ベトナムの最南端、カンボジアが肉眼で見える国境に浮かぶハート型の島、フーコック島。美しい白砂ビーチをはじめ豊かな自然が残り、ユネスコ生物圏保護地域に指定された「ベトナム最後の秘境」です。今、ネクストカミングと目されるフーコック島に2016年3月、JWマリオット・フーコック・エメラルド・ベイ・リゾート&スパがオープンしました。

「ベトナム最後の秘境」と言われるフーコック島に誕生
「ベトナム最後の秘境」と言われるフーコック島に誕生

トロピカル建築の鬼才の世界観が冴えわたる、驚きのコンセプト

コンセプトからデザインまで、すべてを手掛けたのは建築家ビル・ベンスリー。プーレイ ベイ・ア・リッツ・カールトン リザーブなど、話題のリゾートホテルを次々と世に送り出しているトロピカル建築の鬼才です。オーナーから「金に糸目は付けない」との言葉を受けて、ビル・ベンスリーがやりたい放題(!?)に彼の世界観を具現化しているのが、このリゾートです。

架空ではありますが、コンセプトストーリーが実にユニーク。貿易商が息子に最高の教育を受けさせるため、1917年に設立したラマルク大学が舞台。「ラマルク」とは『種の起源』のアイディアを発案しつつも、死後、ようやく世間に認められたフランス人自然科学者のことで、彼への敬意を表して大学名に。

荘厳なライブラリーの趣のレセプション。200年前の古書もさりげなく飾られています
荘厳なライブラリーの趣のレセプション。200年前の古書もさりげなく飾られています

ライブラリーのようなレセプションを抜けると、その先の回廊にはラグビーなどのスポーツの輝かしい戦績や先輩たちの古びた写真、使い古されたギアなどが展示されています。さらに進むと、『不思議の国のアリス』に出てきそうなキノコ研究室のスパや、科学者のようなミクソロジストがいるシリンダーや薬瓶が並ぶバーなど、施設はまるで大学のキャンパスのよう。中庭は校庭のごとく、サッカー場(応援席付き)もあります。

海に面したメインプールはフリーフォーム。プールは敷地内に3か所
海に面したメインプールはフリーフォーム。プールは敷地内に3か所

ちなみに、エントランスのベルボーイがスタンバイしているデスクには、ベルだけに大小無数のハンドベルが並んでいます。また、エントランスの床にはリゾートのマスコットであるリッジバッグのフーコック犬が石のピースで描かれています。さらにパブリックの男性トイレ内では、犬のおしっこポーズの「dog hydrant」と消火栓の「hydrant」をかけて、便器が消火栓のフォルムに。スルーしてしまいがちですが、ビル・ベンスリーの遊び心が見え隠れしています。

まるで大学の授業のように、アクティビティーに参加

日替わりプログラムのひとつ、スパで開催されるコスメづくり。きゅうりやニンジンなど、口にできる素材でつくります
日替わりプログラムのひとつ、スパで開催されるコスメづくり。きゅうりやニンジンなど、口にできる素材でつくります

日替わりプログラムは、大学のカリキュラムのように組まれています。ランタンづくりやベトナム語講座といった地元ベトナムのカルチャーに触れる内容もあれば、スパでのオーガニックなコスメづくりやサップヨガ、ミクソロジー教室など、どれも面白そう。しかも無料で体験できます。

海の生物をテーマにしたヴィラ。ライトブルーの色使いが爽やかです
海の生物をテーマにしたヴィラ。ライトブルーの色使いが爽やかです

14階建て7棟のホテルルームは、各棟が動物や鳥類など専門分野をモチーフにしたデザインになっています。おすすめは邸宅風のヴィラ。昆虫をテーマにしたヴィラでは、壁一面に虫とその餌の細密画がびっしりと飾られ、カーペットもテントウムシ柄。海の生物をテーマにしたヴィラでは、サンゴをモチーフにしたプリントのチェアや水中世界を描いたカーペットが目を楽しませてくれます。

ヴィラの大理石をたっぷり使ったバスルーム。ロールトップのバスタブに浸かり、くつろぎの時間を
ヴィラの大理石をたっぷり使ったバスルーム。ロールトップのバスタブに浸かり、くつろぎの時間を
昆虫をテーマにしたヴィラのリビングルーム。虫が苦手な人にはつらいかも……
昆虫をテーマにしたヴィラのリビングルーム。虫が苦手な人にはつらいかも……
学長の家をテーマにしたプレジデンシャルハウス。プライベートプールのサイズは長さ50メートル!
学長の家をテーマにしたプレジデンシャルハウス。プライベートプールのサイズは長さ50メートル!

レストラン&バーはコンセプトもさまざまに5か所。メインレストランは学食のような雰囲気で、壁には伝説のOBや先生方のモノクロームの写真が飾られています。この中には、ビル・ベンスリー自らの姿も。隠れキャラのように紛れていますので、探してみてくださいね。

ビーチサイドの「レッド・ラム」は新鮮なシーフード料理を供します 
ビーチサイドの「レッド・ラム」は新鮮なシーフード料理を供します 

取材協力/ベトナム航空

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この記事の執筆者
ダイビング雑誌の編集者を経てフリーに。海外旅行専門誌でもビーチを担当。月に1~2回、海外を中心に国内外のビーチリゾートへ通うこと、かれこれ四半世紀以上になる。女性誌の旅記事、ライフスタイル誌の連載、ウェブの連載ほか、共著に『奇跡のリゾート 星のや竹富島』など。世界のビーチガイド「World Beach Guide(http://www.world-beach-guide.com ) 」主催 好きなもの:海でボーッとすること、ボディボード、ダイビング、ビーチパーティー、Jazztronik、H ZETTRIO、渋谷Room
公式サイト:古関千恵子ホームぺージ
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ベトナム航空( https://www.vietnamairlines.com/jp/ja/ )
WRITING :
古関千恵子
EDIT :
安念美和子