身長156cmのインテリアエディターDが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。前回に続きイタリアン家具ブランド「カッシーナ」から、1977年に発売以来ダイニングチェア部門で一番人気の座に君臨する「CAB(キャブ)」チェアをご紹介します。

高級家具ブランドとしての知名度も高く、いつかは手に入れたいと憧れる人が多い「カッシーナ」。けれど、「何から買えばいいのかわからない」という声も…。そんな方にオススメなのが、毎日必ず使うインテリアアイテムのベストセラーを一つ手に入れて「良さ」を体験するということ。

そこで本記事では、多くの飲食店でも採用されている、カラー展開も豊富なカッシーナの「キャブ」チェアをピックアップ。愛され続ける理由を探ります。

リラックスしているのにシックで端正な空間を演出!高級バッグのような頼れる存在

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【ブランド】カッシーナ 【商品名】413 CABキャブ アームレスチェア 【写真の仕様の価格】¥217,800 【サイズ】幅525×奥行き470×高さ810、座面高430(mm) 【材質】スティールフレーム内部構造・樹脂シート+モールドポリウレタンフォーム(座部分)・厚革

例えるならば、一流メゾンのバッグを持つとリラックスしたファッションの雰囲気がグッと格上げされるように、「キャブ」チェアの端正な佇まいは、一脚置くだけでインテリアを奥行き深いものに仕上げてくれます。天然素材の表情と厚みを感じさせないシルエットの対比が、遠くから見ても一目瞭然のただならぬ存在感を放ちます。

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まるで厚革が自立しているかのように見える、唯一無二の存在感の「キャブ」チェア
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「キャブ」チェアが空間に描く、線画のようにシャープなライン

1977年の発表以来、今日までに50万脚以上、年間何千脚ものペースで生産されている「キャブ」チェア。イタリアンモダンデザインを代表する椅子としてニューヨーク近代美術館所蔵作品となっています。多くの飲食店にも採用されているので、皆さんも一度はご覧になったことがあるのでは? 色味によっては中華料理店や甘味処にも合う懐の深さが魅力です。

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豊富なカラー展開も人気の秘密

卓越したクラフツマンシップが支える構造的で有機的なデザイン

「キャブ」チェアは、人間の体の延長というコンセプトでデザインされました。スチールの骨格にフィットするよう、16のサドルレザーのパーツが各々14の手作業による工程を経て縫い合わされ張られていきます。

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発売当初のイメージ写真。金属のフレームに、高級感溢れる厚革のジャケットを被せるという画期的な発想

「キャブ」チェアはシンプルでありながら、幾多の複雑な工程が見えないところに隠されて実現しているデザイン。外ステッチでエッジを立たせた美しい縫製が、空間に置いたときにあたかも自立しているかのように見える効果を生み出しています。

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左/構造上厚みが重なる箇所では、革の厚みを断面方向で斜めに削ぐことで美しく縫製。右/テーラーメードのスーツを縫い上げるかのような見事な職人技でモールドに厚革が張られている椅子の裏面

心地よく姿勢を正してくれる背中のハンモック構造

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座ると、子供の頃に母親の膝に乗ってもたれかかったときの感触のような懐かしさを覚えます

キャブチェアの座面高は表記上430mm。体感としては400mmのような感じで座面下のモールドが体重を心地よく支えてくれて、背もたれに体重を預けても両足をしっかりとつけてくつろぐことができる寸法、これは本当に嬉しい! 

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左/座面と背面の間の窪みがもたれかかったときに程よくたわんでくれます。右/フレームと厚革が作り出すテンションによって、背もたれのフィット感と抜群の座り心地を実現

「キャブ」チェアをデザインしたイタリアの建築家、マリオ・ベリーニ

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イタリアの最も多才で影響力のあるデザイナーの一人、マリオ・ベリーニ

1935年にイタリア・ミラノで生まれたマリオ・ベリーニ。ミラノ工科大学で建築を学び、卒業後の1963年よりオリベッティ社のデザイン顧問に就任し、計算機やタイプライターなどの開発に従事。建築や都市計画、家具、産業デザインを手がけ、世界的に建築家、デザイナーとして名を馳せ、コンパッソ・ドーロ賞を8度受賞。その功績を称えイタリア大統領からメダルを授与されるなど数々の権威ある建築賞を受賞しています。2011年には、ミラノ市に貢献した人物に贈られるアンブロージョ金賞を授与されました。

1986~1991年には、建築・デザイン誌『Domus(ドムス)』の編集にも携わりました。1987年に彼の回顧展を開催したこともあるニューヨーク近代美術館(MoMA)には、25点もの作品が永久所蔵品としてコレクションされています。


今回は、カッシーナを代表する名作ダイニングチェア「キャブ」をご紹介しました。

使い込むほどに身体になじみ、味わいを深めていくマスターピース。今買って年月を共に重ね、ヴィンテージへと育てるのにふさわしい家具のひとつとして、ぜひその座り心地を試してみてください。

※掲載した商品の価格は、すべて税込です。

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この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM