米倉 涼子 ~挑戦し続ける生き方~

10年続くドラマの主演として、舞台の主役として、シンガーとして…今最も魅力的な女性の「自分の超え方」とは?

『Precious』11月号では、女優・米倉涼子さんが初登場! 表紙ではラグジュアリーなコートを着こなしていただきました。今月から新シリーズが始まるテレビドラマ『ドクターX』で、大門未知子役が今年10年目を迎えることに。ニューヨークでブロードウェイミュージカルの舞台にも立ち、昨年独立。キャリアを積み重ねて輝きを増す米倉さんには、つねに新しいことに挑み続ける姿がありました!

米倉 涼子さん
女優
(よねくら りょうこ)1975年8月1日生まれ。神奈川県横浜市出身。1993年モデルとしてデビュー。「CanCam」専属モデルも務める。99年女優へ転身。2008年に始まったミュージカル「CHICAGO」は2012年よりニューヨーク公演も果たす。主演ドラマ『Doctor-X~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の最新シリーズは10月14日より放送スタート。

今のままでいいと思ったことはない。いつも新しいことを探し続ける

ハイヒールに白衣をまとって「私、失敗しないので」という名ゼリフをはく孤高の医師、大門未知子役もこの秋で10年目。強い女、デキる女のイメージを、米倉さん自身に重ねる人は多いだろう。

「大門未知子はああ見えて、とてもまっとうに生きる女性。私と違うのは、ひとつのことだけをやり抜こうとするブレのない姿勢です。私はあれもしたい、これもしたいとブレブレ(笑)。そういう意味で、彼女はときどき私を軌道修正してくれる。目覚めさせてくれるんです。シンプルに生きることが、物にも心にも必要だと」

米倉さんがそう語るのには訳がある。昨年、独立して個人事務所を立ち上げたばかり。今は女優業のほかに、まず会社の主として、社会人として「人生初」に直面する日々を送っているのだ。

「小さな会社でもやるべきことがいっぱい。立場が変わって、細かな打ち合わせから参加するようになり、こんなに大人なのに、まるで幼稚園生のように新しく覚えることばかり。これまで社会のことを何も知らずに、のびのびと自由に育てられて、ひとりで社会の中に入っていくのが、こんなに大変なことなのだと改めて気付きました」

すでに十分なキャリアがあるのに、自分の未熟さをそんなふうに素直に捉えられるのも、米倉さんが愛され、成長を続ける理由だろう。一昨年は過労で体調を崩し、持病が再発した。だからこそ自分自身で体調を管理しながら、これまでできなかった仕事にも挑戦したい。そんな思いでつくった事務所は、スペイン語で「挑戦」を意味する「デサフィオ」と名付けられた。

「今のままでいいと思ったことがないんです。高みを目指したいというよりないものねだり。自分にその力があるかわからないけれど、いつも新しいことを探して、『火種』ができたら、ひたすら走る」

堅物な人にはなりたくない。夏生まれだから涼子。名前のように涼しげで、“風通しのいい人”でありたい

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シャツ¥143,000・パンツ¥151,800・リング¥52,800(フェンディ ジャパン)

「モデルをやっていたのはもう何年も前だから、ポーズが古いのよ」と笑う米倉さん。もちろんそんなことはない。服の魅力をすぐに見抜いて、どんな服も自分のものにする表現力に見惚れてしまう。


ブロードウェイミュージカル『シカゴ』では、本場ニューヨークでの公演に3度立ったが、特に語学の習得には苦労した。

「セリフは言えても、舞台を降りたら英語が出てこないんです(笑)。でも私が皆さんにお見せするのは舞台の上だから、セリフさえクリアできればいいと思って」

そうこともなげに言う米倉さん。だが優雅に泳ぐ白鳥が、水面下で足をばたつかせているように、実はその裏で壮絶な努力を重ねたといわれている。その苦労を感じさせないほど完璧であることこそ、プロの仕事。こうして米倉さんは、ひとつずつ今の自分を超えていく。

仕事と休みの切り替えが簡単にできるほど器用ではない。ここ何年かは、仕事が一段落つくと年に2か月ほど海外で暮らし、体を休めながら、語学やダンスに打ち込むというリズムができていたけれど、今はそれもできないのが辛いところだとか。

「コロナ禍と独立の新たな一歩が重なったことは予想外でしたが、混迷が続く日々にあって、心にも体にも疲労がたまるのは、大変だけれど仕方がないこと」とも言う。

米倉さんの中にひそかに息づく大門未知子が、軌道を整えてくれる日は近いかもしれない。


※掲載した商品はすべて税込み価格です。

問い合わせ先

フェンディ ジャパン

TEL:03-3514-6187

PHOTO :
伊藤彰紀(aosora)
STYLIST :
押田比呂美
HAIR MAKE :
KENICHI for sence of humour(eight peace/ヘア)、Sada Ito for NARS cosmetics(donna/メイク)
NAIL :
菅 実加子(Salon de PIÈCE)
MODEL :
米倉涼子
COOPERATION :
BACKGROUNDS FACTORY、PROPS NOW
WRITING :
水田静子
EDIT&WRITING :
藤田由美、古里典子(Precious)