「フランチャコルタ」とは北イタリア、イセオ湖南岸で作られる、イタリアを代表するスパークリングワインのことだ。フレッシュな酸味が特徴的なシャルドネと、ふくよかな果実味を醸し出すピノ・ネロを主体に瓶内二次発酵で作られる。特にノン・ドザートと呼ばれる無補糖ラインはシャープですっきりとした飲み口が最大の特徴。それに合う料理を、今回「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のルカ・ファンティン・シェフが特別に考案してくれた。

フランチャコルタ・ノン・ドザートにあわせる料理選びの極意とは?

フランチャコルタ・ノン・ドザートを料理ペリングの会場となったのは銀座ブルガリタワー内にある「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」。
フランチャコルタ・ノン・ドザートを料理ペリングの会場となったのは銀座ブルガリタワー内にある「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」。

「フランチャコルタ」の生産地は、氷河が削り取った岩石や土砂などでできた氷堆積土壌と呼ばれている。ミネラルが非常に豊富なこの土壌は高品質のブドウ栽培を可能とし、そこから作られる「フランチャコルタ」はイタリアの最高級プレミアム・スパークリングワインとして広く知られている。製法としては瓶内二次発酵「メトド・クラッシコ」で糖分と酵母を追加することで瓶の中で炭酸ガスが発生し、そのきめ細やかな泡を作り出している。しかし糖分を追加しないノン・ドザートというカテゴリーもあり、残糖量3gまでと「フランチャコルタ」の中でももっとも辛口でドライな切れ味で多くのファンに愛されている。

ルカ・ファンティン・シェフはミシュラン1つ星、アジア50ベスト・ランキングの常連でもあり、日本のみなならずアジア全体でも最も評価が高いイタリア人シェフ。
ルカ・ファンティン・シェフはミシュラン1つ星、アジア50ベスト・ランキングの常連でもあり、日本のみなならずアジア全体でも最も評価が高いイタリア人シェフ。

今回、フランチャコルタ協会日本事務局が開催したスペシャルランチは、このノン・ドザートにあわせて「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」のルカ・ファンティン・シェフが特別に料理を考案してくれるという実にエクスクルーシブな食事会。ルカ・ファンティン・シェフはミシュラン1つ星、日本を代表するイタリア人シェフだ。

今回は、ワインジャーナリスト宮嶋勲さんがゲストとして登場。それぞれのワイン解説を聞きながら極上のイタリア料理を味わうというまたとない機会となった。まず最初にアペリティフとして登場したのが「アブラーミ フランチャコルタ・サテン」。サテンとはシャルドネやピノ・ビアンコなどの白ぶどうのみで作られる、シャンパーニュでいうブラン・ド・ブラン。

ワインジャーナリストの宮嶋勲さん。イタリアワインの専門家であり、イタリア語と日本語を同時に操って通訳するなど、マルチに活躍する。
ワインジャーナリストの宮嶋勲さん。イタリアワインの専門家であり、イタリア語と日本語を同時に操って通訳するなど、マルチに活躍する。

「サテンとはシルクという意味なのでとてもデリケートな味わいですけど、「フランチャコルタ」らしい果実味も感じられます。シャンパーニュはもともとワインの生産地として北限だったということもあり、ぶどうが完熟しませんでした。そこで補糖を行って瓶内二次発酵を行うことで酸っぱい酸はエレガントな酸になり、未熟な果実味は爽やかな果実味となり、世界的に有名になったのです。一方「フランチャコルタ」はスティルワインも評価が高い土地なので、補糖をしなくても基本的には問題ありません。補糖分しないノン・ドザートとはその分テロワールを感じられるということでもあるのです。」と宮嶋さん。

「ホタテとトマト」と「ベッラヴィスタ フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュベ・ノン・ドザート」
「ホタテとトマト」と「ベッラヴィスタ フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュベ・ノン・ドザート」

最初に登場した料理は「ホタテとトマト」だった。新鮮なホタテを極薄切りカルパッチョ状にしてトマトウォーターのジュレとマイクロベジタブルのトッピング。ホタテの自然な甘さとトマトウォーターの酸味が実にここちよいコンビネーションのひとさら。これにあわせたのが「ベッラヴィスタ フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュベ・ノン・ドザート」シャルドネ90%、ピノ・ネーロ10%、無補糖。

2019年に初リリース直後、イタリアを代表するワインガイド「ヴィーニ・ディタリア」で最高評価の3つグラス「トレ・ビッキエーリ」を獲得したベッラヴィスタの新作。現代「フランチャコルタ」のあるべき姿はノン・ドザージュであるという信念のもとブレンドを究め、最低30か月の熟成を行う。泡立ちはきめ細やかで白い果実のアロマ、複雑かつ長い余韻、エレガントでバランスがよい一杯。

「ハマグリのリゾット、フランチャコルタのソース」と「マヨリーニ フランチャコルタDOCGパドゼ 」
「ハマグリのリゾット、フランチャコルタのソース」と「マヨリーニ フランチャコルタDOCGパドゼ 」

次は「ハマグリのリゾット、フランチャコルタのソース」が登場した。北イタリア、トレヴィーゾ出身のルカ・シェフが作るリゾットはイタリアそのものの味。特に北イタリアで好まれる、米の芯を残した火の入れ方「アル・デンテ」をしっかり踏襲。ハマグリからとったスープで炊いたリゾットは貝の旨味が凝縮しており、「フランチャコルタ」を使ったフレッシュなソースが実によくあう。装飾も一切ないミニマルな料理だけれどそれがまた実に美しい。あわせた「フランチャコルタ」は「マヨリーニ フランチャコルタ DOCG パドゼ」シャルドネ100%でやはり無補糖。

シャンパーニュ由来の酵母を使って30か月かけて瓶内二次発酵を行う。石灰質土壌のブドウから来る豊かなミネラル、柑橘やトロピカルフルーツの香りもある、軽やかな酸とほのかな苦味も心地よい。

「鰆の低温調理、カッチュッコソース、雲丹を添えて」と「アンドレア・アリーチ フランチャコルタ・ドサッジョ・ゼロ・ロゼ」
「鰆の低温調理、カッチュッコソース、雲丹を添えて」と「アンドレア・アリーチ フランチャコルタ・ドサッジョ・ゼロ・ロゼ」

最後の料理は「鰆の低温調理、カッチュッコソース、雲丹を添えて」。柔らかく火を入れた鰆はトスカーナ州リヴォルノの名物料理カッチュッコのソースでいただく。カッチュッコとはさまざまな魚介で作るスープなのだが、ルカ・シェフが作るカッチュッコは非常に洗練されている。

「フランチャコルタ」は「アンドレア・アリーチ フランチャコルタ・ドサッジョ・ゼロ・ロゼ」ドサッジョ・ゼロはノン・ドザートと同じイタリア語で無補糖のことで、ピノ・ネロ100%のロゼワイン。アンドレア・アリーチは海抜400mの畑で有機農法を行っており、塩分も感じるほど硬質な土壌が特徴。その個性をいかすために補糖をしないというのが方針で、「フランチャコルタ」の中でもやや特殊な立ち位置。このロゼもフレッシュな酸とミネラルが際立つシャープでドライな味わい。

日本でも注目がましている「フランチャコルタ」

「フランチャコルタ」は、年々日本でも注目がますイタリアを代表するプレミアム・スパークリングワイン。レストランで見かけたたら注文しない手はない。

ノン・ドザートの「フランチャコルタ」はスッキリシャープな味わいが魅力だ。それは「フランチャコルタ」特有の豊かな果実味と相反するのものではなく、ともに並び立つ魅力的な側面のひとつだと思う。それはルカ・シェフが披露してくれたようなファイン・ダイニングはもちろんのこと、和食にも応用できる守備範囲の広いスパークリングワインだ。

年を追うごとに世界的な知名度がまし、生産者も増えているフランチャコルタ協会に加盟してワイナリーは現在121社。そうした「フランチャコルタ」をひとつひとつ試し、料理を合わせてみるのはテロワールを知るのに最適な方法である。2022年は「フランチャコルタ」を極めてみるというのも、なかなかやりがいのあるタスクではないだろうか。

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この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。