多彩な音楽家としてジャズ方面のファンにはよく知られている大友良英。けれど、「あまちゃん」の作曲家? ぐらいの認識しかなく、活動の全貌を知らない人も多いはず。ここで改めてプロフィールを紹介しておこう。

ブルーノート東京のステージに初めて立つ大友良英とは?

大友写真 by大川直人
大友良英 by大川直人

話題のテレビ・ドラマや映画の音楽を山のように作る一方で、アヴァンギャルドなノイズ・ミュージックや即興音楽のライヴ・シーンをホームとする、振れ幅の大きな音楽家。それが大友良英。作曲家であり、ギタリストであり、ターンテーブル奏者でもある。活動拠点は、日本のみならず、アジアから欧米にまで広がっている。

美術と音楽の中間領域のような展示作品の制作や、様々なプロジェクトのプロデュース・ワークも手がける。東日本大震災後は故郷の福島でもプロジェクトFUKUSHIMA!を立ち上げ、現在に至るまで継続中。その活動で、2012年に芸術選奨文部科学大臣賞芸術振興部門を受賞している。

2013年のテレビ・ドラマ「あまちゃん」の音楽ではレコード大賞作曲賞ほか数多くの賞を受賞。2014年からはアンサンブルズ・アジアのディレクターとしてアジア各国の音楽家のネットワークづくりに奔走中。2017年には札幌国際芸術祭の芸術監督を務めている。

現在公開中の話題の映画「ノイズ」(原作:筒井哲也「ノイズ【noise】」)の音楽も彼の担当だ。

予想もつかないパフォーマンスに注目したい!

大友写真 by大川直人
大友良英

そんな八面六臂の活躍を見せている大友良英が率いる新しいプロジェクトが“Small Stone Ensemble”。3月4日にブルーノート東京に初登場する。当初は昨年8月の出演が予定されていたが、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言により延期となった経緯がある。それだけに、満を持しての登場となった。

“Small Stone Ensemble”は、大友が敬愛する女優/プロデューサーの小泉今日子が昨年5月19日にSNSで呟いた「小さな石をたくさん投げたら山が少し動いた」という言葉から着想を得たプロジェクト。その前哨戦として2020年7月に、大友良英自身のソロ・アルバム『Small Stone』がリリースされている(ロンドンcafe OTOが運営するTAKUROKUレーベルより)。

このプロジェクトの始動を決めたときの思いを、ブルーノート東京公式サイト内の「NEWS&FEATURES」インタビュー記事(2021年8月)で、こう語っている。

「『Small Stone』というアルバムは最初のステイホーム期間に一人で作ったんですけど、その時に、ある種のコレクティヴのようなプロジェクトができればいいなと思ったんです。“Small Stone”ってそもそも1個の石じゃダメで、たくさん集まってこそ意味が生まれる。僕がリーダーではあるんですけど、メンバーは流動的でライヴごとに集まれる人だけが集まって、集まったメンバーに応じて音楽が変わっていくような、ミュージシャン同士のネットワークから生まれるようなプロジェクトができればいいなと。極端なことを言えば、100人集まれたら100人編成でもいいし、5人しか集まれないときはクインテットでもいいと思ったのです」

大友写真 by大川直人
Otomo Yoshihide-bw by Peter Gannushkin 

即興と作曲作品との融合を念頭に、流動性をもったメンバー構成で運営していく新しい形のアンサンブル。それが“Small Stone Ensemble”だ。今回のブルーノート東京でのメンバーは総勢13名。世代や普段活躍しているシーンも違っているので、どんなステージが繰り広げられるのか予想もつかず、それだけに楽しみも大きい。小さな石が集まって生み出す未知の力を目撃したい。

大友良英さんから皆さんへ! 2021年8月23日(月)に開催が決定した際のメッセージです。

大友良英Small Stone Ensemble

■スケジュール/2022年3月4日(金)

時間、料金などの詳細はこちら

ご予約/お問い合わせ

ブルーノート東京

TEL:03-5485-0088

※新型コロナウイルスの影響により一部情報が変更となる可能性があります。最新情報は公式HPなどでご確認ください。

この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。