「第二のお年頃」――それは、いわゆる更年期。女性なら誰もが迎える、心身が揺らぎやすい時期です。人生100年といわれる時代にあって、その半ばに、なんだかモヤモヤ、ザワザワしている人も多いのでは?

『Precious』12月号では、『「第二のお年頃」が私を育む、未来を開く』と題し、人生の先輩や同年代の方が「第二のお年頃」とどう向き合い、どう楽しんだか、インタビューやアンケートと共にご紹介しています。

今回は、Preciousのメールマガジンを通して実施した記述式アンケートから、リアルな声をピックアップ。40代後半から60代まで、「第二のお年頃」真っ最中の方、すでに山を乗り越えた方、総数約300名の「第二のお年頃」白書です。

アンケートの結果、更年期を意識した年齢は46.7歳。共感と慈しみに満ち溢れたリアルボイスをご紹介します。さらに、産婦人科医師で「イーク表参道」副院長の高尾美穂さんに、更年期への向き合い方についてインタビューしました。

Q.「第二のお年頃」を迎えて心がモヤモヤ、ザワザワしたことは?

イラスト/MAIKO SEMBOKUYA(CWC)
イラスト/MAIKO SEMBOKUYA(CWC)

「とにかく不安」「理由もないのにイライラする」「涙もろくなった」といった、ネガティブな感情の波を訴える人多数。仕事上の立場や家族との関係性が新たなステージを迎える時期と重なって、思うように体調が整わないことも、心の不安定の原因のようです。

「若い頃『おばさん』と思っていた年になり愕然」「もう女性としては終わりなのか、と気落ちした」「夫とのスキンシップが減って寂しい」という声も。 

ほとんどの人が、「ここが人生のターニングポイント」だと自覚。その先を想像できずに苦しんでいました。 そして、たったひと言、「愛されたい」と書かれたコメントも…。編集部員の胸に深く刺さりました…。

Q.手放したものは?

Preciousアンケート結果
 

「手放したものがある」と回答した人のなかで、圧倒的に多かったのは、人間関係にまつわること。

コロナ禍の影響もあってか、「惰性で続いていた友人との付き合いをやめた」「ストレスになる人とは会わない」、そして「夫を手放した」人もチラホラ…。 

体力、気力の衰えと向き合い、「攻めの人生」「見栄」「完璧主義」「変なプライド」ともさようなら。「メイクで盛るのをやめた」「髪をショートに」「見た目だけのハイヒール」「膝丈スカート」と、美容やファッションに関する思いきった手放し宣言も。 

その他には「結婚」「子をもつ」「家を買う」といった長年抱いてきた目標や願望を手放したという人も。

Q.前向きに乗りきるために積極的に始めたことは?

Preciousアンケート結果
 

ヨガやピラティス、ウォーキングなどの体力づくり、着物、ゴルフやテニス、家庭菜園などの新しい趣味、語学や資格取得といった新しい学びなど、さまざまな新しいチャレンジが語られていましたが、驚いたのは、9割以上の人がなんらかの積極的な行動に出ていたこと。 

「HRT(ホルモン補充療法)」「定期的な婦人科通い」「食事の見直し」「快適な住環境づくり」「口腔内ケア」といった、揺らぎがちな心と体を慈しむことを新しい習慣にしたという人もたくさんいました。

一人旅や、美術館巡り、観劇などの、ひとりでできる趣味でリフレッシュしているという声も多数。人生を前向きに楽しもうとする姿勢、さすがです!

Q.手に入れたものは?

イラスト/MAIKO SEMBOKUYA(CWC)
イラスト/MAIKO SEMBOKUYA(CWC)

最も多かったのは、「ゆとりの時間」。頑張りすぎていた自分を手放したことで、時間だけでなく、心の安定や生きやすさを手に入れることができたと感じている人が、全体の3分の1以上を占めました。 

閉経を迎えたことで、「長年苦しんできた月経による不調から解放された」と喜ぶ声も。 「新しい仕事や資格を手にして収入アップ」「パートナーを得た」「ペットを飼い始めた」と、 新たな暮らしの様子も見えてきます。

さらには、「子供をもつことを諦めた。その代わりにインドのスラム街に住む子供の支援を始め、276人の子ができた」というコメントも。女性が避けることのできない体の変化は、『喪失』以上に『ギフト』もくれるようです。

<教えて、ドクター!>

ここからは、産婦人科医師で「イーク表参道」副院長の高尾美穂さんへのインタビューをご紹介。更年期への向き合い方について伺いました。

更年期は「健康の棚卸し期」|人生の後半戦に備え、心身をメンテナンスしましょう

「イーク表参道」副院長の高尾美穂先生
「イーク表参道」副院長の高尾美穂さん

更年期特有の症状に悩む女性たちに、まず大前提をお話しさせてください。更年期は生活習慣が大きな影響を及ぼします。「十分な睡眠」「定期的な運動」「質のよい食事」。これら3つを実践できているでしょうか。

婦人科検診はもちろん、更年期障害と間違えやすい生活習慣病のチェックも必須です。更年期は『健康の棚卸し期』。不調を取り除くべく、今こそすべてを見直してほしいのです。

さて、その次のステップが治療の選択です。「ホルモン補充療法(HRT)」は汗ほてりなら2か月、骨密度も約2年で改善されるデータが出ています。欧米では約6割の女性が受けていますが、日本ではいまだ2%。ぜひ専門医を訪ねて相談してみてください。

また「漢方」では血流がよくなり冷えまで改善された例も。「エクオール成分」のサプリ摂取で、症状が和らいだという報告もされています。

さて根本に戻って、今こそ心身を見直す必要があるのはなぜでしょうか。それは更年期を終えたその先に『素晴らしき凪の世界』が待っているからです。

ホルモンの波から解放された、何にも揺さぶられることのない至福の時間。いざそこにたどり着いたとき、健やかな心と体でいられないなんて、もったいないと思いませんか。人生100年時代がやってきました。人生の後半戦をどう楽しむか。それは今の自分の選択しだいなのです。 

ILLUSTRATION :
MAIKO SEMBOKUYA(CWC)
EDIT&WRITING :
本庄真穂、剣持亜弥(HATSU)、喜多容子(Precious)