エリザベス女王、チャールズ皇太子、故ダイアナ妃など、英国王室が愛したアウター

チャールズ皇太子、ウイリアム、ヘンリー二人の王子はもちろん、故ダイアナ妃もバブアーを着用していた写真が残っている。写真/Glenn Harvey/Camera Press/アフロ

英国にはさまざまなファッションの「名品」があります。中でも冬寒く、雨多い国なので、防寒用のコートの名品や、雨に強いアウターの名品は数知れず…。トレンチコートにダッフルコート、マッキントッシュのようなゴムびきコートなどなど。そのなかでも、最も英国人の魂をつかむ、最も英国らしいアウターを手がけるブランドについてのお話です。

その名は「バブアー(Barbour)」。

英国王室御用達のアウター=バブアー。カーキとネイビーの2着は、ともに定番的モデルの「ビデイル」。デニムなどのカジュアルアイテムに合わせやすい。

バブアーは、特殊なワックスをコットンにしみ込ませることで防水性を確保したアウターとして有名です。その特殊ワックスの持つ独特の匂いとともに、英国のカントリージェントルマンたちの暮らしに、欠くことのできないアウターでもあります。

漁師や港湾労働者を支えた防水アウター

バブアーが誕生したのは19世紀末。スコットランド出身のジョン・バブアーが、イングランド北東部の港町サウスシールズで設立したJ.バブアー&サンズ社に端を発します。漁師や港湾労働者たちのワークウエアとして成功を収めた同社は、その後、ワックスびきの防水服を発売したことをきっかけに、その存在が英国中で知られることになりました。

バブアーは、特殊なワックスをコット人にしみ込ませることで、防水性を確保した英国伝統のアウター。英国内の旗艦店では、補充用のワックスも販売している。

第一次世界大戦では英国軍にも防水服を供給し、その名声は不動のものに。そして1974年、エディンバラ公(=フィリップ殿下、エリザベス女王のご主人)から、ロイヤルワラント(=御用達の称号)を授かることになるのです。

さらにエリザベス女王、チャールズ皇太子(英国は王国なので、皇太子ではなく王太子という説も)からもロイヤルワラントを授かります。

英国王室御用達の揺るぎなき権威

英国の「王室御用達」制度は、戦前の日本の「宮内庁御用達」制度と違い、エリザベス女王、エディンバラ公、チャールズ皇太子(プリンス・オブ・ウエールズ)の3人が、それぞれにワラント(=許可書)を出します。これが王室御用達の称号=ロイヤルワラントです。かつては、エリザベス女王のお母様、エリザベス皇太后(クイーンズ・マザー)も、2002年にお亡くなりになるまで、ロイヤルワラントを授けていました。

現在、ロイヤルワラント制度は厳密なルールの下に運営されており、過去の実績や年間の納品数などが調べられ、3人の王族が実際に継続的にお使いになっているものだけが、その称号を得ることができるのだそうです。

ファッションアイテム、食品、酒類だけではなく、事務用品やオーディオ機器などにも許可証が出されることがあり、日本企業関連ではSONYがチャールズ皇太子からワラントを授かっています(中には、パーティ・クラッカーを含むクリスマス関連商品にまでワラントが授けられていて、驚きます!)。

英国王室御用達に関しては、The Royal Warrant Holders Associationの詳しいホームページがあるので、ご参照ください。

向かって一番左がエリザベス女王からの許可書(ワラント)を示す紋章、真ん中がエディンバラ公からの許可書を示す紋章、そして一番右がチャールズ皇太子からの許可書を示す紋章。3人の王族からワラントを賜る由緒あるアウター! 誇らしい!

ロイヤルワラントを出すことができる3人の王族が、3人とも許可証を出している「バブアー」というアウターが、いかに権威のある存在かがわかると思います。

チャールズ皇太子が愛し、ウイリアム王子もヘンリー王子も着た

バブアーを着た幼少期のウイリアム王子(手前)と、ヘンリー王子(後方)。写真/Shutterstock/アフロ

チャールズ皇太子は若い頃からこのアウターを、ことのほか愛用されました。そのため、バブアーを着たチャールズ皇太子の写真が数多く撮影されています。そしてその影響は、皇太子と故ダイアナ妃の間に誕生したふたりの王子にも当然、引き継がれます。今、アメリカの女優=メーガン・マークル氏との婚約で話題のヘンリー王子と兄のウイリアム王子が、ともにバブアーを着ている幼少期の写真も、このように残されているのです。

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この記事の執筆者
自称大阪生まれ、イギリス育ち(2週間)。広島大学卒(たぶん本当)。元『和樂』公式キャラクター。好きなもの:二上山、北葛城郡、入江泰吉、Soho Squre、Kilkenney、Hay-on-Wye、Mackintosh、雨の日、Precious、Don’t think twice, it’s all right.