マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。

結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドの小さな町と村に2つの住まいをもつ彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えしてきました。

連載の最後を飾る今回は、バラクーダー村のコテージでの庭仕事について。大自然の中だけに、都会でのガーデニングとは一線を画す、ダイナミックな力仕事の数々が繰り広げられます。そしてまた、ロイさんらしいリユースの工夫がそこここに垣間見えて…。

澄んだ青空のもとで、エクササイズ顔負けの運動量で行う庭仕事の様子をご覧ください!

なるべく自力で、なるべくナチュラルに、敷地をメンテナンス

いつ見ても心が和む、バラクーダー村の雄大な自然
いつ見ても心が和む、バラクーダー村の雄大な自然。

今年は例年より朝晩と日中の気温差が激しくて、春が来たかと思えばいきなり冬⁉ というほど。毎日何を着たらいいのかわからないくらいでしたが、イースターも過ぎてやっと暖かくなってきたので、先延ばしにしていた庭仕事もはかどります。

庭仕事といっても大木を剪定したり、フェンスやサインを新しく作り替えたり、コテージの周りとアプローチに砂利を敷き詰めたり、池の掃除などなど、主に力仕事です。 職人さんにお願いする部分もありますが、できることは自分たちで楽しみながらしています。

道路からパティオが見えないよう、横に広がっていくように木を剪定する夫。
道路からパティオが見えないよう、横に広がっていくように木を剪定する夫。

コテージのパティオから見える池は、最初は雑草や木で埋まっていたのを掘り起こして、本来の池に再生させました。

自然の池なので、微生物が生きていられるように底にシートを張って雑草を防ぐことはしません。5年に一度ほど、水を川に流して、ショベルカーで雑草を取り除き、縁を補正し、自然環境を整えます。

スコットランド・バラクーダー村の池を整備するショベルカー
池をショベルカーで綺麗にしてもらいます。

そうやって大切にしている池には、一年中さまざまな鳥がやってきます。また、夏になると犬たちも大喜びで水遊びをします。

スコットランド・バラクーダー村の池と鳥
毎日たくさんの鳥が遊びにくる池。
スコットランド・バラクーダー村の池と犬
犬も大はしゃぎで池に飛び込んで遊びます。 

あるものをリサイクルして作る楽しさ!

バラクーダー村はルーラル(田舎)な場所ですが、スコットランドでもいち早く高速ブロードバンドが取り入れられました。もちろんオンラインショッピングの配達エリアにも入っているので(もっと田舎になると配達されないエリアもあります)、田舎にいながらにして、ショッピングには困りません。

それでもすぐに必要なものを買いに行くのには、20分からショップによっては1時間ほどかかる距離なので、料理はもちろん家にまつわるあらゆることを、身近なものでいろいろ工夫していくようになりました。

そのひとつが、フェンスやサイン。これらは敷地内の木を利用しています。

スコットランド・バラクーダー村の手作りフェンスと犬
フェンスの支柱をセメントでしっかり立てて、枠組みを設置してワイヤーを貼ります。犬のサラザーくんが小枝を見つけてきては「投げて!」とせがむので、フェンスを作りながらフェッチ遊び。

フェンスの横板部分は敷地内の木を縦半分にカットして、木の皮の自然の風合いを残しました。ラスティックで周りの景観ともブレンドしています。

コテージの周りに敷き詰めた砂利は、5トンをオーダー。一袋1トンを敷き詰めただけでも大作業。やり終えるにはほど遠いですが、なかなか手応えを感じるエクササイズです。

スコットランド・バラクーダー村の手作りフェンスと砂利道
フェンスの支柱も上部をカットしてひとまず完成。砂利も新しく敷き詰めましたが、砂利の色が以前のものとちょっと違うようなので、ブレンドしていく予定です。いつになることやら…。

さらに、補正しながら使っていた池の注意サインも残り木を使って新しく作り替えました。

スコットランドでは、ほとんどの陸地と内陸水域は、責任をもって行動する限り誰でも自由に使えます。我が家の敷地も犬の散歩やウォーキングを楽しむ人が来るので、注意サインを設置しています。

手作りの立て板サイン
散歩に訪れる人のために「池が深いので注意」のサインと、農家の羊がいる時の逃亡防止のため「ゲートは閉めてください」のサインを設置。
スコットランド・バラクーダー村の手作りフェンス
こちらのサインと小さなゲートも残り木を利用。サインはデザインを変えて、ゲートも下の2本のヤナギの木を使ってアレンジ。

また、壊れた手押し車をハーブガーデンにリサイクル。あるもので何を作ろうかとイマジネーションが広がっていきます。

壊れた手押し車をリサイクルしたプチ・ハーブガーデン
壊れた手押し車をリサイクルしたプチ・ハーブガーデン。

庭仕事を終えた日のディナーは簡単オーブン料理を。天気のいい日は景色を見ながら外で食べます。これから花の種を植えたり、川に橋をかけたり、残り木を使って椅子や植木鉢などを作っていく予定です。

スコットランド・バラクーダー村での屋外ディナー
庭仕事の成果を眺めながら。
ポークベリーのオーブン焼き、ピタブレッド、ポテトサラダとザジキの簡単ディナー
ポークベリーのオーブン焼き、ピタブレッド、ポテトサラダとザジキ(ヨーグルトとキュウリのディップ)の簡単ディナー。

カントリーライフの日常で感じる幸せ!

大自然の中で暮らしていると一番の贅沢は、綺麗な水と空気。そして、自然と共存していると感じること。大袈裟に聞こえるかもししれませんが、同じ景色でもその時々の一瞬の美しさに感動すら覚えます。

都会で生まれて育ってきたので、知らなかったことや見えていなかったことが、広大な自然の中での日常生活を通して知ることができました。”Quality of Life(生活の質)”を感じる暮らしに感謝です。

バラクーダー村は「Thin Place(天国に近い場所)」と言われているように、すべての人を暖かく迎えてくれるような心地のよいところです。スコットランドにいらっしゃる機会がありましたら、お気軽にお声をかけてください。ご案内いたします。

今回のブログで最終回となります。今まで読んでくださってありがとうございます。ブログをスタートした時は、英国はロックダウンの真っ只中。スコットランドならではの恒例行事やカフェやホームパーティの様子などをご紹介できずにいましたが、これからもインスタグラム(akemi_okumura_roy)でスコットランドの様子を紹介していきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

今日のおすすめ「なごみワンコ」は… 村を一望できる丘が大好きだったビッツ!

スコットランド・バラクーダー村の丘と犬
村の四季折々の美しい景色を望める丘に立つビッツの懐かしい姿。

以前もご紹介した村を一望できる丘「Creag an Tuirc(クレゲンターク)」の初夏の景色です。私たち夫婦が何より可愛がっていたビッツも大好きだった場所。どの季節に来ても美しく、静かで、澄んだ湖と折り重なる山々や森の風景を望むこの場所は、いつ訪れても気持ちのいいヒーリングスポットです。


以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載最終回をお届けしました。

豊かな自然や歴史と共に生きる、「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。連載では伝えきれなかった魅力や日々の暮らしを、これからもぜひロイさんのインスタグラム(akemi_okumura_roy)でチェックしてください!

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この記事の執筆者
東京生まれ。父の仕事の関係で小学生時代をペルーのリマで、高校から大学までを米国シカゴで過ごす。帰国後、ジョルジオ・アルマーニ、マックスマーラ、ロメオ・ジリ、シンシア・ローリー、モスキーノ、ドルチェ&ガッバーナと海外有名ブランドのプレスを歴任。東京で知り合ったスコットランド出身のカメラマンのご主人と8年の遠距離恋愛の末、2005年に結婚して英国へ。 撮影コーディネートや、伝統工芸の取材執筆などを手がけながら、温かくセンスのいいカントリーライフを楽しんでいる。掲載写真の多くは夫のコリン・ロイ氏によるもの。インスタグラムアカウント:akemi_okumura_roy