日本各地で育まれてきた高度なものづくりの技術と、若き匠たちの美意識や情熱が結びついた「新時代のジャパンラグジュアリー」を体現する逸品を、ギフトという形で提案しているスタイリストの河井真奈さん。

今回ご紹介いただくのは、日本酒造りの際に残ってしまう酒粕を再生させた、「KIKKA」の『酒粕甘酒』と『酒粕グラノーラ』。サステイナブルという点もさることながら、美味しさへのこだわりも並々ならぬものがあり、河井さんを驚かせたという逸品です。

その味わいの魅力や、誕生するまでのストーリーについて詳しく教えていただきます。

河井真奈さん
スタイリスト
(かわい まな)女性誌、CM、ドラマのスタイリング、トークショー、商品開発アドバイザーなど幅広く活躍。2016年、ギフトに特化したWEBサイト「futo」をローンチし、2019年6月には初の実店舗を南青山にオープン。著書に『絶対 美人アイテム100』(文藝春秋)、『服を整理すれば、部屋の8割は片付く』(立東舎)。https://futo.jp/

年間3万トンもの“生かされてない酒粕”を少しでも活用したい

「発酵食品ブームが後押しし、“飲む点滴”という枕詞でも昨今人気の高い甘酒ですが…実はこれまであまり好んで飲むことはありませんでした。多くの種類を飲み比べたわけではないのであくまで私の経験上ではあるものの、独特の香りや少し重たい甘みが気になっていたのが大きな要因だったと思います。

そのため少々の先入観がありつつ『KIKKA』の酒粕甘酒を試飲してみたらびっくり! フルーティにも感じられる香り立ちがよく、奥深いコクとうまみがありながら後味はすっきり。甘酒へのマイナスイメージがすっかり覆りました。

その秘密は、『KIKKA』を立ち上げた兼重 遥さんの妥協を許さない開発努力と、そもそも酒造直送のフレッシュな酒粕を原料としているという点にあります」

「KIKKA」を立ち上げた兼重 遥さん
「KIKKA」を立ち上げた兼重 遥さん

「現在33歳の兼重さんの本業は、ブランディングデザイナー。企業やブランドのコンセプト、ロゴ、パッケージ、webサイトなどの企画・デザインを行っています。その一環として担当したのが、千葉の九十九里浜にほど近い場所で明治16年に創業した老舗酒蔵の『寒菊銘醸』でした。

仕事を進めていくなかで、『ゆくゆくはデザインだけでなく何かものづくりにも携わりたい』という夢を社長に語ったところ、日本酒造りの過程で生まれる酒粕の処理に苦慮していること、それを活用して何かできたらいいと思っていることを教えてもらったそうです」

寒菊銘醸の職人の手により、丁寧に造られている醪(もろみ)
「寒菊銘醸」の職人の手により、丁寧に造られている醪(もろみ)
醪から生酒を搾る工程の上槽(じょうそう)を行ってできた、搾りたての酒粕
醪から生酒を搾る工程の上槽(じょうそう)を行ってできた、搾りたての酒粕

「酒粕は、日本酒造りにおいて、麹、酒母、蒸米、水を仕込んで発酵させた醪(もろみ)から日本酒を搾ることによって生まれる副産物。必須アミノ酸をはじめとする多くのアミノ酸やビタミンB群、タンパク質や食物繊維などなど、栄養素を豊富に含んでいる上質な素材でもあります。

しかしながら、その産出量は国内で年間約3万トン。料理や食品に用いられているものの、食生活の変容と共に需要は減少。飼料・肥料などに使われるケースもありますが、廃棄されてしまうことも決して少なくないという現状は、多くの酒蔵にとって悩みの種となっているのだそう。

『寒菊銘醸』では酒粕を廃棄せず譲ってきたものの、とても使いきれない量だという話を聞く一方、搾りたての酒粕の華やかで奥深い美味しさに“もったいない!”という想いがつのった兼重さん。酒粕の味わいや栄養素を活かした商品開発をスタートさせました」

酒粕への苦手意識をも払拭する、甘酒&グラノーラの秘密

「KIKKA」の『酒粕甘酒』と『酒粕グラノーラ』
「KIKKA」の『酒粕甘酒』と『酒粕グラノーラ』

「兼重さんに話を伺ったところ、酒粕は苦手と感じている人がいるというリサーチ結果を受け、そんな人でも酒粕の美味しさを感じてもらえる商品を目指して試行錯誤を繰り返したとのこと。そのために独自の加工方法でつくり出されたのが『酒粕パウダー』。今回ご紹介する甘酒とグラノーラに使用されています。

このパウダーは、『寒菊銘醸』から直送された酒粕を低温でじっくりと粉末化することで、栄養素や風味はそのままにアルコール分を可能な限り揮発させたもの。酒粕特有のクセがなく、華やかな香りが活きた仕上がりが特徴です。

私が驚かされた『酒粕甘酒』は、酒粕パウダーと米糀を合わせた、すっきりと優しい味わいが魅力。砂糖不使用のナチュラルな甘さも心地よく、今では毎朝コップで2口くらいを飲むのがモーニングルーティンに。朝の活力が湧いて、元気になるような気がしています」

「KIKKA」の『酒粕甘酒』
「KIKKA」の『酒粕甘酒』

「そしてもうひとつの『酒粕グラノーラ』は、グルテンフリー。有機オーツ麦とクルミ、ヒマワリの種などのナッツ類、レーズンやカレンツの無添加ドライフルーツを合わせたものに、酒粕パウダー、豆乳、エクストラバージンオイル、粗糖、粗塩などをバランスよく配合してまとわせています。

グラノーラというとヨーグルトに合わせることが多いと思いますが、兼重さんがこだわった酒粕のいい香りがふわっと立ちのぼるので、むしろそのままポリポリと食べたくなる味わい。私は小腹がすいたときのヘルシーなおやつとしていただくことが多いですね」

「KIKKA」の『酒粕グラノーラ』
「KIKKA」の『酒粕グラノーラ』

「ブランディングデザイナーという本業での能力を駆使して、パッケージやwebのデザインも含めてすべて独力で行っている兼重さん。今はまだ『寒菊銘醸』から譲り受けている酒粕はおよそ500キログラムですが、今後はもっと多くの酒粕を生かしたいと語ります。また、海外での注目度が高まっている日本酒由来のアイテムとして、グローバルな展開も目指したいとのこと。

栄養豊富でヘルシーな素材をリユースし、日本の伝統を新たな形で未来につなげるというサステイナブルな取り組みと、理想を追求した美味しさが両立した『KIKKA』は、今後の成長を楽しみに見守っていきたいブランドです」

スタイリッシュなパッケージも魅力!「酒粕甘酒」&「酒粕グラノーラ」

「酒粕甘酒」1本&「酒粕グラノーラ」1袋セット¥3,412
「酒粕甘酒」1本&「酒粕グラノーラ」1袋セット¥3,412
「酒粕甘酒」2本&「酒粕グラノーラ」1袋セット¥4,806
「酒粕甘酒」2本&「酒粕グラノーラ」1袋セット¥4,806
「酒粕グラノーラ」1袋¥1,479・2袋¥2,958
「酒粕グラノーラ」1袋¥1,479・2袋¥2,958

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今回は、実は人知れず廃棄されてしまうことも多い酒粕を美味しく生まれ変わらせた、甘酒とグラノーラをご紹介しました。

発酵食品が好きな方にはもちろん、健康に気遣ってもらいたい大切な人への贈りものとしてもおすすめしたいアイテムです。

※掲載商品の価格はすべて税込みで、記事公開時のものです。

問い合わせ先

Gift Concierge futo

TEL:03-3462-2036

EDIT&WRITING :
谷 花生