今では立派に見える紳士にも、未熟な時代はあった。多感な年頃の男たちは映画に登場する遠い国々の美女に恋をし、自分をさらなる高みに引き上げる糧とした。それは大人になった今も、永遠の憧れとして、胸の奥でくすぶり続けている。テレビの洋画劇場を片っ端から観まくり、男性向け情報誌のグラビアを目に焼き付ける思春期を過ごした昭和40年代生まれの筆者(紳士道は未だ修行中)が、往年の女優の印象的な写真と共に、淡い思い出を綴る。第3回は、「初体験/リッジモント・ハイ」」でヒロインを演じたフィービー・ケイツを取り上げる。

アッチの方は経験済みの、ハイスクールの人気者を熱演!

「グレムリン」(1984年)より。公開当時21歳。日本では水着姿で缶ビールのCMにも出演し、本国を凌ぐほどの人気を誇っていた。 PHOTO/アフロ
「グレムリン」(1984年)より。公開当時21歳。日本では水着姿で缶ビールのCMにも出演し、本国を凌ぐほどの人気を誇っていた。 PHOTO/アフロ

 1980年代前半の洋画界は、お色気青春コメディがちょっとしたブームだった。きっかけは(おそらく)、イスラエル映画の「グローイング・アップ」シリーズ(1979年〜)だ。本来は「アメリカン・グラフィティ」(1973年)に影響を受けた、50年代を舞台にした青春映画だったが、徐々にお色気を取り入れるようになり、1982年には似たコンセプトのカナダ・アメリカ合作「ポーキーズ」もヒット。思春期の男子を大いにそわそわさせた。そして興行的にもっとも成功したのが、同年に公開された「初体験/リッジモント・ハイ」だ。ヒロイン役のフィービー・ケイツによる、文字通り体を張った演技(写真は下のほうにあります)が最大の見所である。

 脚本を手がけたのは、原作小説の著者でもあるキャメロン・クロウ。幼い頃から音楽に親しみ、60年代ロック文化を切なくも明るく描いた「あの頃ペニー・レインと」(2000年)の監督として、のちに日本でも広く名を知られるようになるが、当時はそんなことなど知る由もなく、「性に興味津々なアメリカのハイティーンたち」という内容を知るにつけ、さっそく地元の小汚い劇場に足を運んだ次第である(それでも青春群像劇としては、さすがの完成度を誇る)。

 果たして、内容は期待を裏切らないどころか、大いに満足できるものであった。実は本作、のちにハリウッドで活躍するスターが多数出演していて、主演のジェニファー・ジェイソン・リーは確かな演技で助演作多数。さらにショーン・ペン、ニコラス・ケイジ(当時はニコラス・コッポラ名)の若きの姿も拝むことができるのだが、なかでも圧倒的な存在感を放っているのが、ハイスクール随一の人気者にして、セックスの経験もあるリンダを演じたフィービー・ケイツだ。同じ年に出演した「パラダイス」(「青い珊瑚礁」の砂漠版的作品)でもヌードを披露しているが、「初体験〜」では、真っ昼間のプールサイドでビキニトップを外すという大胆かつ貴重なシーンが拝めるのだ(しつこいけど写真は下のほうにあります)。のちにビデオ化されたとき、レンタル店で借りた人たちは必ずこのシーンを一時停止にするものだから、そこだけ画質が劣化してしまったという逸話もあるほどだ。

愛くるしい笑顔に、誰もが夢中になった

こちらも「グレムリン」より。子供たちはギズモに夢中だったが、男子はそれ以上に、フィービー・ケイツの愛くるしい笑顔に魅了された。 PHOTO/アフロ
こちらも「グレムリン」より。子供たちはギズモに夢中だったが、男子はそれ以上に、フィービー・ケイツの愛くるしい笑顔に魅了された。 PHOTO/アフロ
こちらも「グレムリン」より。ちなみに本作は子供向け映画の体裁をとっているが、「素晴らしき哉、人生!」のパロディでもあり、ブラックなセリフや描写も多い。 PHOTO/アフロ
こちらも「グレムリン」より。ちなみに本作は子供向け映画の体裁をとっているが、「素晴らしき哉、人生!」のパロディでもあり、ブラックなセリフや描写も多い。 PHOTO/アフロ
デビューのきっかけは盛り場でのスカウトだったそうだが、親族に映画関係者が複数いるので、なんらかの後押しがあったと推測される。20代の終わりに結婚して以降、女優業からは遠ざかっている。 PHOTO/アフロ
デビューのきっかけは盛り場でのスカウトだったそうだが、親族に映画関係者が複数いるので、なんらかの後押しがあったと推測される。20代の終わりに結婚して以降、女優業からは遠ざかっている。 PHOTO/アフロ

「初体験/リッジモント・ハイ」での伝説のシーンがこちら!

水を滴らせながらプールサイドに上がってくるフィービー。 PHOTO/アフロ
水を滴らせながらプールサイドに上がってくるフィービー。 PHOTO/アフロ
そしておもむろにビキニのブラを外すフィービー! PHOTO/アフロ
そしておもむろにビキニのブラを外すフィービー! PHOTO/アフロ
ちなみにこのシーンは、迫られている男子(ジャッジ・ラインホルド) の妄想。 PHOTO/アフロ
ちなみにこのシーンは、迫られている男子(ジャッジ・ラインホルド) の妄想。 PHOTO/アフロ
この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2018.7.17 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。