スーツスタイルの完成に足元がいかに重要であるかは、改めて言うまでもないだろう。注目すべきは卓越した技量で世界を相手にする、日本のビスポークシューズ。本家のイギリスやイタリアを押しのけて、別格のオーラを発する。それがスーツを、一分のスキ無く磨き上げるのだ。

優美なブローギングが男の洒落心に火をつける、「マーキス」のスリップオン

  マーキスの川口昭司氏は2002年に渡英し、靴職業訓練学校で靴づくりを学び、その後ジョージ クレバリーやジョン ロブ パリなどのビスポーク靴職人に弟子入り。2008年に帰国し、自身のブランドをスタートするまで、英国ビスポーク靴のアウトワーカーを務めていた。これこそ、腕が立つことの証だろう。この靴(写真下・右)はウィンザー公がスーツにスリップオンを合わせていた写真から着想を得てデザインした。英国靴以上に英国靴的と言ってもいいだろう。パンツのすそからブローギングがちらりとのぞく。実に、洒脱だ。

写真左/工房は鈴木幸次氏の地元・神戸。Uチップシューズのモデル名は『パラティーノ』。ハンドソーンウェルテッド製法で、トウの細かなダブルステッチにも職人技が光る。素材はベビーカーフのスエード。オーダーは要予約。納期は約1年~。¥315,000~※オーダー価格 シューツリー含む(スピーゴラ)
写真右/スリップオンのモデル名は『マナーズ』。ラウンドトウの木型で、黒のきめ細かなボックスカーフを使用。文京区に工房を構え、英国で靴づくりをともに学んだ妻と一緒に従事する。オーダーは要予約。納期は約1年~。¥318,000~※オーダー価格・シューツリー¥28,000(マーキス) 

 なまめかしいフォルムがスクエアトゥの復活を宣言! 「スピーゴラ」のUチップシューズ

 クラシコイタリアのムーブメントは'90年代に絶頂期を迎えたが、今また、クラシコイタリアが新鮮な若い世代を中心に、クラシック回帰の流れを受けて脚光を集めている。そして、彼らが心酔する靴が鈴木幸次氏率いるスピーゴラ(写真上・左)。1997年にイタリアに渡り、伝説の靴職人、ロベルト・ウゴリーニのもとで腕を磨いた。2001年にスピーゴラを始動。ノーズが長く、スクエアなトウ。流麗なフォルムに見惚れない伊達男はいないだろう。スピーゴラには世界各国からオーダーが入り続ける。クラシコイタリア第2幕は既に上がっている 

 いかがだろう。靴好きを除けばまだまだ一般的な知名度は低いが、そのグラマラスな佇まいは、間違いなく男のスーツスタイルを格上げする。日本が誇る匠の技を、ぜひ確かめていただきたい。

※2017年春号掲載時の情報です。

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2017年春号「ベーシック名品」の静かな迫力に刮目せよ!
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也(パイルドライバー) スタイリスト/大西陽一(RESPECT)文/柴田 充 構成・文/鷲尾顕司