2021年12月、ローマはスペイン広場近くにOPENしたホテル「W ROME(ダブリュ・ローマ)」が、いまイタリアのガストロノミー・シーンで話題になっている。今回イタリアに初登場した「W ROME」とはマリオット・インターナショナルが世界展開するラグジュアリー・ライフスタイル・ホテル・カテゴリーWホテルの最新進化系。これは泊まるだけではなく、大人の遊び場として楽しむホテルを近未来的思考で表現したもの。特に食にかける情熱は並々ならぬものがあり、ローマの「W ROME」では4人のトップシェフ、パスティッチィエレ、ピッツァイウオーロ、バールマンとのコラボ・ダイニングが実現、まさにドリーム・チームとも呼べる豪華メンバーが勢揃いしたのだ。

グルメ過ぎるローマのホテル「W ROME」はガストロノミー・シーンで話題

W ROME最大の話題はシチリアのスターシェフ、チッチョ・スルターノの登場。3つ星に最も近いといわれるシチリアの名店「ドゥオモ」の名作をローマでも味わえるまたとない機会だ。
「W ROME」最大の話題はシチリアのスターシェフ、チッチョ・スルターノの登場。3つ星に最も近いといわれるシチリアの名店「ドゥオモ」の名作をローマでも味わえるまたとない機会だ。

まず、その筆頭はメイン・ダイニング「ジャーノ」で、監修はシチリアが誇るミシュラン2つ星「ドゥオモ」のチッチョ・スルターノ。コンテンポラリー・シチリア料理の旗手としてその名声はイタリアを超えて世界レベルであり、次のミシュラン3つ星シェフがイタリアから誕生するとしたら、チッチョ・スルターノこそがその最有力候補のはずだ。「ジャーノ」ではそんなチッチョのシチリア料理を堪能することができる。

カターニアの郷土料理「パスタ・アッラ・ノルマ」に手を加えた「パッケロ・フオリ・ノルマ」をはじめ、「パスタ・サルデ」「ヴェントレスカ・ディ・トンノ」などのシチリアを代表する味の他、マグロのボッタルガを使ったチッチョのシグネチャー・ディッシュ「スパゲッティ・タラタタ」もメニューオン。これは本家「ドウオモ」で食べられるのは「ジャーノ」だけだ。

「ジャルディーノ・クランデスティーノ」ではアランチーノやスフィンチョーネといったシチリアを代表するストリートフードやピッツァとともにカクテルが楽しめる。
「ジャルディーノ・クランデスティーノ」ではアランチーノやスフィンチョーネといったシチリアを代表するストリートフードやピッツァとともにカクテルが楽しめる。

「ジャルディーノ・クランデスティーノ」はよりカジュアルなレストラン。シチリアのストリートフードも楽しめるが、ここではやはりピエル・ダニエレ・セウのピッツァを味わいたい。ピエル・ダニエレ・セウはガンベロ・ロッソで最高峰の3つ星に相当する3スライス=トレ・スピッキに輝くローマのピッツァリア「セウ・イッルミナーティ」のオーナー・ピッツァイウォーロ。2021年10月にガンベロ・ロッソのメンバーに連れて行ってもらった際、CEOであるナポリ出身のルイジ・サレルノが「ローマでいま一番美味しいピッツェリアだ」と太鼓判を押したほどだ。

現代イタリアを代表するスター・パスティッチエレであるファブリツィオ・フィオラーニのドルチェは、スイーツ好き女子には必ず喜ばれるはずだ。
現代イタリアを代表するスター・パスティッチエレであるファブリツィオ・フィオラーニのドルチェは、スイーツ好き女子には必ず喜ばれるはずだ。

テイクアウトできるドルチェならば「ズッケロ・ペル・ファブリツィオ・フィオラーニ」もぜひ試したい。イタリア・ガストロノミー・シーンに詳しい人なら、ファブリツィオの名前をどこかで聞いたことがあるかもしれない。ファブリツィオはかつて大手町の「ハインツ・ベック」(現在は閉店)や銀座の「イル・リストランテ・ルカ・ファンティン・ブルガリ」でクリエイティブなドルチェ作りで話題となり、アジア・ベストラン50で最優秀ペイストリーシェフに選ばれたこともある実力者。現在は「ドウオモ」でチッチョ・スルターノの右腕として話題のドルチェを次々に発表している。

アールデコを彷彿とさせるバーコーナーでは、人気バールマン、エマヌエレ・ブロッカテッリのミクソロジー・カクテルを。
アールデコを彷彿とさせるバーコーナーでは、人気バールマン、エマヌエレ・ブロッカテッリのミクソロジー・カクテルを。

いまのイタリアではミシェラツィオーネ=カクテルを忘れることはできない。ラウンジバー「Wラウンジ」ではエマヌエレ・ブロッカテッリの最新カクテルを堪能することができる。エマヌエレはレディメイド・カクテルのデリバリーサイトDrink.itのオーナー兼ファウンダーで、いまローマで最も話題となっているバールマンの一人だ。つまり「W ROME」では食事から軽食、ドルチェ、カクテルまでさまざまな時間帯とシーンにあわせて楽しめる仕掛けになっているのだ。

これまでイタリアにおけるダイニングシーンはホテルよりも街場のレストランにスポットライトがあたることが多かったが、「W ROME」の登場でそうした先入観は今後大きく変化していくかもしれない。

イタリア旅行再開の際、ローマで今泊まりたいホテルはどこか?と聞かれた際に「W ROME」の名前を真っ先にあげるようならば、相当上級なトラベラーだと一目置かれること間違いないだろう。

W ROME

※新型コロナウイルスの影響により一部情報が変更となる可能性があります。最新情報は公式HPなどでご確認ください。 

この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。