雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は公益社団法人 日本女子プロサッカーリーグ チェア 岡島喜久子さんの活動をご紹介します。

岡島 喜久子さん
公益社団法人 日本女子プロサッカーリーグ チェア
(おかじま きくこ)中学生時代にサッカーを始め、1977年には台湾で開催された第2回アジア女子選手権にも参加。大学卒業後は日米の金融業界で活躍。’20年、日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の初代チェアに就任。

スポーツの力で「女性活躍」を進める、女子プロサッカーリーグ初代チェア

’21年9月に開幕した、日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」の初代チェアに就任した岡島喜久子さん。岡島さんは、サッカー日本女子代表選手としてプレイしただけでなく、30年間アメリカで暮らし外資系金融機関に勤めた経歴ももつ。その両方を生かし、リーグ開幕に奔走した。

「サッカーは男子のスポーツという価値観は根強くあります。そのため、女子選手は否が応でも練習環境や報酬などさまざまな面でジェンダー問題に突き当たります。私たちが大切にしているリーグの理念のひとつは『女性活躍』です」

リーグに参入するクラブの条件に、スタッフの50%が女性で、意思決定者のなかに必ず女性がひとり入っていることを設けた。希望クラブの財務諸表から選手への報酬の支払いが滞らないか等も審査。

岡島さんが自ら動き、パートナー契約にいたるなど金融のプロとしての経験も存分に生かし、コロナ禍という逆境のなか、11チームで、無事開幕を迎えた。

WEリーグは、試合以外の場での社会活動にも注力し、選手がSDGsにまつわる活動を行う「WE ACTION」(※)もスタート。選手は言われたことをやるのではなく、自らアイディアを出し実行する。

「ジェフ千葉レディースは女性副市長と共にジェンダー問題のシンポジウムを開催しました。通例の子供のサッカー教室だけではない、選手が考えるSDGsのテーマに沿った活動を行い、社会とのつながりや地域との関係性を深めています。WEリーグは、観客動員数など課題があることも事実です。ですが、私はスポーツには人を感動させる力があることを信じています。その力を使って、社会を変える力にしていきたいのです」

【SDGsの現場から】

●「ガラスの天井」突破の思いを託した優勝トロフィー

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女性やマイノリティが障壁となる意のガラスの天井。女性のガラス職人に依頼し制作。

●障がいをもつ人とピッチへ。ダイバーシティへの理解を深める

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手足の切断による障がいをもつ人たちとのサッカーを「大宮アルディージャVENTUS」が開催。

※WE ACTIONとは…WEリーグに所属する選手やクラブスタッフ、パートナー企業などが、女子サッカーを通じて多様性のある社会の実現に貢献する活動。

PHOTO :
望月みちか
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
大庭典子、喜多容子(Precious)
取材・文 :
大庭典子