古くから伝わる技術を大切にしながら、新しいものも受け入れる。古都・京都には、そんな「伝統と革新」のスピリットが息づいています。伝統的な技術を用いながら、時代に則したデザインにも挑戦したモダンな工芸品は、現代の暮らしにもしっくりとなじみます。そんな京都の神髄が感じられる「ほんまもん」の名品を、「京都通」の推薦コメントとともにお届け。今回は、日々の暮らしに欠かせない日用品から、上品なたたずまいで生活を彩ってくれるインテリアまで、さまざまな小物を一挙にご紹介します。

京都ならではの職人技が光る名品小物7選

■1:みたての「京の木箱」

6寸木箱「敷松葉」【約18cm角】¥5,000(税込)※「敷松葉」の2017年の予約は終了しています。 
6寸木箱「敷松葉」【約18cm角】¥5,000(税込)※「敷松葉」の2017年の予約は終了しています。 

モデルの松本孝美さんが推薦するのは、みたての「京の木箱」。木箱の中には、京都ならではの感性を感じる、美しい自然の世界が広がります。 

松本さんは「木箱の中に広がる独特の世界観。毎月、四季折々の緑と花が敷き詰められた木箱からは、季節の気配や音までも聞こえてきそう…。長く楽しめますが、朽ちていく姿もまた素敵です。贈り物にはもちろん自分用にも欲しくなります。コンパクトで置く場所を選ばないのもうれしい点です」と語ります。

こちらは、12月の季節の木箱「敷松葉」。初冬に路地や庭などに敷く、敷松葉をイメージしています。

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唐長文様名刺(宝尽くし)【約縦5.5×横9.1cm】50枚入り¥1,500(税抜)※宝尽くし柄は廃番(在庫なくなり次第終了)
唐長文様名刺(宝尽くし)【約縦5.5×横9.1cm】50枚入り¥1,500(税抜)※宝尽くし柄は廃番(在庫なくなり次第終了)

作家・エッセイストの青木奈緖さんが推薦するのは、雲母唐長(きらからちょう)の「名刺」。品がよくて美しい、忘れられない一枚が完成します。

「いいお値段なので(笑)、普段使いの名刺と使い分けています。裏面にアドレス、表面には筆ペンを使って手書きで名前を入れ落款を押しています。雲母のキラが上品で、下手な字もマシに見える優れもの。縁起のよい宝尽くしの柄が気に入って買い足したことも」と語る青木さん。

創業は寛永元(1624)年、日本で唯一続いてきた唐紙屋である雲母唐長 。こちらの名刺のほか、カードや一筆箋、ポチ袋などもあります。

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■3:祇園ない藤の「和紙の上履き」

上履き 小【21~24cm相当】¥25,000(税抜)※サイズは大・中・小あり
上履き 小【21~24cm相当】¥25,000(税抜)※サイズは大・中・小あり

編集者の菅野悦子さんが推薦するのは、祇園ない藤の「和紙の上履き」。和紙独特の表情と色合い、そして造形美が多くの人を虜に。

菅野さんは、「変わったフォルムだなと思って聞いてみたら、公家や神主さんが履く『浅沓(あさぐつ)』からデザインのヒントを得たとのこと。造形美はもちろん和紙独特のシワや、ない藤さんのものとひと目でわかる朱色がほっぺのように底に配されているのも愛らしい。パタパタした音がしない点もお気に入り」と、このアイテムならではの魅力を語ります。

素材には、京都府指定無形文化財に指定されている「黒谷和紙」を使用。明治時代から続く老舗履物屋が手がける、なんとも雅なスリッパです。

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ペーパータオルホルダー【φ14.5×高さ25cm】¥7,800(税抜)
ペーパータオルホルダー【φ14.5×高さ25cm】¥7,800(税抜)

青山などにセレクトショップを展開する、プレインピープル ディレクターの髙山泰子さんが推薦するのは、黒田工房の「ペーパータオルホルダー」。伝統的な京指物の技が生み出す美しさを楽しむことができるこちらは、プレゼントとしても喜ばれる逸品です。

「京指物ならではの挽き曲げという技術がやわらかなエッジを生み出し、手触りもなめらかです。檜は抗菌効果があるのでキッチン周りに最適。豊かな香りもたまりません。実用性が高いので、引っ越し祝いなどのプレゼントに選んでいます」と語る髙山さん。

伝統的な京指物の技と美しさを兼ね備えたこちらのホルダーは、檜の無垢板を加工してつくられたもの。このほか、コーヒーのドリップスタンドも人気なのだといいます。

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■5:みすや忠兵衛の「針」 

復刻版京都本みすや針セット¥1,000(税抜)
復刻版京都本みすや針セット¥1,000(税抜)

スタイリストのChizuさんが推薦するのは、みすや忠兵衛の「針」。小さいけれど、細部まで京都の技を感じることができる裁縫針です。

「お針屋さんというのは、京都ならではの文化ですよね。京都に行ったらつい立ち寄ってしまいます。仕事柄、裁縫箱はつねに持ち歩いていますが、強くて折れず、使いやすいこちらの針は7つ道具のひとつ。お土産にも喜ばれます」と語るChizuさん。

平安時代から着倒れの都とうたわれた京都ならではのお道具である、みすや針。折れず曲がらずの胴体、縫うときの針の運びにしなやかな弾性、糸が通りやすいよう極限まで正円に近づけるなど、細部まで針職人の技が光ります。

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左から/京風もりつけ箸【33cm】¥1,900・上御祝箸(手仕上げ)¥800・別売りの箸袋:御祝袋 紅白水引き10枚入り¥1,100(すべて税抜)
左から/京風もりつけ箸【33cm】¥1,900・上御祝箸(手仕上げ)¥800・別売りの箸袋:御祝袋 紅白水引き10枚入り¥1,100(すべて税抜)

ブックディレクターの幅 允孝さんが推薦するのは、市原平兵衛商店の「箸」。一度使うと、ほかの箸は使えなくなるほどの心地よさなのだといいます。

幅さんは、「盛りつけ箸は箸先がきりりと細くて丈夫。手元の部分はヘラとしても使えてプロが愛用するのも納得です。お正月に欠かせない祝箸ですが、こちらの箸は絶妙な細さ! 丁寧に手で削られた箸先は美しいおせち料理も崩すことなくキャッチできる。別売りの箸袋も数種あって、その年の干支が描かれたものも愛らしいです」と語ります。

創業は江戸時代だという市原平兵衛商店。老舗箸専門店が手がける、京都の料理人に愛され続ける名品です。

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ウッドハンドルのティーポット【φ11×高さ15.5cm】¥26,000(税抜)
ウッドハンドルのティーポット【φ11×高さ15.5cm】¥26,000(税抜)

朝日新聞『ボンマルシェ』編集長の岡本くみこさんが推薦するのは、スフェラの「ティーポット」。レトロとモダンが融合した、独特なデザインが特徴です。

「レトロっぽさとモダンが融合したこのポット、ひと目見て気に入りました。本体は黄瀬戸、取っ手は曲木細工、蓋は挽物 で、一見すると北欧か民藝か? という感じのデザイン。どこか懐かしいのに、新しさもある点が素敵です」と語る岡本さん。

京都を拠点に、オリジナル商品をプロデュースしている「スフェラ」。京都の伝統職人の技と感性を、現代的にアレンジしたアイテムも幅広く扱っています。

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受け継がれてきた技を用いながらも、モダンなデザインで現代の暮らしにもなじむ、まさに「伝統と革新」を体現したような名品の数々。実用性も兼ね備えた小物は、プレゼントとしてお贈りしても喜ばれること間違いなしです!

PHOTO :
戸田嘉昭・小池紀行(パイルドライバー)
EDIT&WRITING :
田中美保(スタッフ・オン)、中村絵里子(Precious)
RECONSTRUCT :
難波寛彦