形のソーセージ)、ポテトスコーン(形はパンケーキで、ポテトで作ったモチモチした食感のスコーン)などがプラスされます。

キルコーエン・ハウスホテルの朝食は、スコットランドの郷土料理のブラック・プディングでした。色も黒くて血と聞くとちょっと引いてしまいますが、表面はカリカリに焼いてあって、カットするとホロホロと崩れて、食べるとジューシーで独特の味わい。パンや半熟の卵と一緒に食べるとより美味しくいただけます。

実はこのブラック・プディング、鉄や亜鉛をはじめその他の栄養素も高い食品として、2016年に英国の栄養食品会社のスーパーフードに選ばれています。機会があったらぜひ試してみてはいかがでしょうか?

イルカたちも訪れる自然の宝庫、サナ・ベイに到着!

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思わず見とれる、ターコイズ色の海

朝食をとって、さらに車で15分ほど行くとサナ・ベイに到着です。運よくこの日は車が少なく、海に近い駐車場に車を停められました。そこから岩場を10分ほど歩いていくと、白い砂浜にターコイズ色の海が広がります。

静かで風も心地よく最高のお天気。丘や岩に囲まれた湾になっているので、プライベートビーチのような落ち着いた雰囲気です。

お昼頃には家族やカップルがちらほらと。砂浜にラグを敷いて遠くを眺めていたらドルフィンがジャンプ。浜辺の人々もドルフィンに釘付けです。写真に撮れなくて残念でしたが、何度も元気にジャンプしていました。

ここは、野生動物や植物、蝶、トンボ、野鳥、オジロワシなども見られる、ワイルドライフ・ウォッチャーにも愛されている場所でもあるそうです。

英国本島最西端のランドマーク、絶景スポットの灯台

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英国で唯一のエジプシャン建築様式の灯台

サナ・ベイから車で30分ほど行くと、英国本島で最も西の地点にあるマードナマーカン灯台があります。

今でも渡航の安全の役割を果たしている灯台は、1849年にスコットランドのほとんどの灯台の設計をしたアラン・スティーブンソンによって建てられたもの。海抜55メートルに位置する、35メートルの塔です。訪問者のアトラクション及び社会的企業として運営されていて、灯台と半島の動植物について学ぶ機会を提供しています。

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灯台のカフェとショップも素敵
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ケーキやマフィンは素朴な美味しさ

灯台の足元にあるカフェは、豊富な種類のドリンクに、カップケーキやマフィン、アイスクリームなどがラインナップ。ショップでは、絵葉書や地元の人による手作りキャンドルやソープ、マグカップが販売されています。

感染症対策のため灯台の内観見学はできませんでしたが、半島から眺める青い空と海、遠くに見える諸島…その澄んだ空気と絶景に癒されます。ピクニックをしている家族やサイクリスト、岩場で野生ウォッチングをしている人々など、訪問者がそれぞれの時間をゆったりと楽しんでいました。

こちらでは、目が合ったりすれ違ったりするときに挨拶を交わし、ちょっとしたおしゃべりをするのが自然に行われます。そんな人との触れ合いも心地よいひと時です。

ほっこり心温まる、地元の無人オーガニック・ショップ

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可愛らいしいファサードにも心惹かれた、お野菜とフルーツのショップ

灯台でゆっくりくつろいだ後、細く曲がりくねった道の途中に、オーガニックな野菜とフルーツの無人販売ショップの看板を発見! 迷わず立ち寄りました。

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ディスプレイもハンドメイドで可愛らしいテイストに

ここは、買ったものの数量と記載された金額をノートに書いて、合計金額をオネスティー・ボックスに入れるというスタイル。お釣りが必要な人はテーブルの上のボックスから取るシステムです。

オネスティーとは、正直・誠実という意味。販売している人は大事に育てた野菜やフルーツを販売し、お支払いくださるのを信じているというメッセージが込められています。こういった見えない交流を大事にするのも素敵ですよね。

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お支払いはオネスティー・ボックスへ

5分で作れる!“スーパーフード”コールラビの簡単サラダ

丁寧に並べられた野菜やフルーツの中から、ホームメイドのチャイブのレッドビネガーとエルダーフラワーのコーディアル、スーパーではあまり見かけないコールラビを購入しました。

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アブラナ科の野菜、コールラビ。食物繊維も豊富だそう

コールラビはクセがなく、みずみずしくシャキシャキとした食感が特徴。カリウムやビタミンCが豊富なスーパーフードとしても知られている、食べて美味しい&嬉しい野菜です。

ドライブの翌日はこのコールラビを使って、暑い季節にぴったりのさっぱりしたサラダを2つ作りました。

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コールラビのサラダ2種。上がフィンガーサラダで、下がカルパッチョ風

ひとつは、キューブ状にカットしたコールラビとりんご、チョップしたミントをミックスしてオリーブオイルとライムであえて、リトル・ジェム・レタスの上にのせたフィンガーサラダ。

もうひとつは、薄くスライスしたコールラビの上にスライスした洋梨と黒トリュフをのせて、オリーブオイルとマルドンのロックソルトを少々振ったカルパッチョ風。

自然の中のオーガニックの食材というだけで、美味しさ倍増です。ロックダウンが長かっこともありますが、自然と共存することが今とても大事だと実感したデイ・トリップでした。

今日のおすすめ「なごみワンコ」は… 灯台のカフェ&ショップで出会った物静かなお店番犬

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生真面目な瞳がどこか哲学的な雰囲気を湛えて

灯台のカフェ&ショップの入口の横に座っていたワンコは、人にすり寄ってくるのでもなく、時々静かにカフェの中や周りをゆっくり歩いて、真剣にお店番する冷静で真面目な姿が印象的でした。


以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載第12回をお届けしました。

ささやかだけれど丁寧で、センスのよさが随所に感じられる「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。次回はどんなエピソードが届くのか、ぜひお楽しみに!

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この記事の執筆者
東京生まれ。父の仕事の関係で小学生時代をペルーのリマで、高校から大学までを米国シカゴで過ごす。帰国後、ジョルジオ・アルマーニ、マックスマーラ、ロメオ・ジリ、シンシア・ローリー、モスキーノ、ドルチェ&ガッバーナと海外有名ブランドのプレスを歴任。東京で知り合ったスコットランド出身のカメラマンのご主人と8年の遠距離恋愛の末、2005年に結婚して英国へ。 撮影コーディネートや、伝統工芸の取材執筆などを手がけながら、温かくセンスのいいカントリーライフを楽しんでいる。掲載写真の多くは夫のコリン・ロイ氏によるもの。インスタグラムアカウント:akemi_okumura_roy
PHOTO :
COLIN ROY