日本美のミュージアムホテル「ホテル雅叙園東京」が有する東京都指定有形文化財「百段階段」。昭和10年(1935年)に建築され、ホテル内に存在する唯一の木造建築です。

そんな文化財「百段階段」では、新たな大衆文化が花ひらいた華やかな世界を堪能できる企画展示「大正ロマン×百段階段」を2022年6月12日(日)まで開催中しています。建物の一部を除き、ほぼ撮影OKなのもうれしいところ(三脚・フラッシュの使用不可)。

大正ロマンを代表する画家・竹久夢二の作品や松竹衣裳によるモダン・ガールの装いなど、展示の詳細をレポートします。

ホテル雅叙園東京の企画展示「大正ロマン×百段階段」レポート

■1:モダン・ガールの着こなしに心躍る「大正ロマンルーム〜旅のはじまり〜」/十畝(じっぽ)の間

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右奥のソファはフォトスポット。モダン・ガールに混じって撮影してみては

文化財「百段階段」に足を踏み入れ、最初の「十畝(じっぽ)の間」のテーマは「大正ロマンルーム〜旅のはじまり〜」。和装と洋装、それぞれの大正時代のファッションが目を惹きます。

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帯や小物もかわいくて、細部までじっくり眺めてしまいます

衣裳はすべて松竹衣裳が提供しています。表立ってはいないものの、「思い人を待っている女性」「旅の支度を済ませた姉とまだ終わっていない妹」など、それぞれに込められたストーリーがあるそうです。

■2:架空の百貨店が開店「百貨店ワルツ」/漁樵(ぎょしょう)の間

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後方の壁画にいる和装の女性3人も展示を見ているイメージとのこと。細部まで楽しめる工夫がされています

華やかな「漁樵(ぎょしょう)の間」では、イラストレーター・マツオヒロミさんの人気作『百貨店ワルツ』とのコラボレーション展示が。作品に登場する架空の百貨店「三紅百貨店」のフロアが表現されています。

ショーケースには、きらびやかなアクセサリーや繊細なガラス瓶が飾られ、三紅百貨店に足を踏み入れた客のひとりになったような気分に浸れます。

■3:ステンドグラスによる幻想的な空間「大正浪漫喫茶室」/草丘(そうきゅう)の間

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畳の部屋に赤いカーペットを敷いて、喫茶室を

落ち着いた「草丘(そうきゅう)の間」では、「大正浪漫喫茶室」を開催。実際にこの空間でお茶とお菓子をいただけるのです。

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重曹を使ってガラスの一部に空気を入れることで濃淡を表したものや、絵柄を焼きつけたものなど、さまざまなガラスが組み合わさっています

「日本ステンドグラス作家協会」の作家によるステンドグラスが部屋のところどころに飾られ、幻想的な空間を演出しています。

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アイス珈琲+バウムクーヘン ¥1,000(税込) ※喫茶室の利用は11:00〜17:00(LO.)、席は45分制

大正浪漫喫茶室のメニュー「アイス珈琲+バウムクーヘン」。厚みのあるグラスは、この企画のために用意したフランスのアンティークとのこと。大正時代にタイムスリップしたような気分になれそうですね。

■4:大正を代表する画家の部屋「竹久夢二」/静水(せいすい)の間・星光(せいこう)の間

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竹久夢二の代表作「黒船屋」(復刻版画)。夢二式美人画は、生き生きと生活感のある女性を表現するために手や足を大きく描いていたそう

「静水(せいすい)の間」と「星光(せいこう)の間」では、大正時代に華々しく活躍した画家・竹久夢二の作品を約50点鑑賞できます。

「静水の間」のテーマは「港屋絵草紙店」と「美人画」。高級雑誌『婦人グラフ』の表紙に使われた木版画や代表作の「黒船屋」などの「夢二式美人画」や、夢二が妻・たまきと子どもたちの生活のために作ったと言われている夢二デザイングッズの販売店「港屋絵草紙店」の開店記念に配った風呂敷の復刻版、たまきによる挨拶状なども見られます。

夢二が「港屋絵草紙店」で出会い、恋仲になる笠井彦乃という女性がいますが、彦乃がかつて絵を習ったのが、この「静水の間」の天井の鳳凰と舞鶴を描いた池上秀畝(しゅうほ)だったそうです。不思議な縁を感じるエピソードですね。

上階の「星光の間」では、作風の異なる「童画」「セノオ楽譜」を展示しています。

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「ホームソング」の原画も鑑賞できます

児童向け雑誌『子供之友』の付録の双六や、夢二が作詞も手がけた「宵待草」の表紙絵も鑑賞できます。「セノオ楽譜」の表紙のイラストはもちろん、タイトルの文字のひとつひとつからも、グラフィックデザイナーとしての夢二の才能を感じます。

■5:美しいガラスとフォトスポットが満載「明治・大正・昭和の硝子」「旧目黒雅叙園レトロアーカイブ」/清方(きよかた)の間・頂上の間

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明治32年に創業したガラスメーカー「廣田硝子」のガラス食器。レトロでかわいい!

「清方(きよかた)の間」は、明治・大正・昭和期に創業し、現在も制作を続けている国内のガラスメーカーによる繊細な空間に。美しい照明やガラス製のアクセサリーなど、ガラス製品の魅力を堪能できます。

文化財「百段階段」に使われているガラスも昭和初期のものだそう。なだらかな波を打っているため、見る角度で表情が変わります。訪れたらぜひチェックしてみてくださいね。

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シャンデリアの灯りの下で椅子に座って撮影できます

窓が多く開放的な「頂上の間」では、部屋のあちこちにカーテンやシャンデリア、モザイクタイルなどが設置され、至るところがフォトスポットに。また、目黒雅叙園時代の入場券や建具なども展示しており、ホテルの歴史を感じることができます。

「大正ロマン×百段階段」のチケットは、¥1,200(小学生〜大学生は¥600)。「復刻版レトロ絵葉書付きチケット」¥1,400、「ギャラリートーク付特別見学会チケット」¥2,000などのオンライン限定チケットもあるので、詳しくは公式サイトでご確認ください。


重厚な木造建築で大正時代に心を寄せるひとときは、とても贅沢なもの。より世界観に浸りたい方は、アクセサリーやレトロモダンの着物などアンティークを取り入れたファッションで訪れるのもおすすめです。

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

  • ホテル雅叙園東京
  • 「大正ロマン×百段階段」
  • 開催期間/〜2022年6月12日(日)※5月25日(水)は休館日
  • 場所/東京都指定有形文化財 「百段階段」
  • 営業時間/11:30~18:00(最終入館17:30)
  • TEL:03-5434-3140(イベント企画10:00~18:00)
  • 住所/東京都目黒区下目黒1-8-1

この記事の執筆者
フリーランスのライター。企業の採用サイトやパンフレット、女性向けの転職サイト、親向けの性教育サイトなどで取材記事を執筆。好きなもの:中村一義、津村記久子、小川洋子、マンガ、古いもの、靴下など
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EDIT :
小林麻美