フレンチアイビーが全盛期だった頃、「マルセル ラサンス」というブランドが台頭していたのはご存知だろうか。当時のパリではフレンチアイビーといえば「マルセル ラサンス」というほどその名を知らぬものがいないほどの名店であり、1970年代にデザイナーデビューしたマルセル・ラサンス氏が、1976年に自身の名を冠したショップをパリ・サンジェルマンにオープンし、フランスの故ミッテラン元大統領をはじめとする、多くの著名人を顧客に抱えた伝説的ショップであった。残念ながら、2018年にパリのショップは閉店してしまったものの、幸いなことにここ日本において親交の深い、シップスのエクスクルーシブブランドとして展開しているのだ。

ファッションの見本となるフレンチアイビーを象徴する「マルセル ラサンス」のジャケット

ジャケット¥55,000(シップス 銀座店〈マルセル ラサンス〉)

シップスのエクスクルーシブブランド「マルセル ラサンス」のジャケットは「フレンチ」という言葉を的確に体現しているようだ。イギリスのカントリースタイルを思わせる素材感でありながら、イタリア的な軽快な仕立てにより重さは感じられない。ネイビーとグレーの細かい織り柄も都会的でありカントリー臭は皆無。3パッチポケットは、アメリカ的なブレザーのディテールを踏襲している。このジャケットをみた瞬間、どこのブランドであるかは皆目検討がつかないであろうが、だからこそどこで着ても違和感がなく、誰でも自由なスタイリングだ楽しめるというものだ。その守備範囲の広さがジャケットの魅力でもある。

「フレンチ」の魅力を最大限に引き出すコーディネート

ジャケット¥55,000〈マルセル ラサンス〉・シャツ¥27,940〈エリコ フォルミコラ〉・スカーフ¥15,950〈シップス〉・パンツ¥31,900〈ボレリオ × シップス〉・靴¥116,600〈クロケット アンド ジョーンズ × シップス〉以上シップス 銀座店、ベルト¥20,900(エスディーアイ〈アンダーソンズ〉)

「マルセル ラサンス」のジャケットの持ち味を最大限に引き出すのであれば、都会的な着こなしが断然おすすめだ。白シャツに、ブラックのストレートなパンツにサイドゴアブーツとベーシックな組み合わせであるが、スカーフやゴールド金具のベルトを組み合わせることで華やかさがプラスされる。シャツのボタンを開けて、スカーフを無造作に巻く。単純なことであるが、それだけでお洒落の洗練度が高まるというものだ。

当時の街行く人たちはこんな格好良い装いをしていたんだろうなと思わせるのが「マルセル ラサンス」というブランドだ。実のところ、ファッションにおける「フレンチ」という言葉の定義が難しく、イギリス、イタリア、アメリカ等それぞれの国のスタイルに影響を受けつつもそのどれとも違う雰囲気があるのが「フレンチ」である。あえて表現するのであれば、“モダンであり、クラシックである”なんとも曖昧な表現ではあるが、「マルセル ラサンス」が必ずやその疑問に応えてくれることだろう。

※価格はすべて税込です。

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PHOTO :
島本一男(BAARL)
STYLIST :
土屋大樹