1月9日~12日までの4日間、第93回ピッティウォモがフィレンツェのフォルテッツァ・ダバッソで開催された。イタリアをはじめ、イギリス、フランスなど、世界から有数のメンズブランド1200以上が集まった。長年、現地取材を続けている『メンズプレシャス』エグゼクティブファッションディレクターの矢部克已が今回注目したのは、「バブアー」と「コヒーレンス」だ!

2018-2019秋冬注目のアウター

ツヤのある黒い「バブアー」が登場!

英国の伝統にミニマルな魅力が加わった、「バブアー」のカプセルコレクション。
英国の伝統にミニマルな魅力が加わった、「バブアー」のカプセルコレクション。

 今回も魅力的な新しいアイテムが充実していた。いくつか気になったアイテムをピックアップしたい。

 まず、イギリスブランドの「バブアー」。これまで『メンズプレシャス』の誌面で何度も紹介しているアウター製品の名門が、ニューヨークを基盤に活躍する日本人デザイナー、鈴木大器氏率いる「エンジニアド ガーメンツ」との、刺激的なカプセルコレクションを発表した。

 ミリタリージャケット、パーカ、ケープなど全5モデルで展開したコレクションは、すべてのモデルの生地をブラックのワックスコットンで統一。「バブアー」のアウターといえば、カーキ色のワックスコットンが象徴的だが、ツヤのある黒い素材は、精悍な印象だ。なかでも、写真左側のミリタリーポリスの制服からアレンジしたケープは、無骨で大振りなラインと襟元にあるチンストラップの凝ったディテールにくすぐられ、いますぐにでも手に入れたくなった。

貴族的なネイビーコートは「コヒーレンス」製!

中込憲太郎氏がてがける「コヒーレンス」の新作コート。
中込憲太郎氏がてがける「コヒーレンス」の新作コート。

 もう1点は、日本ブランドの「コヒーレンス」。往年のアーティストが愛用していたコートをヒントにしたこだわりのものづくりは、ピッティの中でも目立つ存在である。

 写真のコートは、名建築家のル・コルビュジエが着用していたコートにインスパイアされたモデル『コーブ』。英国ウールのメランジェ糸を平織りした表地と、メリノウール素材にクラブストライプを表現した裏地とを合わせ、張りのあるドレープ感をつくり出したコートだ。襟や前身頃のエッジ部分をテープで仕上げた技が、実にきめ細かい。風格のある貴族的なネイビーで、これも触手が動くアイテムだった。

この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
Twitter へのリンク