テーブルマナーというと、「あれをやってはだめ、これをやってはだめ」となってしまい、食事そのものが楽しめなくなってしまいがち。また、できていると思っても、実はできていないこともあるかもしれません。

そこで今回は、フランス料理をおいしく味わうための作法をフランス料理のマナー講師・井垣利英さんに教わります。

知っているようで知らない!フランス料理の基本的なお作法

お酒
お酒

フランス料理のテーブルマナーの基本はよく知られているため、普段から行っている人も多いでしょう。でも、意外とできていないこともあるかもしれません。今一度、正しい基本マナーをチェックしておきましょう。

ナプキンの正しい使い方

「正しくは、ふたつ折りにして輪になっている方をお腹側にして、太ももの上に置きます。口を拭くときは、ナプキンの裏側を使います」

フォーク&ナイフの正しい持ち方

「フォークやナイフは、柄のお尻の部分を、手のひらのくぼみの中に握りこむように持ちます。こうすると、握ったときに親指と小指の付け根の盛り上がりでホールドできて、収まりが良くなります。人差し指は、柄の背に添えます」

正しい食べ方

「パンもお肉もお魚もすべて、ひと口サイズに切って食べるのが基本です。ひと口サイズとは、“親指の第一関節まで”くらいの大きさです。大きすぎると咀嚼に時間がかかってしまい、きれいに食べたり、会話を楽しんだりすることができません」

スープ
スープ

テーブルマナーの3大ポイント

近々、会席が控えていて、自分のテーブルマナーに不安がある人もいるかもしれません。井垣さんによると、次のテーブルマナーに関する3大ポイントだけでも押さえておくといいそうです。

結婚披露宴などもテーブルマナーを知っているかが問われます
結婚披露宴などもテーブルマナーを知っているかが問われます

■1:動作は、ゆっくり静かに

■2:器を持ち上げない

■3:フォーク&ナイフは外側から使う

「特にやってしまいがちなのが、2の器を持ち上げること。例えば、平たいお皿の上に乗ったカクテルグラスに入った海老などを、つい持ち上げて食べたくなりませんか? 和食は器を持ち上げて食べるのが基本ですが、洋食は器を持ち上げないで食べるのが基本です。また、パン皿やバター皿の移動や、お料理を同席者と分け合うことも、マナーとしてはNGです。気をつけてくださいね」

洋食テーブルマナーの3大ポイント
洋食テーブルマナーの3大ポイント

■フランス料理を美味しく楽しむためのマナーの考え方

とはいえ、マナーばかりを気にしてしまうと、お料理そのものを楽しめなくなってしまうことも。そこで井垣さんに、フランス料理をおいしく味わうための、基本的な考え方を教えていただきました。

「そもそもマナーとは、形を暗記することでなく、同席している方に『一緒にいて楽しい』『心地良い』と感じてもらえるように心づかいをすること。テーブルマナーも、『禁止』することではなく、すべて理に適っていて、最もおいしく、美しく食べられる方法なのです。また、一緒に食事をする人と会話や時間、空間を一番楽しむ方法でもあります。こうした目的を正しく理解して、テーブルマナーを身につけておくことで、人から好印象を持たれますし、いざというときに緊張せず、楽しく過ごせますよ」

テーブルマナーを見直すときには、ぜひ目的から捉え直して、本番は優雅に、同席する方と心から楽しく、心地良く過ごせたらいいですね。

井垣 利英さん
(株)シェリロゼ代表、人材教育家、マナー講師
(いがき としえ)「テーブルマナー講座」や、美しいマナー&年中行事「マナー美人塾」などを開催。年100本ほど、社員研修や講演会を行っている。著書は13万部を突破した『しぐさのマナーとコツ』(学研)など。
シェリロゼ
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利