雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動を連載でご紹介しています。

今回は、カフェオーナー、プー・ナーさんの活動をご紹介します。

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プー・ナーさん
カフェオーナー
上海市内の体育系大学で体育教師を目指すが、怪我により断念。在学中に偶然求人の張り紙を目にしたカフェで働いたことをきっかけに、コーヒーの魅力に目覚める。雲南コーヒーに関わり、’17年にカフェ「新参者」をオープン。

少数民族の支援にもつながる「雲南コーヒー」の生産を応援!

「雲南コーヒー」と呼ばれるコーヒー豆がある。1892年にフランスの宣教師が、ベトナムから持ち帰ったコーヒーの苗を中国・雲南省に植えたのが始まりで、長い間、知る人ぞ知る存在だった。

それが、’12年にスターバックスが生産者支援を始めたことをきっかけに、世界的に有名に。運搬用の道路がつくられるなどされ、農園の貧困はかなり改善されたが、それでも、彼らの年収は日本円にして9〜10万円ほどだという。

上海市内でカフェ「新参者」を経営するプー・ナーさんは、そんな雲南コーヒーを、農園で育て、摘み、焙煎し、お客に出すところまでを、仲介業者なしで、自身の手で行っている。自身も雲南省出身、少数民族(※)であるイ族だ。

「雲南人である私でさえ、雲南コーヒーの存在を知ったのは、’10年のこと。初めて飲んだとき、とてもおいしいと思いました。今は、ふたつの農園を運営していて、化学肥料を使わず、土壌にも気を配った、安全でエコなコーヒーを生産しています。

作業のお手伝いは、 その山に住む人に『この日はこういう作業が必要です』と伝えると、それが口コミで近隣の少数民族に広まり、人が集まってくる、というシステム。私は、相場の2倍の報酬を払うようにしています。少しでも彼らの力になれたら、と」

【SDGsの現場から】

雲南コーヒーに興味がある人は現地へもご案内

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雲南省にあるコーヒー農園と豆の処理場。カフェのお客さんを現地に案内することもある。

スターバックスにも雲南コーヒーの最新情報を提供

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スターバックスの貧困救済プロジェクトにて。今とれる豆の特徴や選び方などをアドバイス。

心地いい時間が流れるプー・ナーさんのカフェ。オープン時から、店員には聾唖の女性を採用していることでも知られる。常連ともなれば、オーダーの際も手話でにこやかにコミュニケーション。

「雲南コーヒーに注目が集まることで、これまで小学校すらなかった地域に寄付で学校が建てられています。まだまだ、私ができることはあると思っています」

※少数民族とは中国では、漢族以外の民族は少数民族と呼ばれている。雲南省には25民族の居住区があり、うち15の民族が雲南省にのみ居住している。

PHOTO :
長舟真人
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)