豪華客船、クリーンエリザベス2号が、ドバイでホテルになった!

クイーンエリザベス2(QE2)は、1967年にキュナード・ライン社によって建造された、豪華客船です。同年9月20日に英国女王・クイーンエリザベス2世の立ち会いの元、船の誕生であり、船の一生にとって意義のある「進水式」が行われました。

その歴史あるQE2が2018年3月、海をゆく客船としての役割を終え、永久停泊。2018年4月、中東初の「海に浮かぶホテル」として、ドバイにソフトオープンしたのです。その名も「ザ・クイーンエリザベス2ホテル(THE QUEEN ELIZABETH 2 HOTEL)」。

クイーンエリザベス2号とは?

クイーンエリザベス2号と、遠くに見える世界一高いビル、ブルジュ・ハリファ
クイーンエリザベス2号と、遠くに見える世界一高いビル、ブルジュ・ハリファ
すべての写真を見る >>

大英帝国の遺産ともいえるQE2は、およそ50年もの間、世界中の旅する人々や、海や港で起こる歴史を見つめてきました。そんな20世紀を代表する客船が、客船としての役割をひとまずは終え、ドバイのラシード港を永久停泊地に選んだのです。

Hallway_Quarter Deck
Hallway_Quarter Deck

現在ソフトオープン中、グランドオープンはこれから!という同ホテルの総部屋数は、224と広大。乗客は13種類のカテゴリーから部屋を選ぶことができます。各部屋からは海か、ドバイの中心部や素晴らしいスカイラインを臨むことができます。

館内には進水式の際のエリザベス2世の写真が飾られていました
館内には進水式の際のエリザベス2世の写真が飾られていました
エリザベス2世
エリザベス2世

エントランス

Lobby
Lobby

エントランスの正面にあるチェックインカウンターで、船員の制服を着たクルーが「ウェルカムオンボード!」と笑顔で迎えてくれます。ここでは宿泊客はパッセンジャー、ホテルのスタッフはクルーという位置づけです。客船の名残をそのまま残しているのです。

制服を着たクルー
制服を着たクルー

図書館

右手には船内にあった図書館をイメージしたロビーがあり、実際に乗客が船内で貸し出しをし、残された沢山の蔵書が閲覧できます。貸し出しカードが本に今も付いていて、何人もの乗客が、50年におよぶ航海中のどこかで、この本に読み耽ったのだなあ…と、当時に思いを馳せることができます。

ライブラリー
ライブラリー

ロビー

ロビーにはQE2が1979年3月13日に鹿児島に停泊した際に、当時の鹿児島県知事から贈られた鎧兜が飾られています。その足元には「クイーンエリザベス2号の鹿児島への寄港を心から歓待し、歴史と景勝の地薩摩の鎧兜を、航海の安全を祈ってここに贈る」とのメッセージボードが。明るく広々としたライブラリーは、本好きの方のお気に入りスペースとなること間違いなしの施設です。奥にはカフェも併設されています。

鹿児島県知事から贈られた鎧兜
鹿児島県知事から贈られた鎧兜

博物館

博物館。正面上にあるのは実物大のスクリューの写真
博物館。正面上にあるのは実物大のスクリューの写真

エントランスの左手には、QE2の博物館があります。QE2の歴史を、当時の写真や昔のままに再現した部屋とともに、このタイタニック号にも似た、客船の生い立ちを知る事ができます。

QE2は大西洋横断船、クルーズ船として、1969年から2008年まで世界中の大海原を航海していました。全長963フィート(約293.5m)、高さ171フィート(約52.1m)、重さは70,327トンに及ぶ、大型客船です。高さ50メートルというと、ビルの15階~20階に当てはまる高さ。いかに巨大な建造物か、それだけでおわかりいただけるのではないでしょうか?

1967年9月20日の進水式の模様を写したモノクロ写真たち。「この船をクイーンエリザベス2世と命名する。この船とその乗客に神のご加護を」エリザベス女王2世
1967年9月20日の進水式の模様を写したモノクロ写真たち。「この船をクイーンエリザベス2世と命名する。この船とその乗客に神のご加護を」エリザベス女王2世

そんな巨大な客船は、1,777人の乗客と1,040人の船員を収容することができました。QE2の故郷・イギリスのサウスハンプトンからニューヨークへの往復のために造られましたが、定期的にクルーズ船としても航海し、後半の40年間は、ほとんどクルーズ船として用いられ、人気を博しました。

部屋

お部屋は13種類もの選択肢があり、旅の目的、予算に応じて自分のニーズに合ったお部屋を選ぶことができます。ここではその一例をお見せします。(フォトギャラリーにほかの部屋の写真有)

Standard Room_High Res
Standard Room_High Res

例えば寝るだけで良ければこちらのスタンダードルーム、お部屋で時間を過ごしたい場合には下のデュプレックススイートといった具合に、ホテルとして刷新された客室をゆったりと楽しむことができます。

Duplex Suite_Living Room
Duplex Suite_Living Room
Duplex Suite_Bedroom
Duplex Suite_Bedroom

バー「ジン・バー」

Golden Lion
Golden Lion

イギリスといえばパブ。船内にはもちろん、純英国式のパブ「ゴールデン・ライオン」が健在です。私のお気に入りは、こちらの小さなジンバーです。ジンが大好きな人には是非、このジン専門のバーを経験していただきたいです。ジンにハーブやグレープフルーツ、スパイスを入れると、さらに美味しくなることを、私はこのバーで教わりました。

レストラン「ザ・クイーンズ・グリル」

レストラン「Queens Grill」
レストラン「Queens Grill」

QE2の中で最も格式高いレストラン「The Queen’s Grill」は、王室のメンバーも頻繁に訪れた英国料理レストランです(ジャケット着用必須)。QE2が航海していた頃からのシェフが、今も腕をふるっていて、1969年の当時の最初の「9コーステイスティングメニュー」をいただくことができます。そのコース料理のいくつかをご紹介します。

■帆立貝のピューレとベーコンとパルメザンあえ

Pan Seared Scallops
Pan Seared Scallops

■フォアグラのパフェ

Foie Gras Parfait。フォアグラ、スイートワインのジェリー、酢漬けのルバーブ、ルバーブのジェル、ヘーゼルナッツのクランブル
Foie Gras Parfait。フォアグラ、スイートワインのジェリー、酢漬けのルバーブ、ルバーブのジェル、ヘーゼルナッツのクランブル

■ローストベイビーチキン、サンフィール(厚岸草)と編笠茸のソース

Roast Baby Chicken
Roast Baby Chicken

これら一皿一皿に合う、おすすめワイン付きをオーダーすることもできます。1969年に英国王室のロイヤルファミリー達が食したメニュー、是非お試しあれ。

テーブルセッティング
テーブルセッティング

まったく揺れない船のデッキで日光浴をして食前酒をいただき、正装してディナーに行き、豪華客船のクルーズをしたような気分になれるなんて、船酔いをする私のような方には、「船にいながら船酔いがない」という意味で、お勧めの新感覚ホテルです。広い船内(ホテル内)で、迷子になりませんように…。

ドバイにいらした際は、タイタニック号にとてもよく似たQE2で、他の国では絶対にできない「港でクルーズ体験」をしてみませんか?

夜のクイーンエリザベス2号
夜のクイーンエリザベス2号
すべての写真を見る >>

問い合わせ先

  • THE QUEEN ELIZABETH 2 HOTEL 
  • Mina Rashid P.O.Box 17000 Dubai, UAE
  • Eメール:info@qe2.com
  • お部屋およそ400ディルハムから(シーズンにより)

関連記事

この記事の執筆者
大学卒業後、ルフトハンザドイツ航空、カンタスオーストラリア航空勤務。その後フランス人と結婚し、その赴任先ニューヨーク、パリを経て在ドバイ15年。3人のティーンの母。趣味 生け花、美食、旅行、ピープルウォッチング(魅力的な人々が魅力的な事を魅力的な場所でしているのを見ること)。