メールは仕事でもプライベートでも送り慣れており、マスターしていると思う方は多いのではないでしょうか。しかし、もしかしたら、思わぬところで相手に対して失礼になってしまっていたり、不快にさせてしまっていたりしている可能性も…。

そこで今回は、意外とマスターできていないメール術について、日本ビジネスメール協会認定講師の花井美代子さんに教わります。最後には、メールで相手との距離を縮めるコツも教えていただいています。ぜひ参考にしてみてください。

意外とやっているかも?ビジネスメール8つのNG

まずは、意外と自分では気づいていないビジネスメールのNG例を、花井さんは次の8つを挙げます。

■1:文章が怖い・ぶっきらぼう・冷たい

「簡潔に書こうと思うと、冷たい印象になることがあります。相手に対してお願いごとをするとき、また相手の意向に沿うことができないときなどは、具体的に簡潔に書こうとするあまり、かえって『上から目線だ』『失礼だ』という印象を与えてしまうことがあるので注意が必要です」

■2:添付ファイルの容量が大きすぎる

「相手が使用しているサーバーの容量(会社であれば個人への割り振りの容量)によって受信できないことがあります。画像などファイルデータの容量が大きいときには、事前に電話やメールで受信可能かどうか確認することが重要です」

添付ファイルの容量が大きすぎるのはNG
添付ファイルの容量が大きすぎるのはNG

■3:文章が必要以上に長い

「メールは『簡潔に』『分かりやすく』が求められるコミュニケーションアイテムです。忙しい仕事の途中で、相手に長文を読む時間を使わせるのは失礼です。また、長文であることで、何が重要なのかを相手が理解しづらくなってしまいます」

■4:情報が足りず何度もやり取りをする必要がある

「本来であれば1度のやり取りで済むはずなのに、何度もやり取りをすることで、相手の時間、手間を取らせることになります。同様に、それに対する自分の時間も割くことになり効率的に仕事を進めることができなくなります」

■5:内容が一方的すぎる

「メールはコミュニケーション手段です。受け手がどう感じるかを想像して書く必要があります。特に相手が繁忙期であったり、難しいことを依頼したりするときは、相手の状況を考えた表現でメールを送ることが求められます」

内容が一方的すぎるのもNG
内容が一方的すぎるのもNG

■6:「お送りします」の表現では、「添付」なのか「郵送」なのか不明

「メールは受け取り手が自分の都合に合わせて理解することが多くあります。受け取り手は『郵送』だと思っていた。送り手は添付したつもりだったが実は添付を忘れをしていた。結果的に相手に送れていないということになります。具体的な表現をすることでミスを防ぐことができます」

■7:件名が分かりにくい

「件名はメールの用件を書く欄です。『お世話になっています』『よろしくお願いします』などの挨拶はもちろん、『斉藤です』などの名乗りを書いたのでは何を伝えたいのか分からず、相手を不快にさせます。件名を見ただけで、受け取り手に何を伝えたいのか、どうしてほしいのかが分かるように具体的に書く必要があります」

■8:いつまでたっても返事が来ない

「上司の了承が必要であったり、関係先の見積もりが出なかったりといった都合で返事が出せないこともあるでしょう。しかし、2日も3日も返事をせずにいると『メールが届いていないのか』『なぜ返事をくれないのか』と心配をさせたり、不信感を相手に与えたりすることで、信頼を無くすことにつながることもあります」

ビジネスメールのNG解決法

これらのビジネスメールNG例のうち、特に意識の面で改善が必要な項目について、花井さんは次のように解決策を教えます。

●文章が怖い・ぶっきらぼう・冷たい

「長々と書く必要はありませんが、丁寧な表現を心がけてください。特に相手に対する依頼事の場合、『クッション言葉』を使ったり、『~していただけますでしょうか』などの疑問形に換えたりすることで印象が変わります」

【クッション言葉の例】

「お忙しいところ恐縮ですが」

「もし可能であれば」

「ご面倒をおかけしますが」

「差し支えなければ」

●文章が必要以上に長い/情報が足りず何度もやり取りをする必要がある

「相手に伝えるべき内容を、箇条書きを使って分かりやすく表現することで、文章が長くなることを防ぐことができます。他にも、同じ方に送るのだからと、あれもこれも書いてしまうと結果的に長いメールになってしまいます。『1メール1案件』を基本にすることで、長文メールを防ぐことができます。

また、6W3H(いつ、だれが、どこで、だれに、どのように、何を、なぜ、いくつ、いくら)の要素を意識して書くことで、情報不足を防ぐことができます」

●内容が一方的

「何か依頼をするときであれば、先の『お忙しいところ恐縮ですが』などのクッション言葉を添えるようにすると、相手への心遣いが感じられます。また相手の都合を伺うケースであれば、都合の良い日時を複数挙げてもらい、こちらがそれに合わせるようにすることで、一方的な都合の押し付けとは感じさせることが少ないと思われます」

■メールで相手との距離を縮める方法

ビジネスメールで相手との距離を縮められたら、その後のビジネスのやり取りも円滑に進むでしょう。そこで花井さんに、メールのやり取りによって相手との距離を縮める方法を教えていただきました。

「例えば見積書をメールでお送りするときに、『ご不明な点がありましたら、いつでもご連絡くださいませ』などのひと言を添えておくと、印象がよくなります。

また、何度かメールのやり取りをしているけれど、もう一歩距離を縮めたい相手であれば、『寒い日が続きますので、ご自愛ください』などのひと言を添えることで、相手に心遣いを感じてもらうことができ、印象がよくなります」

メールは、対面や電話のように表情や声のトーンなどを伝えられず、文面だけのコミュニケーションツールであるため、ちょっとした配慮不足だけでマイナスの印象を与えてしまうこともあるようです。

ぜひ普段のご自身のメールを振り返り、メールの好感度をアップさせましょう!

花井美代子さん 
一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師
(はない みよこ)医療系サービス会社の取締役として人事、社員教育に携わった後、一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師資格を取得。医療業界における人事・社員教育の経験を活かしたビジネスメールの指導が得意。
一般社団法人日本ビジネスメール協会
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
石原亜香利